ロート製薬は21日、同社独自の研究開発でα‐リポ酸がアミノ酸との併用で、脂肪細胞への脂肪蓄積を格段に抑制することを実証したと発表した。既にα‐リポ酸単体での脂肪抑制効果は確認済みで、さらに今回の成果を応用し、代謝低下による肥満の改善や肌の健康維持に役立つ製品の早期開発を進め、商品化を目指す考え。
実験では、脂肪細胞をインスリン添加培地で培養することで細胞中に脂肪を蓄積。そこにα‐リポ酸を添加すると脂肪の蓄積が抑制され、さらにアミノ酸(ロイシン)を組み合わせることで脂肪抑制効果が顕著に現れることを見出した。(引用:薬事日報)
テレビで話題のα-リポ酸(α-Lipoic acid)。ちっちゃいとよく見えませんが、英語表記の通りα-リボ酸ではなくリポ酸です。そんなものでやせたら世の中にデブはいないが、抗酸化力があるのは確かです。食べ物にも大豆とかレバーにも含まれています。今回はロイシン(Leucine)を組み合わせることによってより効果があるというわけです。
やせるかどうかは他のサイトで多く話題になっているのでもういいとして、一応化学のニュースサイトであるのと、一般的な話題に飽き飽きしている方もいるかもしれないので、他ではないαリボ酸の合成について少し書きます。(マニアックですみません。)
α-リポ酸はどうやら天然(生物)からはあんまり取れないらしく(牛の肝臓10トンから30mgとありました。)、今あるα-リボ酸は合成で供給されていると思います。見ての通り単一の光学活性体(R体)なので合成するには不斉合成もしくはラセミ体をつくって光学分割しなければなりません。おそらくカルボン酸なので酵素を用いて分割しているとは思いますが。適当にScifinderで検索した一番最近の不斉合成例を挙げてみます。
ref. ) Tetrahedron Lett. 45, 6027 (2004)
クライゼン転位とシャープレス不斉ジヒドロキシル化により1の光学活性ラクトンを合成し、3段階で2のジオールとした後、メシル化、デメシル化、エステルの加水分解によりα-リポ酸の不斉全合成を報告しています。うーんあまりうまくない。