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ラスカー賞に遠藤章・東京農工大特別栄誉教授

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血液中のコレステロールを下げる特効薬のもとになる物質「スタチン」を発見した遠藤章・東京農工大名誉教授(74)が、米国で最も権威がある医学賞「ラスカー賞」の臨床医学部門の受賞者に選ばれた。米ラスカー財団が13日(日本時間14日)発表した。授賞式は26日、ニューヨークで開かれる。 (引用:asahi.com)

 

スタチン系薬物は、高脂血症の特効薬として処方され、HMG-CoA還元酵素を阻害する事で薬理作用を示します。世界中で処方されている薬の一つであり、ペニシリン以来の夢の薬と言われています。

旧三共株式会社に所属していた遠藤博士は、スタチン系最初の薬物であるメバスタチン(コンパクチン)を発見し、後に大きな市場となるスタチン系薬物の研究フィールドを切りひらきました。

 

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メバスタチン自体は毒性発現などの理由により製品化には至りませんでしたが、類似構造をもつ以下のような薬物は、いずれも数十億ドル規模の売り上げを誇るブロックバスター薬となっています。特に第一三共が開発に成功したメバロチン(プラバスタチン)は、武田薬品のタケプロンとともに、世界医薬品売り上げランキングのトップ10に名を連ねる日本産のベストセラー薬です。

 

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氏の業績をたたえ、2006年には日本国際賞が授与されています。そしてこのたび、ノーベル医学・生理学賞に匹敵する名誉とも言われる、ラスカー臨床医学賞が授与される運びとなりました。おめでとうございます!

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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