石谷 治(いしたに おさむ、ISHITANI Osamu、1959年 -)、日本の化学者である (写真はこちらより引用)。専門は光化学。特に金属錯体を利用した人工光合成系の開発で顕著な業績をあげている。東京工業大学 教授。
経歴
1982 神戸大学 工学部 工業化学科卒業
1987 大阪大学 大学院工学研究科 プロセス工学専攻 工学博士取得
1988 ハーン・マイトナー研究所(ドイツ)博士研究員
1988 工業技術院公害資源研究所(現 産業技術総合研究所)入所
1990 同主任研究官
1992 ノッチンガム大学(イギリス)客員研究員(RITE中期在外研究)
1993 ノースキャロライナ大学チャペルヒル校(アメリカ)客員研究員(科学技術庁長期在外研究)
1995 埼玉大学 大学院理工学研究科 環境制御工学専攻 助教授
2002 東京工業大学 大学院理工学研究科 化学専攻 助教授
2006-現在 東京工業大学 大学院理工学研究科 化学専攻 教授
受賞歴
2007年9月 光化学協会 光化学協会賞
2007年 The Japanese Photochemistry Association Award
2014年2月 東京工業大学 手島精一記念研究論文賞受賞
2015年5月 Hong Kong Baptist University Distinguished Scholar 石谷 治
2017年4月 文部科学省 文部科学大臣表彰 科学技術賞(研究部門) 「二酸化炭素を還元資源化する可視光駆動光触媒の研究」
研究業績
レニウム (I) 錯体を用いた高効率なCO 2還元触媒系の開発
地球温暖化問題や化石資源の枯渇問題の解決策として注目されている人工光合成についての研究を盛んに行われており、業界の先駆者、かつトップランナーとして活躍している。人工光合成とは、文字通り光合成を人為的に行う技術のことである。重点的に研究されているのは、レニウムやルテニウム錯体を用いた二酸化炭素の還元に伴う一酸化炭素やギ酸の生成反応である。これまでに世界最高レベルで高効率かつ高選択性を有する光触媒を開発している。1–3また、複雑で難航している反応メカニズムに対しても、積極的に取り組まれており、画期的なスキームを提案されている。4
その他、石谷・前田研究室では
- 金属錯体の光化学と光反応化学
- 光配位子交換反応を活用した光機能性集積型金属錯体の創製
- 二酸化炭素還元光触媒の高機能化
- 人工光合成系の構築を目指した多電子酸化還元系の開発
- 粉末半導体を用いたエネルギー変換型光触媒系の構築
- 金属錯体–半導体ハイブリッド光触媒の創製 など、広く光反応化学を極め、「光エネルギーの有効利用に資する化学システムの創成を目指す」研究を展開されている。
名言集
コメント&その他
関連動画
関連文献
- Kuriki R, Sekizawa K, Ishitani O, Maeda K. Visible-light-driven CO2 reduction with carbon nitride: Enhancing the activity of ruthenium catalysts. Angew Chemie – Int Ed. 2015;54(8):2406-2409. doi:10.1002/anie.201411170
- Gholamkhass B, Mametsuka H, Koike K, Tanabe T, Furue M, Ishitani O. Architecture of supramolecular metal complexes for photocatalytic CO 2 reduction: Ruthenium-rhenium bi- and tetranuclear complexes. Inorg Chem. 2005;44(7):2326-2336. doi:10.1021/ic048779r
- Cancelliere AM, Puntoriero F, Serroni S, et al. Efficient trinuclear Ru(ii)-Re(i) supramolecular photocatalysts for CO2 reduction based on a new tris-chelating bridging ligand built around a central aromatic ring. Chem Sci. 2020;11(6):1556-1563. doi:10.1039/c9sc04532e
- Takeda H, Koike K, Inoue H, Ishitani O. Development of an efficient photocatalytic system for CO2 reduction using rhenium(I) complexes based on mechanistic studies. J Am Chem Soc. 2008;130(6):2023-2031. doi:10.1021/ja077752e