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ミケーレ・パリネロ Michele Parrinello

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ミケーレ・パリネロ (Michele Parrinello 1945年9月7日 メッシーナ生まれ) はイタリアの物理学者。スイス連邦工科大学教授。

略歴

1968 ボローニャ大学 Laurea
1973 ミラノ大学 博士研究員
トリエステ国際高等研究院, IBMチューリッヒ研究所, Max Planck固体研究所
2001 スイス連邦工科大学 教授

受賞歴

1990 EPS欧州物理学賞
2009 ディラックメダル、シドニー・ファーンバック賞
2011 マルセル・ブノア賞
2017 ドレフェス賞
2020 欧州化学ゴールドメダル
2021 ベンジャミン・フランクリンメダル
2024 クラリベイト引用栄誉賞

研究

分子動力学法の新展開 ab-initio molecular dynamics

Car–Parrinello法についてはこちらのページを参照。

分子動力学法の新展開 Parrinello–Rahmanアルゴリズム

Parrinello–Rahmanアルゴリズムは、分子動力学シミュレーションにおいて、システムの体積や形状を自由に変化させることを可能にする手法である。1980年にMichele ParrinelloとAneesur Rahmanが提案したこの方法は、特に結晶や固体の相転移、外圧下での構造変化を再現するために用いられる。従来の分子動力学では、固定されたボックス内でシステムをシミュレートするが、現実の物質は外的な圧力や温度の変化に応じて体積や形状を変える。Parrinello–Rahmanアルゴリズムは、この現実の変化をシミュレーション内でも再現可能にした。

このアルゴリズムでは、シミュレーションボックスの形状を記述する行列が導入され、ボックスの各辺の長さと角度が時間とともに変化する。これにより、システムは外圧や内部応力に対応して自然に形を変え、結晶構造の変化や材料の弾性変形などを精密に追跡できる。特に、材料科学や地球物理学の分野で、相転移や高圧条件下でのシミュレーションに強力なツールとして活用されている。

関連文献

  1. Parrinello, M.; Rahman, A. Polymorphic transitions in single crystals: A new molecular dynamics method J. Appl. Phys. 52, 7182-7190 (1981).  doi: 10.1063/1.328693

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有機合成化学が専門。主に天然物化学、ケミカルバイオロジーについて書いていきたいと思います。

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