[スポンサーリンク]

ケムステニュース

有機溶媒吸収し数百倍に 新素材のゲル、九大が開発

[スポンサーリンク]

吸油性ゲル


発がん性が指摘されているジクロロメタンや、劇物のクロロホルムなどの有機溶媒を、自重の数百倍吸収できる新しいゲル(ゼリー状の樹脂)の開発に、佐田和己九州大大学院工学研究院准教授(応用化学)らが初めて成功し、英科学誌ネイチャーマテリアルズ(電子版)に29日、発表した。


 紙おむつなどに使われている現在のゲルも水を大量に吸収するが、油のように水となじみにくい有機溶媒を対象にしたゲルの開発はこれまで不可能とされてきた。実用化されれば溶媒や重油、オイルの流出事故などの際、効率的な回収が可能になり、環境汚染の防止につながると期待される(引用:東京新聞)。


?? 九大工学部の新海征治教授・佐田和己准教授らのグループによる報告です。吸水性ポリマーは紙おむつなどの吸水素材や、砂漠緑化や園芸利用目的での保水剤として広く応用展開されています。

  その一方で吸油性ポリマーは、これまでほとんど開拓されていませんでした。今回開発されたポリマーゲルは、メタノールやアセトンなどの高極性な溶媒はあまり吸収せずに、ジクロロメタンやテトラヒドロフランなどの低極性溶媒を選択的に吸って膨潤する機能発現が達成されています。 図に示すように「親油性で解離しやすいイオンペア」を導入したことが成功の鍵となったようです。

  • 関連リンク

吸油性ポリマー – 教材 – 田中研究室

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. NMR が、2016年度グッドデザイン賞を受賞
  2. 「魔法の水でゴミの山から“お宝”抽出」
  3. いつ、どこで体内に 放射性物質に深まる謎
  4. リチウム金属電池の寿命を短くしている原因を研究者が突き止める
  5. 旭化成 繊維事業がようやく底入れ
  6. サリドマイドの治験、22医療機関で 製薬会社が発表
  7. 合同資源産業:ヨウ素化合物を作る新工場完成--長生村の千葉事業所…
  8. 製薬外資、日本へ攻勢 高齢化で膨らむ市場

注目情報

ピックアップ記事

  1. Process Mass Intensity, PMI(プロセス質量強度)
  2. 豚骨が高性能な有害金属吸着剤に
  3. アーウィン・ローズ Irwin A. Rose
  4. グロブ開裂 Grob Fragmentation
  5. 新しい太陽電池ーペロブスカイト太陽電池とは
  6. 取扱いが容易なトリフルオロアセチル化試薬
  7. 新たなクリックケミストリーを拓く”SuFEx反応”
  8. NMR Chemical Shifts ー溶媒のNMR論文より
  9. フリードレンダー キノリン合成 Friedlander Quinoline Synthesis
  10. 非常に小さな反転障壁を示す有機リン化合物の合成

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年5月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

第23回次世代を担う有機化学シンポジウム

「若手研究者が口頭発表する機会や自由闊達にディスカッションする場を増やし、若手の研究活動をエンカレッ…

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

持続可能な社会の実現に向けて、太陽電池は太陽光発電における中心的な要素として注目…

有機合成化学協会誌2025年3月号:チェーンウォーキング・カルコゲン結合・有機電解反応・ロタキサン・配位重合

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年3月号がオンラインで公開されています!…

CIPイノベーション共創プログラム「未来の医療を支えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第105春季年会(2025)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「未来の医療…

OIST Science Challenge 2025 に参加しました

2025年3月15日から22日にかけて沖縄科学技術大学院大学 (OIST) にて開催された Scie…

ペーパークラフトで MOFをつくる

第650回のスポットライトリサーチには、化学コミュニケーション賞2024を受賞された、岡山理科大学 …

月岡温泉で硫黄泉の pH の影響について考えてみた 【化学者が行く温泉巡りの旅】

臭い温泉に入りたい! というわけで、硫黄系温泉を巡る旅の後編です。前回の記事では群馬県草津温泉をご紹…

二酸化マンガンの極小ナノサイズ化で次世代電池や触媒の性能を底上げ!

第649回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院環境科学研究科(本間研究室)博士課程後期2年の飯…

日本薬学会第145年会 に参加しよう!

3月27日~29日、福岡国際会議場にて 「日本薬学会第145年会」 が開催されま…

TLC分析がもっと楽に、正確に! ~TLC分析がアナログからデジタルに

薄層クロマトグラフィーは分離手法の一つとして、お金をかけず、安価な方法として現在…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー