[スポンサーリンク]

データサイエンス

谷池俊明 Toshiaki Taniike

[スポンサーリンク]

谷池 俊明(たにいけ としあき)は日本の化学者である。北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 物質化学フロンティア研究領域・教授。専門は触媒化学・高分子科学・ハイスループット実験・マテリアルズインフォマティクス・計算化学など。第25回ケムステVシンポ「データサイエンスが導く化学の最先端」講師。

経歴

2001 年:東京大学 工学部 化学システム工学科 卒業
2003 年:東京大学大学院 工学系研究科 化学システム工学専攻 修士課程修了(山下 晃一 教授)
2003 年:日本学術振興会 特別研究員(DC1)
2006 年:東京大学大学院 理学系研究科 化学専攻 博士課程修了(岩澤 康裕 教授)
2006 年:東京大学大学院 理学系研究科 化学専攻 COE 特別研究員
2006 年:北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルサイエンス研究科 助教(旧称:助手)
2013 年:北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 准教授
2020 年:北陸先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究科 教授
2020 年:北陸先端科学技術大学院大学 マテリアルズインフォマティクス国際研究拠点 拠点長(兼務)

受賞歴

2006 年:日本化学会年会学生講演賞
2010 年:マテリアルライフ学会研究奨励賞
2012 年:8th International Colloquium on Heterogeneous Ziegler-Natta Catalysts Young Scientist Award
2013 年:マテリアルライフ学会論文賞
2017 年:平成 28 年度石油学会奨励賞
2019 年:マテリアルライフ学会総説賞
2019 年:北陸先端科学技術大学院大学学長賞

研究業績

物質・材料研究にデータ科学の方法論を適用するマテリアルズインフォマティクス(MI)は、ものづくりの在り方を不可逆的に変革する可能性を秘めています。一方で、規模・分散・均質性の点で、データ科学足り得るデータセットの欠如がMI研究の大きな課題となっています。特に、研究者がそれぞれの仮説に従い収集してきたデータは偏っており、機械学習はそのような人為的バイアスをも学習してしまいます。私たちでは、独自に設計したハイスループット実験技術を用いて高品質な材料ビッグデータを自製し、MI研究を推進しています。例えば、触媒分野では、日に4000点もの触媒データを自動取得するハイスループット触媒評価装置を開発し、MIの手法を用いて、様々な新規メタン酸化カップリング触媒を発見してきました1−4。高分子分野では、高分子100検体の同時寿命決定が可能なハイスループット化学発光イメージング装置を開発し、遺伝的アルゴリズムを用いて、汎用プラスチックの高温酸化を抑制する新規安定化剤配合を開発しました5,6。これらの研究成果は、「ハイスループット実験とMIの組み合わせが、短期間に、前知見によらないゼロからの材料開発を実現する」近未来を示すものと考えています。

関連文献

  1. Nguyen, T. N.; Nhat, T. T. P.; Takimoto, K.; Thakur, A.; Nishimura, S.; Ohyama, J.; Miyazato, I.; Takahashi, L.; Fujima, J.; Takahashi, K.; Taniike, T. High-Throughput Experimentation and Catalyst Informatics for Oxidative Coupling of Methane. ACS Catal. 2020, 10, 921– 932, DOI: 10.1021/acscatal.9b04293
  2. Nguyen, T. N.; Nakanowatari, S.; Nhat Tran, T. P.; Thakur, A.; Takahashi, L.; Takahashi, K.; Taniike, T. Learning Catalyst Design Based on Bias-Free Data Set for Oxidative Coupling of Methane. Catal. 2021, 11, 1797–1809, DOI: 10.1021/acscatal.0c04629
  3. Nakanowatari, S.; Nguyen, T. N.; Chikuma, H.; Fujiwara, A.; Seenivasan, K.; Thakur, A.; Takahashi, L.; Takahashi, K.; Taniike, T. Extraction of Catalyst Design Heuristics from Random Catalyst Dataset and their Utilization in Catalyst Development for Oxidative Coupling of Methane. ChemCatChem 2021, 13, 3262–3269, DOI: 10.1002/cctc.202100460
  4. Takahashi, L.; Nguyen, T. N.; Nakanowatari, S.; Fujiwara, A.; Taniike, T.; Takahashi, K. Constructing catalyst knowledge networks from catalyst big data in oxidative coupling of methane for designing catalysts. Sci. 2021, 12, 12546–12555, DOI: 10.1039/D1SC04390K
  5. Aratani, N.; Katada, I.; Nakayama, K.; Terano, M.; Taniike, T. Development of High Throughput Chemiluminescence Imaging Instrument for Parallel Evaluation of Polymer Lifetime. Polym. Degrad. Stab. 2015, 121, 340–347, DOI: 10.1016/j.polymdegradstab.2015.09.025
  6. Taniike, T.; Kitamura, T.; Nakayama, K.; Takimoto, K.; Aratani, N.; Wada, T.; Thakur, A.; Chammingkwan, P. Stabilizer Formulation Based on High-Throughput Chemiluminescence Imaging and Machine Learning. ACS Appl. Polym. Mater. 2020, 2, 3319–3326, DOI: 10.1021/acsapm.0c00442

関連動画

関連リンク

北陸先端科学技術大学院大学 谷池研究室 ホームページ

hoda

投稿者の記事一覧

大学院生です。ケモインフォマティクス→触媒

関連記事

  1. モーリス・ブルックハート Maurice S. Brookhar…
  2. 生越 友樹 Tomoki Ogoshi
  3. ブルース・リプシュッツ Bruce H. Lipshutz
  4. マックス・プランク Max Planck
  5. ジン=クアン・ユー Jin-Quan Yu
  6. マリア フリッツァニ-ステファノポウロス Maria Flytz…
  7. 渡邉 峻一郎 Shun Watanabe
  8. ベン・クラヴァット Benjamin F. Cravatt II…

注目情報

ピックアップ記事

  1. ケムステ記事ランキングまとめ
  2. もう入れたよね?薬学会年会アプリ
  3. Carl Boschの人生 その2
  4. ウォーレン有機化学
  5. OMCOS19に参加しよう!
  6. クリック反応に有用なジベンゾアザシクロオクチンの高効率合成法を開発
  7. アルコールをアルキル化剤に!ヘテロ芳香環のC-Hアルキル化
  8. 無保護環状アミンをワンポットで多重官能基化する
  9. シュタウディンガー ケテン環化付加 Staudinger Ketene Cycloaddition
  10. 電解液中のイオンが電気化学反応の選択性を決定する

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2022年4月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

注目情報

最新記事

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

2024年の化学企業グローバル・トップ50

グローバル・トップ50をケムステニュースで取り上げるのは定番になっておりましたが、今年は忙しくて発表…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP