[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

八木 政行 Masayuki Yagi

[スポンサーリンク]

八木 政行(やぎ まさゆき、Yagi Masayuki、1968年 -)は、日本の化学者である (写真はこちらより引用)。専門は無機化学、高分子化学。特に金属錯体を利用した人工光合成系の開発で顕著な業績をあげている。新潟大学 教授。

経歴

1991 茨城大学 理学部 卒業
1996 埼玉大学 大学院理工学研究科 博士後期課程修了
1996 新潟大学教育学部助手員
1997 新潟大学教育学部准教授
2009 新潟大学工学部教授

受賞歴

2005年09月 平成17年度錯体化学会研究奨励賞
2002年05月 インテリジェント・コスモス奨励賞
2002年05月 高分子研究奨励賞

研究業績

人工光合成システムの構築

近年深刻な社会問題となっているエネルギー・環境問題の解決のため、次世代エネルギー供給システムの一つである人工光合成の研究を盛んに行っている。光合成の精緻を極めた光化学エネルギー変換の分子基盤を手本に、革新的な人工光合成系の構築に挑戦している。光合成システムにおける主要機能である以下三つの観点に注目し尽力されている。
①光機能(集光、光電荷分離)1,2
②電子機能(ベクトル電子伝達)3
③多電子触媒機能(水の酸化、二酸化炭素の還元)4,5
数ある業績の中で、特に③に該当する水の酸化反応に注力されている。水は安価で地球上に豊富に存在するだけでなく、酸化生成物はクリーンな酸素であるため非常に適した電子源として期待されている。水の有効利用のためには、高活性かつ安定な酸化触媒の開発が不可欠である。研究の一つとして、例えばマンガン錯体を用いた酸素生成反応を報告している。4ここでは、水溶液中では触媒不活性であったマンガン錯体を、粘土化合物に吸着させると、水から触媒的に酸素が生成することを明らかにしている。

 

関連文献

  1. Chandra, D. et al. Characterization of Interfacial Charge-Transfer Photoexcitation of Polychromium-Oxo-Electrodeposited TiO2 as an Earth-Abundant Photoanode for Water Oxidation Driven by Visible Light. Chempluschem 81, 1116–1122 (2016).
  2. Morimoto, D. et al. Light Energy Accumulation from Pyrene Derivative to Tris(bipyridine)ruthenium on Clay Surface. Langmuir 33, 3680–3684 (2017).
  3. Shinohara, T. et al. Morphology Control of Energy-Gap-Engineered Nb2O5 Nanowires and the Regioselective Growth of CdS for Efficient Carrier Transfer Across an Oxide-Sulphide Nanointerface. Sci. Rep. 7, 2–10 (2017).
  4. Yagi, M. & Narita, K. Catalytic O2 evolution from water induced by adsorption of [(OH2)(Terpy)Mn(μ-O)2Mn(Terpy)(OH2)] 3+ complex onto clay compounds. J. Am. Chem. Soc. 126, 8084–8085 (2004).
  5. Chandra, D. et al. Polymer surfactant-assisted tunable nanostructures of amorphous IrOx thin films for efficient electrocatalytic water oxidation. Catal. Today 290, 51–58 (2017).

関連書籍

[amazonjs asin=”478270710X” locale=”JP” title=”人工光合成―光エネルギーによる物質変換の化学 (複合系の光機能研究会選書)”] [amazonjs asin=”478130916X” locale=”JP” title=”人工光合成―システム構築に向けての最新技術動向と展望 (ファインケミカルシリーズ)”] [amazonjs asin=”425414105X” locale=”JP” title=”錯体化合物事典”]

関連リンク

YS

投稿者の記事一覧

大学院生。専門は光化学で、人工光合成と有機ELに関する研究に取り組んでいます。

関連記事

  1. リック・ダンハイザー Rick L. Danheiser
  2. ディーン・トースト F. Dean Toste
  3. ブラッドリー・ムーアBradley Moore
  4. ジェイ・キースリング Jay Keasling
  5. ロジャー・コーンバーグ Roger Kornberg
  6. ゲイリー・モランダー Gary A. Molander
  7. ダニエル・ノセラ Daniel G. Nocera
  8. ポール・モドリッチ Paul L. Modrich

注目情報

ピックアップ記事

  1. アリ・ワーシェル Arieh Warshel
  2. 第94回日本化学会付設展示会ケムステキャンペーン!Part III
  3. ポール・モドリッチ Paul L. Modrich
  4. 薬学会一般シンポジウム『異分野融合で切り込む!膜タンパク質の世界』
  5. 科研費の審査員を経験して
  6. クレイグ・ホーカー Craig J. Hawker
  7. カスガマイシン (kasugamycin)
  8. 紫外線に迅速応答するフォトクロミック分子
  9. CO2の資源利用を目指した新たなプラスチック合成法
  10. 黒よりも黒い? 「最も暗い」物質 米大学チーム作製

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年6月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

硫黄と別れてもリンカーが束縛する!曲がったπ共役分子の構築

紫外光による脱硫反応を利用することで、本来は平面であるはずのペリレンビスイミド骨格を歪ませることに成…

有機合成化学協会誌2024年11月号:英文特集号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年11月号がオンライン公開されています。…

小型でも妥協なし!幅広い化合物をサチレーションフリーのELSDで検出

UV吸収のない化合物を精製する際、一定量でフラクションをすべて収集し、TLCで呈色試…

第48回ケムステVシンポ「ペプチド創薬のフロントランナーズ」を開催します!

いよいよ本年もあと僅かとなって参りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。冬…

3つのラジカルを自由自在!アルケンのアリール–アルキル化反応

アルケンの位置選択的なアリール–アルキル化反応が報告された。ラジカルソーティングを用いた三種類のラジ…

【日産化学 26卒/Zoomウェビナー配信!】START your ChemiSTORY あなたの化学をさがす 研究職限定 キャリアマッチングLIVE

3日間で10領域の研究職社員がプレゼンテーション!日産化学の全研究領域を公開する、研…

ミトコンドリア内タンパク質を分解する標的タンパク質分解技術「mitoTPD」の開発

第 631 回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院 生命科学研究科 修士課程2…

永木愛一郎 Aiichiro Nagaki

永木愛一郎(1973年1月23日-)は、日本の化学者である。現在北海道大学大学院理学研究院化学部…

11/16(土)Zoom開催 【10:30~博士課程×女性のキャリア】 【14:00~富士フイルム・レゾナック 女子学生のためのセミナー】

化学系の就職活動を支援する『化学系学生のための就活』からのご案内です。11/16…

KISTEC教育講座『中間水コンセプトによるバイオ・医療材料開発』 ~水・生体環境下で優れた機能を発揮させるための材料・表面・デバイス設計~

 開講期間 令和6年12月10日(火)、11日(水)詳細・お申し込みはこちら2 コースの…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP