総合化学のトクヤマ(周南市)は、新エネルギーとして注目されている燃料電池用の部材市場に参入する。携帯電話やパソコンなどの電源として期待される「直接メタノール形燃料電池」(DMFC)と呼ばれる中枢部材について、発電効率の課題であるメタノールの高濃度化に成功した。家電や自動車メーカー向けに06年から商業生産を始め、40~50億円の売り上げを目指すという。燃料電池は、燃料の水素と空気中の酸素を化学反応させて電気を取り出す。発電時の副生成物は水と熱だけで、環境への負担が少ないうえ、エネルギー効率が高いとして各国で開発競争が加速している。
製造手法は複数あるが、DMFCは携帯端末分野での採用が期待されている。だが、電池の中枢部材として開発が先行しているフッ素系膜は、メタノールが染み出して発電効率を下げてしまうことが課題になってきた。
トクヤマは、自社の製塩用の電気透析技術を駆使。炭化水素系材料のイオン交換膜を使って、メタノールの透過性を10分の1に抑えた、としている。(引用:朝日新聞 山口)