中村栄一(なかむら えいいち、1951年2月24日-)は日本の有機化学者である。東京大学大学院理学系研究科教授。
経歴
1973 東京工業大学理学部化学科卒業(向山光昭教授)
1978 東京工業大学大学院 博士号取得(桑嶋功助教授)
1978 コロンビア大学 博士研究員(Gilbert Stork教授)
19xx 東京工業大学理学部 助手
1984 東京工業大学理学部化学科 助教授
1993 東京工業大学理学部化学科教授
1995 東京大学理学部化学専攻 教授
2014 東京大学理学部化学専攻 特例教授
受賞歴
1984 日本化学会進歩賞
1991 有機合成化学協会研究企画賞
1992 手島工業教育資金団記念研究賞
1992 日本IBM科学賞
2001 名古屋メダル
2003 日本化学会賞
2006 フンボルト賞
2009 紫綬褒章
2010 Arthur C. Cope Scholar Award
2014 藤原賞
2014 Centenary Prize 2014, Royal Society of Chemistry
研究
計算化学を利用した有機金属試薬の反応機構解明
特に有機銅アート試薬を用いる反応などの機構解明は代表的な業績。過去ブラックボックスとされてきた銅アート錯体の反応機構を、計算化学的手法により解明した。
フラーレンを用いる機能性物質創製研究
長年研究を重ねてきた有機銅アート試薬の化学とフラーレン化学を融合した化学を展開。フラーレンへの五重付加反応を基軸とし、様々な機能化フラーレンの開発に成功している。
電子顕微鏡を用いる分子の直接観測
激しい熱運動、および顕微鏡の電子線で分解してしまうことが理由で、有機分子を電子顕微鏡で観察する事は難しいとされていた。中村らは、カーボンナノチューブ内に有機分子を閉じ込めることにより、この問題点を解決。単一有機分子を電子顕微鏡で観察する事に世界ではじめて成功している。[1]
(写真:JSTプレスリリース)
コメント&その他
- 多様な研究を行い、多くの優秀な若手化学者を輩出している。
- Webにも興味をもっており、東京大学アクション・プラン ガイドブック2008によると、ブックマークに有機化学美術館とChem-Stationが記載されている。ありがたいことです。
関連動画
関連文献
- Zhou, S.; Burger, C.; Chu, B.; Sawamura, M.; Nagahama, N.; Toganoh, M.; Hackler, U. E.; Isobe, H.; Nakamura, E. Science 2001, 291, 1944. DOI: 10.1126/science.291.5510.1944
- Sawamura, M.; Kawai, K.; Matsuo, Y.; Kanie, K.; Kato, T.; Nakamura, E. Nature 2002, 419, 702. DOI: 10.1038/nature01110
- Koshino, M.; Tanaka, T.; Solin, N.; Suenaga, K.; Isobe, H.; Nakamura, E. Science 2007, 316, 853. DOI: 10.1126/science.1138690
- Sukegawa, J.; Schubert, C.; Zhu, X.; Tsuji, H.; Guldi, D. M.; Nakamura, E. Nat. Chem.2014, 6, 899. DOI:10.1038/nchem.2026
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