[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

ジュリアス・レベック Julius Rebek, Jr.

[スポンサーリンク]

ジュリアス・レベック Jr.(Julius Rebek Jr.、1944年4月11日-)はアメリカの有機化学者・超分子化学者である。米国スクリプス研究所化学系教授。自己組織化型分子カプセルを用いた分子認識化学の研究で世界的に著名。

経歴

1944年4月11日にハンガリーのベレグスザスツ(Beregszasz)で生まれる。 1966年にカンザス大学で学士号を取得後、マサチューセッツ工科大(MIT)・D.S.Kempのもとでペプチド化学の研究に取り組み博士号を取得する。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)、ピッツバーグ大学、MITで勤務した後、1996年よりスクリプス研究所化学系教授。

1966 カンザス大学 学士号取得
1970 マサチューセッツ工科大学 博士号取得 (D.S.Kemp教授)
1970 カリフォルニア大学ロサンゼルス校 助教
1976 ピッツバーグ大学 准教授
1980 ピッツバーグ大学 教授
1989 マサチューセッツ工科大学 教授
1996 スクリプス研究所 化学系教授

 

受賞歴

1976-1974 Eli Lilly Award
1976-1978 A.P. Sloan Fellow
1991 A.C. Cope Scholar Award
1996 NIH MERIT Award
1997 ACS James Flack Norris Award in Physical Organic Chemistry
2002 Chemical Pioneer Award
2004 ACS Ronald Breslow Award for Achievement in Biomimetic Chemistry
2006 Evans Award, Ohio State University
2007 Univ. of Oregon Creativity Award in Chemistry, Dance and Music
2008 Tau-Shue Chou Award, Academica Sinica
2009 A. von Humboldt Senior Scientist Award, Germany
2011 Nichols Medal, ACS New York Section
2012 Prelog Medal, ETH Zurich

 

研究

3-Phase Test(三相試験法)

活性な反応化学種の存在を検出しうる方法の一つ。
前駆体を固相担持し、それと反応しうる補足剤を別にして固相担持する。これらの固相担持試薬間で反応が起こす条件においては、溶媒を介してその活性種が移動しなくてはならない。つまり、その溶液を調べれば不安定反応化学種を検出しうる。これを固-液-固の三相試験法とよぶ。

自己複製システム(Self-Replicating System)[1]

相補的分子を鋳型として自己触媒的に複製を行う人工分子系を開発。生命の起源に示唆を与える先駆的な研究の一つ。

分子カプセル(Molecular Capsules)

1993 年に発表したテニスボール型カプセルにはじまり、Rebekらは、カリックスアレーンやオリゴレゾルシノールを母核とした自己組織化型分子カプセルを多数開発しています。外界から隔離されたカプセル中では、通常考えられないような化学現象が観察されます。 たとえば不安定化学種の安定化や異常選択性反応の観察などです。Rebekが現在遂行している主軸テーマでもあります。

rebek_capsule.gif

不安定中間体の観測 [3]

かご状の分子を利用して不安定な中間体(アミナール)を確認できる方法を開発。記事:不安定な合成中間体がみえる?

名言集

 

コメント&その他

 

関連動画

関連論文

  1. Tjivikua, T., Ballester, P., Rebek, J., Jr. J. Am. Chem. Soc. 1990, 112,1249. DOI: 10.1021/ja00159a057
  2. Benzing, T.; Tjivikua, T.; Wolfe J.; Rebek, J. Jr., Science, 1988, 242, 266. DOI: 10.1126/science.3262924
  3. Nature, 394, 764(1998)
  4. Iwasawa, T.; Hooley, R. J.; Rebek, Jr, J.Science2007,317, 493. DOI: 10.1126/science.1143272
  • J. Rebek, Tetrahedron 1979, 35, 723

関連書籍

[amazonjs asin=”124279722X” locale=”JP” title=”Alexander Von Humboldt Fellows, Including: Leonard Mlodinow, Philip Russell, Martin Gibbs, Julius Rebek, Azar Gat, Anthony Green (Near Eastern Archaeo”]

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 岩村 秀 Hiizu Iwamura
  2. 井上 将行 Masayuki Inoue
  3. ジョアンナ・アイゼンバーグ Joanna Aizenberg
  4. カルロス・バーバス Carlos F. Barbas III
  5. 日本国際賞―受賞化学者一覧
  6. プリーストリーメダル・受賞者一覧
  7. カリコ― カタリン Karikó Katalin
  8. アーサー・L・ホーウィッチ Arthur L. Horwich

注目情報

ピックアップ記事

  1. 鉄錯体による触媒的窒素固定のおはなし-2
  2. 分子研オープンキャンパス2023(大学院説明会・体験入学説明会) 参加登録受付中!
  3. ミドリムシが燃料を作る!? 石油由来の軽油を100%代替可能な次世代バイオディーゼル燃料が完成
  4. アジリジンが拓く短工程有機合成
  5. 小さなケイ素酸化物を得る方法
  6. ノルゾアンタミン /Norzoanthamine
  7. イミデートラジカルを用いた多置換アミノアルコール合成
  8. 第169回―「両性分子を用いる有機合成法の開発」Andrei Yudin教授
  9. 【書籍】女性が科学の扉を開くとき:偏見と差別に対峙した六〇年 NSF(米国国立科学財団)長官を務めた科学者が語る
  10. ステファン・ヘル Stefan W. Hell

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年12月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

PythonとChatGPTを活用するスペクトル解析実践ガイド

概要ケモメトリクスと機械学習によるスペクトル解析を、Pythonの使い方と数学の基礎から実践…

一塩基違いの DNA の迅速な単離: 対照実験がどのように Nature への出版につながったか

第645回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院工学系研究科相田研究室の龚浩 (Gong Hao…

アキラル色素分子にキラル光学特性を付与するミセルを開発

第644回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 総合研究院 応用化学系 化学生命科学研究所 吉沢…

有機合成化学協会誌2025年2月号:C–H結合変換反応・脱炭酸・ベンゾジアゼピン系医薬品・ベンザイン・超分子ポリマー

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年2月号がオンライン公開されています。…

草津温泉の強酸性硫黄泉で痺れてきました【化学者が行く温泉巡りの旅】

臭い温泉に入りたい!  というわけで、硫黄系の温泉であり、日本でも最大の自然温泉湧出量を誇る草津温泉…

ディストニックラジカルによる多様なアンモニウム塩の合成法

第643回のスポットライトリサーチは、関西学院大学理工学研究科 村上研究室の木之下 拓海(きのした …

MEDCHEM NEWS 34-1 号「創薬を支える計測・検出技術の最前線」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

医薬品設計における三次元性指標(Fsp³)の再評価

近年、医薬品開発において候補分子の三次元構造が注目されてきました。特に、2009年に発表された論文「…

AI分子生成の導入と基本手法の紹介

本記事では、AIや情報技術を用いた分子生成技術の有機分子設計における有用性や代表的手法について解説し…

第53回ケムステVシンポ「化学×イノベーション -女性研究者が拓く未来-」を開催します!

第53回ケムステVシンポの会告です!今回のVシンポは、若手女性研究者のコミュニティと起業支援…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー