[スポンサーリンク]

ケムステニュース

有機超伝導候補が室温超高速光応答材料に変身

[スポンサーリンク]

JST(理事長:沖村憲樹)は、有機電荷移動錯体((EDO-TTF)2PF6)結晶が、超高速、超高感度の光応答を室温付近で示すことを発見した。本研究によってこの種の有機結晶が、室温動作する超高感度かつ超高速の次世代光通信用材料として有望であることが初めて見出された。
本研究では、室温付近でこの有機結晶に超短パルスレーザーを照射すると、0.2ピコ秒以内という極めて短時間で、光の反射率が50%以上も変化することを見出した(1ピコ秒=1兆分の1秒であり、0.2ピコ秒は高速電子デバイスの典型的な応答速度(約10億分の1秒)の約5000倍という高速応答に相当する)。この現象では、1つの構成分子の変化がドミノ倒し的に他の変化を引き起こすため、光子1粒という極微弱な励起光によって、約500分子の変化が誘起されるという超高感度のものである。
この(EDO-TTF)2PF6結晶
(構造は図1参照)は、もともとは有機超伝導体を目的として合成されたものであるが、超伝導特性は示さないため今日まであまり注目されてこなかった。本プロジェクトではこの物質の特殊な電子構造と結晶構造、それに起因する特殊な相転移に着目し、光による相変化が誘起される可能性を探索していたところ、今回の意外ともいえる成果につながった。(科学技術振興機構

 

関連リンク

 

有機超伝導一覧

 

有機超伝導体一覧. 有機超伝導の多くは、ドナーと陰イオン(アクセプター)
とが 規則正しく配列した分子性結晶である。
有機超伝導

 

 

 

関連書籍

 

 


有機導電体の化学―半導体、金属、超伝導体

 

有機合成と電子物性をつなぐ有機電子機能材料について、基礎解説に重点をおいて詳述。その結合、構造、機能・物性の関係を原則原理から理解し、新しい材料の開発や新機能開拓のための基礎知識を獲得できる。

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 「魔法の水でゴミの山から“お宝”抽出」
  2. 分子の動きを電子顕微鏡で観察
  3. EU、玩具へのフタル酸エステル類の使用禁止
  4. 首席随員に野依良治氏 5月の両陛下欧州訪問
  5. はやぶさ2が持ち帰った有機化合物
  6. NEC、デスクトップパソコンのデータバックアップが可能な有機ラジ…
  7. 旭化成ファインケム、新規キラルリガンド「CBHA」の工業化技術を…
  8. 三洋化成の新分野への挑戦

注目情報

ピックアップ記事

  1. Chem-Station9周年へ
  2. パーフルオロ系界面活性剤のはなし 追加トピック
  3. Wolfram|Alphaでお手軽物性チェック!「Reagent Table Widget」
  4. 元素手帳2022
  5. 【マイクロ波化学(株) 石油化学/プラスチック業界向けウェビナー】 マイクロ波による新事業 石油化学・プラスチック業界のための脱炭素・電化ソリューション
  6. キムワイプをつくった会社 ~キンバリー・クラーク社について~
  7. 僕がケムステスタッフになった三つの理由
  8. 真鍋良幸 Manabe Yoshiyuki
  9. ビス(トリ-o-トリルホスフィン)パラジウム(II) ジクロリド:Bis(tri-o-tolylphosphine)palladium(II) Dichloride
  10. TMSClを使ってチタンを再生!チタン触媒を用いたケトン合成

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2005年1月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

ブテンを原料に天然物のコードを紡ぐ ―新触媒が拓く医薬リード分子の迅速プログラム合成―

第 687回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 有機合成化学教室 (金井…

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP