[スポンサーリンク]

ケムステニュース

8億4400万円で和解 青色LED発明対価訴訟

[スポンサーリンク]

中村教授「代理人助言受け入れ」
一審は「200億円」

青色発光ダイオード(LED)を開発した中村修二・米カリフォルニア大教授(50)が、勤務していた日亜化学工業(徳島県阿南市)に特許権譲渡の対価の一部を求めた訴訟の控訴審は十一日、会社側が発明特許を承継する対価として六億円余りを支払うことなどを条件に、東京高裁(佐藤久夫裁判長)で和解が成立した。支払額は、遅延損害金を含めて約八億四千四百万円になるという。
昨年一月の一審・東京地裁判決は、中村教授が受け取る相当対価を約六百四億円と算定し、請求額全額に当たる二百億円の支払いを日亜化学に命令していた。発明の「正当な対価」のあり方をめぐって衝撃を与えた訴訟は、控訴審の判決を待たずに決着する。
原告側弁護士によると、過去の訴訟の判決や和解で、発明対価として企業が研究者に支払う額としては過去最高。
昨年一月の地裁判決によると、中村教授は日亜化学在職中の平成二年に青色LEDの製造装置に関する技術を発明。日亜が特許出願し五年、世界初の製品化に成功した。中村教授が当時、会社から受け取った報奨金は二万円だけだった。
和解条項では、中村教授がかかわったすべての青色LEDに関する特許が対象とされ、全権利が日亜化学に承継されていることを確認した。(引用:産経新聞

和解が決定しましたね。この間味の素のアスパルテームに関する和解が成立したばかりです。8億円。私たちにとっては非常に大きなお金ですが、1審の200億円には程遠い金額です。

もちろん企業内での発明のため、発明及び特許は企業に帰属する、これは当たり前のことかもしれません。プロ野球選手でも球団で選手を使った商品や商標は球団のものですから。しかし、プロ野球選手はそれ相応の年棒を頂いています。野球選手に例えるのはナンセンスかもしれないですが、技術者、研究者にもそのくらいの夢があってもいいのではないでしょうか。なにより訴訟で勝ち取ったお金というのが残念です。でも、これでやっと研究に集中できますね。

研究の場合、やはりそれなりの研究費が必要です。独立して研究を続けるのは困難です。企業内、大学内で、基礎研究でも支援していくようなシステムができあがってくれることを祈ります。

やる気がある技術者にとってはよい世界が、やる気がない技術者にとっては厳しい環境が生まれてくるという点は非常に賛成です。会社では、残業をしているとだめ、早く帰れという風潮もあると聞きます。行き過ぎの資本主義はいけないですが、もう少しそのような考えがあってもいいのではないでしょうか。現在の日本ではまだあまり受け入れられにくい考えかもしれませんが。

しかし、私はなんとなくみんなでやっていきたいという感情が強いんですね。というのは一般人で弱いからなのかもしれませんが、周りがやる気がなくなるとやはり自分のモチベーションが少なからず落ちる。こんな考えが、やる気のある人の予備軍の考えだと思います。そういう人って周りの環境で人生が変わるぐらいやったりやらなかったりするんですよね。やるぞ!オー!という感じで。中村さんはそんなモチベーションがあがらない中でも(そうではなかったかもしれませんが)やってやるという考えで、成功したのだからすばらしいと思います。その時の心情等を考えても、やはり相当の対価に値します。

それにしても、中村修二さんはたくさんの本を書いていますね・・・。分野は全く違いますが1冊くらい読んでみようかな。

関連書籍

[amazonjs asin=”4837973795″ locale=”JP” title=”「バカになれる男」が勝つ!―非常識・型破りから生まれた世界のナカムラマジック! (知的生きかた文庫)”][amazonjs asin=”4788911957″ locale=”JP” title=”最強エンジニアの仕事術”][amazonjs asin=”4847015509″ locale=”JP” title=”大好きなことを「仕事」にしよう”][amazonjs asin=”4990841204″ locale=”JP” title=”夢と壁 夢をかなえる8つの力 中村教授の特別ゼミ”]

