リウマチは、手足などの関節が破壊され、痛む病気だ。痛みには、細胞内で作られるシクロオキシゲナーゼ(COX)と呼ばれる酵素が関係しており、NSAIDはこの酵素の働きを妨げて痛みや炎症を抑える薬だ。
COXには、胃腸の粘膜を守るCOX1と、炎症を促すCOX2の2種類がある。NSAIDの多くは、両方の働きを抑えるので、胃腸が荒れやすくなる副作用が表れる。胃に穴が開いて出血し、死亡した患者もいる。
そこで、痛みに関係するCOX2だけを狙う「COX2阻害薬」が開発された。胃かいようの発生率が従来の薬に比べ半分ほどに減った。
しかし、新たな副作用が問題化したのだ。
この薬の一つ、ロフェコキシブ(商品名バイオックス)を飲んだ患者は、一般的なNSAIDの服用者に比べ、約4倍も多く心筋梗塞(こうそく)を起こしたことが、2000年に米国で発表された。その後も同様の研究が相次ぎ、製薬企業は昨年9月、自主回収に追い込まれた。(引用:読売新聞)
NSAID(エヌセイド)とは非ステロイド系抗炎症剤です。non-steroidal anti-inflammatory drugの略。主な例としては、抗炎症、解熱、鎮痛作用をもっているアスピリン、インドメサシン、イブプロフェン、ジクロフェナクナトリウムなどを言います。使い過ぎると胃を悪くします。
アスピリンがドイツで開発されて百余年、消炎・鎮痛・解熱剤として世界中で愛用されてきたこの錠剤が心臓病や脳卒中、大腸がんに効くことがわかったのは一九七〇年代のこと、さらに近年になってアルツハイマー病や骨粗鬆症、糖尿病、妊娠中毒など多様な病気への効果が認められようとしている。その”超薬”にいたるまでの軌跡と薬効の仕組みを知り、超薬をはばんできた日本の医療行政の問題点をさぐる。