[スポンサーリンク]

ケムステニュース

関大グループ、カプロラクタムの新製法開発

[スポンサーリンク]

 

カプロラクタム関西大学工学部の石井康敬教授、坂口聡助教授らのグループは、ナイロン6の原料カプロラクタム(CPL)をシクロヘキサンからワンポット(同一反応器内)で高効率に合成する新規製造技術(特許申請中)の開発に成功した。副生成物である硫安をまったく併産しないほか一連の反応がワンポットで進むため混合物の単離操作が不要、75%以上の高収率でCPLが得られることなどを確認している。(引用:化学工業日報)

 

 ナイロン6の原料であるε-カプロラクタムの新合成法のニュースです。最近、住友化学がゼオライト触媒を用いた硫安フリーのラクタム製法を開発しましたが、この方法は、今までと同様にシクロヘキサノンからでした。シクロヘキサンは、シクロヘキサンを空気酸化することでシクロヘキサノンとし、さらに生じたアルコールを酸化することで得られます。

 

 それに対して、石井教授らは、シクロヘキサンから一挙にシクロヘキサンオキシムを構築するという手法を開発しました。シクロヘキサンからシクロヘキサンオキシムとする手法は以前から知られていましたが、その方法は有毒な塩化ニトロシル(NOCl)を用いる必要があり、また生成したシクロヘキサノンオキシムは、塩酸塩となるため、多量の廃棄物が生じます。

 そこで、石井教授らはNHPI (N-ヒドロキシフタルイミド)触媒亜硝酸第3級ブチルを用いたラジカル反応によりワンポットで容易にシクロヘキサンオキシムへ変換できるニトロソシクロヘキサンを合成しました。反応後、亜硝酸第三級ブチルは第三級ブタノールとなり環境にもやさしいということです。

 

ちなみにシクロヘキサンオキシムからはBeckmann転位により、カプロラクタムに変換できます。

 

関連リンク

 

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 世界最高速で試料回転を行う固体NMRプローブを開発 -超微量の生…
  2. 性フェロモン感じる遺伝子、ガで初発見…京大グループ
  3. 九大発、化学アウトリーチのクラウドファンディング「光化学の面白さ…
  4. 書籍「Topics in Current Chemistry」が…
  5. 昭和電工、青色LEDに参入
  6. 茅幸二、鈴木昭憲、田中郁三ら文化功労者に
  7. 白い有機ナノチューブの大量合成に成功
  8. 発見が困難なガンを放射性医薬品で可視化することに成功

注目情報

ピックアップ記事

  1. メバスタチン /Mevastatin
  2. Gaussian Input File データベース
  3. 上田 善弘 Yoshihiro Ueda
  4. スターバースト型分子、ヘキサアリールベンゼン合成の新手法
  5. マクファディン・スティーヴンス反応 McFadyen-Stevens Reaction
  6. 二酸化セレン Selenium Dioxide
  7. 金子 弘昌 Hiromasa Kaneko
  8. ベンジル酸転位 Benzilic Acid Rearrangement
  9. マテリアルズ・インフォマティクスの推進成功事例セミナー-なぜあの企業は最短でMI推進を成功させたのか?-
  10. Reaxys PhD Prize 2020募集中!

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2006年4月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP