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ナノ化学

ジョージ・ホワイトサイズ George M. Whitesides

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 ジョージ・マクレランド・ホワイトサイズ(George McClelland Whitesides, 1939年8月3日-)はアメリカの化学者である。米国ハーバード大学教授(写真:wikipedia)

手がける研究領域は目がくらむほど幅広い。最近ではナノテクノロジー分野において活発に研究を展開している。

 経歴

1939年8月3日、ケンタッキー州ルイヴィルに生まれる。1964年にカリフォルニア工科大学(Caltech)でPh.D.を取得。当時の研究領域はNMR分光分析と有機化学。1963年にマサチューセッツ工科大学(MIT)で研究を行い、1982年にハーバード大学に移る。

1964 カリフォルニア工科大学 博士号取得 (J.D.Roberts 教授)
1963 マサチューセッツ工科大学 助教授
1969 マサチューセッツ工科大学 准教授
1974 マサチューセッツ工科大学 教授
1982 ハーバード大学 教授

受賞歴

1975 ACS Award in Pure Chemistry
1989 アーサー・C・コープ スカラー賞
1995 アーサー・C・コープ賞
1998 アメリカ国家科学賞
2003 京都賞
2005 リーナス・ポーリングメダル
2005 ロバート・ウェルチ賞
2005 Dan David Prize
2007 プリーストリーメダル
2008 アストゥリアス皇太子賞
2009 ベンジャミンフランクリンメダル
2009 Dreyfus Prize in the Chemical Science
2009 IKCOC Prize
2010 Othmer Gold Medal
2011 King Faisal International Prize for Science
2011 A. Cotton Award (Texas ACS Section)
2013 Gold Medal (Industrial Research Institute)
2014 Jan Czochralski Award (European Materials Research Society)

研究

MIT時代は、Corey-House-Posner-Whitesides反応と呼ばれる有機銅アート錯体の求核置換反応に関する研究を行なった。[1]

現在の研究領域は目がくらむほど多岐にわたっており、物理有機化学、材料科学、生物物理、複雑系科学、表面化学、微小流体力学、微細加工、自己組織化、ナノテクノロジー、生命の起源、細胞表面科学、開発途上国のための科学などがそのキーワードとしてあげられる。

化学の分野では金表面/ナノ粒子にチオール分子を組織化させる手法、自己組織化単分子膜(Self-Assembled Monolayers: SAMs)[2]、および極微のスタンプを用いて単分子膜のパターンを作り、これを基板上に転写するミクロ接触印刷法(Microprinting)[3]が開発が特に有名。

自己組織化単分子膜の模式図

近年、有機材料と空気注入だけで複雑な動きを実現させたソフト・ロボットを開発[4]した。

 

名言集

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コメント & その他

  1. ノーベル賞候補としてトムソンISIにも取り上げられる(2005年)。 存命科学者の中でも群を抜いて高いハーシュ指数を誇る(H=131)。1100以上の論文を執筆(2012年現在)。
  2. Advanced Materials誌に寄稿された“Whitesides Group: Writing a paper”[5]は、全ての研究者にとって一読の価値がある。短文ながら、単なる論文執筆の方法論にとどまらず、研究プロセスのマネジメントにまで言及している、含蓄ある内容となっている。
  3. 彼の研究室における至上目的は、”to fundamentally change the paradigms of science”である。
  4. サイエンスフォトグラファーFelice Frankelと共同で、科学・ナノテクノロジーを一般に伝える写真集「No Small Matter」「On the Surface of Things」を発刊している。(関連書籍参照)

 

 関連文献

  1. Whitesides, G. M.; Fischer, W. F., Jr.; Filippo, J. S., Jr.; Bashe, R. W.;  House, H. O.  J. Am. Chem. Soc. 1969, 91, 4871. doi:10.1021/ja01045a049.
  2. a) Love, J. C.; Estroff, L. A. ; Kriebel, J. K.; Nuzzo, R. G.; Whitesides, G. M. Chem. Rev. 2005,105, 1103.DOI:10.1021/cr0300789b) Gates, B. D.; Xu, Q.; Stewart, M.; Ryan, D.; Willson, R. C.; Whitesides, G. M. Chem. Rev. 2005, 105, 1171.DOI:10.1021/cr030076o
  3. a) Xia Y. N; Whitesides G. M. Angew. Chem. Int. Ed. 1998, 37, 551. [abstract] b) Aizenberg, J; Black, A. J.; Whitesides, G. M. Nature 1998, 394, 868. doi:10.1038/29730
  4. (a) Shepherd. R. F.; Chen, X.; Whitesides, G. M. Angewa. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 1890. DOI: 10.1002/anie.201006464 (b) Shepherd, R. F.; Ilievski, F.; Choi, W.; Morin, S. A.; Stokes, A. A.; Mazzeo, A. D.; Chen, X.; Wang, M.; Whitesides, G. M. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2011, 108, 20400. doi:10.1073/pnas.1116564108
  5. Whitesides, G. M. Adv. Mater. 2004, 16, 1375. doi:10.1002/adma.200400767

 関連書籍

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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