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南 安規 Yasunori Minami

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南 安規(みなみ やすのり)は、日本の有機合成化学者である。産業技術総合研究所・触媒化学融合研究センター・主任研究員。専門は有機合成化学、有機金属化学、均一系触媒化学。第32回ケムステVシンポ講師。

経歴

2005年3月  大阪大学工学部応用自然科学科 卒業
2009年5-7月 GCOE特別研究員 (University of Illinois, Prof. John F. Hartwig)
2010年3月  大阪大学工学研究科応用化学専攻 博士号取得(神戸宣明 教授)
2010年4月 日本学術振興会特別研究員, PD(檜山為次郎 研究室)
2011年4月  中央大学 研究開発機構 機構助教 (檜山為次郎 山研究室)
2017年8月  中央大学 研究開発機構 機構准教授(檜山為次郎 山研究室)
2019年5月  東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 プロジェクト准教授(細谷孝充 研究室)
2019年10月  現職
2021年10月  科学技術振興機構 さきがけ研究員(兼任)

受賞歴

2018年  宇部興産学術振興財団 第58回学術奨励賞
2015年  日本化学会第95回春季年会「第29回若い世代の特別講演会」講演賞
2011年  東レ研究企画賞(2011年度有機合成化学協会研究企画賞)
2008年  第35回有機典型元素化学討論会 優秀ポスター賞

研究業績

1. PPSの触媒的解重合

スーパーエンジニアリングプラスチックとして知られる,ポリフェニレンスルフィド(PPS)を,パラジウム触媒とトリアルキルヒドロシランを用いることによって,穏和な条件下で解重合が進行することがわかった.その結果,重要有機原料の一つであるベンゼンと,硫黄源として利用されているジシリルスルフィドに収率よく変換することに成功した.硫黄化合物の水素化反応で問題となる有毒の硫化水素を生じないため,本分解法な安全面に優れている.

2. シリルエチニルエーテルを用いる高反応性ブタジエンの構築

シリルエチニルエーテルは含酸素化合物の優れた合成素子として知られているが,これにパラジウム触媒を組み合わせることによって,炭素-水素結合の切断を伴うさまざまな分子変換反応を実施できる.たとえば,3,5-ジメチルフェニルエチニルエーテルとアセトフェノンとの反応を適切なパラジウム触媒条件下で反応させると,メチルケトンのα炭素-水素結合の付加,つづく二重結合の異性化を経てBrassard型ジエンと類似構造を持つ1,3-ジオキシ-1,3-ブタジエンが得られる.また,アリールシリルエチニルエーテルとピバル酸置換アリルをパラジウム触媒と炭酸セシウムを用いて反応させると,両基質の炭素-水素結合の切断が伴う環化反応が進行し,exo環状ジエンを得ることができる.これらの反応で合成したジエンはいずれもアルケンとの付加環化反応が進行し,さまざまな環状化合物に変換できる.

3. 芳香族トリアルキルシランを用いるクロスカップリング

安定な芳香族トリアルキルシランが,適切な求電子性銅(II)触媒と塩基から成る触媒系によってヨウ化アリールとクロスカップリングすることを見つけた.本研究は,合成中間体として汎用されるπ電子共役系芳香族化合物のシリル体を直接クロスカップリングに適用できる.炭素基質は電子求引性置換基を有する芳香族基,または複素芳香族基を有するトリアルキルシランが主な対象となるが,電子供与性ユニットであるチオフェンも適用できるので,有機材料分子の重要骨格となる芳香族基質はたいてい本クロスカップリングの適用範囲に収まる.

 

関連文献

  1. Minami, Y.; Matsuyama, N.; Takeichi, Y.; Watanabe, R.; Mathew, S.; Nakajima, Y. Preprint at Research Square. DOI: 10.21203/rs.3.rs-1792948/v1.
  2. Minami, Y.; Matsuyama, N.; Matsuo, Y.; Tamura, M.; Sato, K.; Nakajima, Y. Synthesis 2021, 53, 3351-3354. DOI: 10.1055/a-1518-9010.
  3. Minami, Y.; Miyamoto, H.; Nakajima, Y. ChemCatChem 2021, 13, 855-858. DOI: 10.1002/cctc.202001685.
  4. Minami, Y.; Furuya, Y.; Hiyama, T. Chem. Eur. J. 2020, 26, 9471-9474. DOI: 10.1002/chem.202001119.
  5. Minami, Y.; Noguchi, Y.; Yamada, M.; Tsuruoka, C.; Furuya, Y.; Hiyama, T. Chem. Lett. 2018, 47, 1288-1291. DOI: 10.1246/cl.180582.
  6. Komiyama, T.; Minami, Y.; Furuya, Y.; Hiyama, T. Angew. Chem. Int. Ed. 2018, 57, 1987-1990. DOI: 10.1002/anie.201712081.
  7. Minami, Y.; Noguchi, Y.; Hiyama, T. J. Am. Chem. Soc. 2017, 139, 14013-14016. DOI: 10.1021/jacs.7b08055.
  8. Komiyama, T.; Minami, Y.; Hiyama, T. Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55, 15787-15791. DOI: 10.1002/anie.201608667.
  9. Minami, Y.; Sakai, M.; Anami, T.; Hiyama, T. Angew. Chem. Int. Ed. 2016, 55, 8701-8705. DOI: 10.1002/anie.201602252.

関連書籍

“Transition metal-catalyzed cross-coupling of organosilicon compounds” Tamejiro Hiyama, Yasunori Minami, Atsunori Mori, In Organosilicon Chemistry: Novel Approaches and Reactions, Eds. Tamejiro Hiyama, Martin Oestreich, Wiley-VCH Verlag GmbH & Co. KGaA, 2020, p271-332.

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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