田辺製薬株式会社(社長:葉山夏樹)は、抗サイトメガロウイルス化学療法剤/エイズ関連治療薬「バリキサ(R)錠450mg」(一般名:バルガンシクロビル塩酸塩)を、「後天性免疫不全症候群(エイズ)患者におけるサイトメガロウイルス(CMV)網膜炎1)の治療」の適応症で、11月25日より新発売いたします。
「バリキサ(R)錠450mg」は、ロシュ社(スイス・バーゼル)により開発されたガンシクロビルのプロドラッグ製剤2)で、海外で実施された臨床試験において、エイズ患者のCMV網膜炎治療(初期治療及び維持療法)に対し、高い有効性が確認されています。
CMV網膜炎は、エイズ患者の20~30%が罹患すると言われており、失明率が高いことが知られています。これまでの治療法としては、主にガンシクロビルのカプセル剤や点滴静注剤が用いられていましたが、服用回数・服用量が多いことや点滴のための入院を強いるなど、患者さまの生活上の大きな制約となっていました。「バリキサ(R)錠450mg」は、従来のカプセル剤と比べて吸収率が10 倍近く向上したことで注射剤と同等の血中濃度と臨床効果が得られるため、1 日あたりの服用回数・服用量を減少することができ、患者さまのQOL向上に大きく貢献できると考えています。(引用:日本経済新聞)
バリキサ(バルガンシクロビル塩酸塩、左)はガンシクロビル(右)にアミノ酸であるバリンを縮合させたものでしょうか。ガンシクロビルというのはサイトメガロウイルス感染細胞のデオキシグアノシンキナーゼによってリン酸化されて活性型のガンシクロビル 三リン酸となり、ウイルスのDNAポリメラーゼの基質と競合的に拮抗し、ウイルスの複製を抑制するらしいです。
また、ガンシクロビルはDNA塩基のグアニンをちょっと修飾したものですね。このような簡単な構造でも臨床まで手が届くようになるのには非常に時間がかかるものなんですね。