[スポンサーリンク]

ケムステニュース

「魔法の水でゴミの山から“お宝”抽出」

[スポンサーリンク]

ヘルシオ  亜臨界水というのをご存知だろうか。通常、水は1気圧の下で、0℃で固体となり、100℃で沸騰する。さらに加熱していくと高温の水蒸気になる。最近、話題の商品になっているシャープの家庭用オーブン「ヘルシオ」は、この“過熱水蒸気”を利用している。火もマイクロ波も使わず、常圧の下、水を 100~300度まで上げた過熱水蒸気だけで“食品を焼く”のである。通常のオーブンと違って余分な油を落としながら焼き上げるので健康ブームに乗ってヒット商品になっている。

 亜臨界水は過熱水蒸気と違い、“水”を高温高圧化したものである。即ち、水を完全に密閉した状態で圧力を高めていくと、220気圧で374℃に達し、水と水蒸気の密度が等しくなり液体でもない気体でもない不思議な流体になる。これを臨界点と呼び、臨界点以上の状態を超臨界水、それより下の状態を亜臨界水という。超臨界水は、分解力が強すぎるが、この亜臨界水は、有機物を加水分解(高分子の鎖を絶つ性質)して有価物を取り出したり、物質や油などを溶かす(強い溶解力)という画期的な物性をもっている。(引用:日本経済新聞)


超臨海水(Super Critical Water)亜臨海水(SubCritical Water)の差は臨界点以上か以下かということだけです。


超臨界流体は、いろいろな有害な化学物質を分解したり、工業的には染色、香料の抽出、タバコやコーヒーからの脱カフェインなどに利用されています。


分子レベルの合成反応でも通常ε-カプロラクタムの合成においてシクロヘキサノンオキシムのベックマン転位には硫酸が必要ですが、超臨界水では硫酸なしで進行することが知られています。


関連書籍


化学がつくる驚異の機能材料―カメレオン色素から超臨界流体まで


 



新しい抽出技術―超臨界・液膜・逆ミセル
超臨界流体の高度利用、乳化型液膜による高度不飽和脂肪酸の分離、逆ミセルによる酵素の分離という、新しい三つの抽出プロセスについて、その概念や基本事項、応用や発展の可能性について解説する。


関連商品


シャープウォーターオーブン 「ヘルシオ」AX-HC1-S


シャープウォーターオーブン 「ヘルシオ」AX-HC1-S


 水で焼く。21世紀調理器、誕生。カロリー減量調理、はじまる。


関連リンク


超臨界流体


超臨界および亜臨界での水の物性


IHI石川島播磨重工業(株) -超臨界水・水熱設備-


亜臨界水抽出を利用した葉酢液・木酢液・竹酢液の製造

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 東大薬小林教授がアメリカ化学会賞を受賞
  2. 東レから発表された電池と抗ウイルスに関する研究成果
  3. 抗がん剤大量生産に期待 山大農学部豊増助教授 有機化合物生成の遺…
  4. ミツバチの活動を抑えるスプレー 高知大発の企業が開発
  5. 不斉触媒研究論文引用回数、東大柴崎教授が世界1位
  6. 化学は切手と縁が深い
  7. 2011年10大化学ニュース【前編】
  8. 招福豆ムクナの不思議(6)植物が身を護る化学物資

注目情報

ピックアップ記事

  1. 2017年の注目分子はどれ?
  2. 新規色素設計指針を開発 -世界最高の太陽光エネルギー変換効率の実現に向けて-
  3. 論説フォーラム「グローバル社会をリードする化学者になろう!!」
  4. トリフルオロメタンスルホン酸ベンゾイル:Benzoyl Trifluoromethanesulfonate
  5. ブートキャンプ
  6. OMCOS19に参加しよう!
  7. 鉄錯体による触媒的窒素固定のおはなし-1
  8. ブルック転位 Brook Rearrangement
  9. SNS予想で盛り上がれ!2020年ノーベル化学賞は誰の手に?
  10. 米デュポン、高機能化学部門を分離へ

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2005年9月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP