文部科学省は15日、大学の優れた教育研究拠点を選んで予算を重点配分する「グローバルCOE(卓越した拠点)プログラム」の初年度の審査結果を発表しました。全分野で111大学が計281件を申請し、28大学の63件が採択されました。1件当たりの平均年間助成額は約2億6000万円。 化学の分野では45件が申請され、13件が採択。採択された研究を少し紹介しましょう。
■触媒が先導する物質科学イノベーション
北海道大学工学研究科有機プロセス工学専攻 宮浦 憲夫教授
鈴木-宮浦クロスカップリングの開発で知られている宮浦教授がリーダーです。北大には触媒化学研究所もあり、触媒の開発研究が盛んです。今回このグローバルCOEの予算を使って、理学院、工学研究科、化学系関連部局の教育組織を「物質科学院」に改組して教育拠点を形成するそうです。
■分子系高次構造体化学国際教育研究拠点
東北大学理学研究科化学専攻 山口 雅彦教授 [研究室HP]
山口教授はヘリセンの研究が興味深いです。最近ではパラジウム触媒を用いた新規ホスホニウム塩の合成法の開発など有機金属触媒を使った研究を行っています。ポスドクの学生指導への参画、テニュア・トラックを視野に入れたCOEフェローの採用なども考えているそうです。ポスドクの学生指導の参画というのがどういうものなのか気になりますね。東北大の有機化学も非常に強いので、採択されたのは当然かもしれません。
■理工連携による化学イノベーション
東京大学理学系研究科化学専攻中村 栄一 教授 [研究室HP]
ビッグネーム中村教授。説明はいらないでしょう。、評価にも組織が大きくなりすぎている傾向があり、運営組織をしっかり構築し重点化すべきであると書いてありました。大きすぎです。
■新たな分子化学創発を目指す教育研究拠点
東京工業大学理工学研究科化学専攻鈴木 啓介 教授 [研究室HP]
?次世代の研究者にもとめられた「研究推進力」、「研究理解力」、「研究企画、発表力」、「研究英語力」を有する研究者の育成を行うそうです。理化学研究所との共同でなかなか面白い研究がうまれそうな気がします。
■生命環境化学グローバル教育研究拠点
大阪大学工学研究科生命先端工学専攻 福住 俊一 教授 [研究室HP]
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大阪大学のビッグネーム福住教授の率いるテーマです。地球環境・資源エネルギー問題の根本的解決を図る革新的な先端科学技術を創製し、かつその基本理念と成果を次世代に継承発展させるため、グローバルな視点から物質と生命との関わりを重視した地球環境化学に関する世界トップレベルの教育研究拠点を形成することを目的とする。ということ。なんだか具体的な内容は難しそうですね。ところで、大阪大学今回のCOEでは東京大学よりも採択率が高かったそうで、化学でも2件採用されています。注目ですね。
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