青色LEDの和解金、妥当な水準=経団連会長

経団連の奥田会長は、きょう東京高裁で日亜化学工業(徳島県阿南市)の青色発光ダイオード(LED)訴訟が和解したことについて、和解金は妥当な水準との見方を示した。奥田会長は、一審の賠償金額200億円について、「べらぼうに高い金額だ。会社がつぶれてしまうような金額は妥当ではない。今回の和解金約8億4000万円は社会的に見ても妥当な水準だと思う」と述べた(引用:朝日新聞)。

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 第12回化学遺産認定~新たに3件を認定しました~
  2. iPhone7は世界最強の酸に耐性があることが判明?
  3. ヤマハ発動機、サプリメントメーカーなど向けにアスタキサンチンの原…
  4. 芝哲夫氏死去(大阪大名誉教授・有機化学)
  5. 三井化学、DXによる企業変革の成果を動画で公開
  6. 化学企業のグローバル・トップ50が発表【2021年版】
  7. ファンケル、「ツイントース」がイソフラボンの生理活性を高める働き…
  8. サントリー、ビールの「エグミ物質」解明に成功

注目情報

ピックアップ記事

  1. Merck Compound Challengeに挑戦!【エントリー〆切:2/26】
  2. 半導体領域におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用-レジスト材料の探索、CMPの条件最適化編-
  3. 英文読解の負担を減らすマウスオーバー辞書
  4. 第42回「激動の時代を研究者として生きる」荘司長三教授
  5. ヤーン·テラー効果 Jahn–Teller effects
  6. 奇妙奇天烈!植物共生菌から「8の字」型の環を持つ謎の糖が発見
  7. 巻いている触媒を用いて環を巻く
  8. 有機EL素子の開発と照明への応用
  9. 「アニオン–π触媒の開発」–ジュネーブ大学・Matile研より
  10. ジンクピリチオン (zinc pyrithione)

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2005年1月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

MEDCHEM NEWS 34-1 号「創薬を支える計測・検出技術の最前線」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

医薬品設計における三次元性指標(Fsp³)の再評価

近年、医薬品開発において候補分子の三次元構造が注目されてきました。特に、2009年に発表された論文「…

AI分子生成の導入と基本手法の紹介

本記事では、AIや情報技術を用いた分子生成技術の有機分子設計における有用性や代表的手法について解説し…

第53回ケムステVシンポ「化学×イノベーション -女性研究者が拓く未来-」を開催します!

第53回ケムステVシンポの会告です!今回のVシンポは、若手女性研究者のコミュニティと起業支援…

Nature誌が発表!!2025年注目の7つの技術!!

こんにちは,熊葛です.毎年この時期にはNature誌で,その年注目の7つの技術について取り上げられま…

塩野義製薬:COVID-19治療薬”Ensitrelvir”の超特急製造開発秘話

新型コロナウイルス感染症は2023年5月に5類移行となり、昨年はこれまでの生活が…

コバルト触媒による多様な低分子骨格の構築を実現 –医薬品合成などへの応用に期待–

第 642回のスポットライトリサーチは、武蔵野大学薬学部薬化学研究室・講師の 重…

ヘム鉄を配位するシステイン残基を持たないシトクロムP450!?中には21番目のアミノ酸として知られるセレノシステインへと変異されているP450も発見!

こんにちは,熊葛です.今回は,一般的なP450で保存されているヘム鉄を配位するシステイン残基に,異な…

有機化学とタンパク質工学の知恵を駆使して、カリウムイオンが細胞内で赤く煌めくようにする

第 641 回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科化学専攻 生…

CO2 の排出はどのように削減できるか?【その1: CO2 の排出源について】

大気中の二酸化炭素を減らす取り組みとして、二酸化炭素回収·貯留 (CCS; Carbon dioxi…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー