[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

エイモス・B・スミス III Amos B. Smith III

[スポンサーリンク]

エイモス・B・スミス III(Amos. B. Smith III、1944年8月26日–)は米国の有機化学者である。米国ペンシルバニア大学教授。

経歴

1966 バックネル大学 修士号取得 (H. W. Heine 教授)
1972 ロックフェラー大学 博士号取得 (W. C. Agosta 教授)
1972–1973 同大学 助教 (W. C. Agosta 教授)
1973–1978 ペンシルバニア大学 助教授
1973–1978 Monell Chemical Senses Center 助手
1978–1981 ペンシルバニア大学 准教授
1978–1981 Monell Chemical Senses Center 準会員
1981– ペンシルバニア大学 教授
1981– Monell Chemical Senses Center 会員
1980 コロンビア大学 訪問准教授
1982 英国・ケンブリッジ大学 訪問教授
1988–1996 ペンシルバニア大学 化学科主任
1990– ペンシルバニア大学 Rhodes-Thompson 教授
1990– 北里大学 客員教授
1999– ACS Organic Letters 編集長
2000オークランド大学 客員教授
2005–2009 ペンシルバニア大学 参事
2009 カナダ・クイーンズ大学 名誉博士号
2012 中国・江蘇師範大学 名誉教授

受賞歴

1978–1983 Camille and Henry Dreyfus Teacher-Scholar Award
1978 Master of Arts (hon), University of Pennsylvania
1980–1985 NIH Career Development Award (National Cancer Institute)
1985–1986 Fellow, The John Simon Guggenheim Foundation
1986–1987 日本学術振興会フェロー
1986 Philadelphia Section Award of the American Chemical Society
1990 Philadelphia Organic Chemists Club Award
1990 北里研究所 微生物化学メダル
1991 Arthur C. Cope Scholar Award
1991 Honor Scroll Award – American Institute of Chemists
1992 Alexander von Humboldt Research Award for Senior U.S. Scientists
1993 ACS Ernest Guenther Award in the Chemistry of Natural Products
1993 Alumni Award for Outstanding Professional Achievement – Bucknell University
1997 University of Oregon Creativity Award
1997 ACS Award for Creative Work in Synthetic Organic Chemistry
1999 Honorary Membership – Pharmaceutical Society of Japan
2001 名誉会員 北里研究所
2002 Fellow, American Association for the Advancement of Science
2002 Centenary Medal and Lectureship, Royal Society of Chemistry, London, UK
2003 山田–古賀メダル
2004 First Provost’s Award for Distinguished Teaching and Mentoring Ph.D. Students, University of Pennsylvania
2004旭日中綬章
2006 Fellow, American Academy of Arts and Sciences
2007– Member, ESPCI International Scientific Council, Paris, France
2008 Simonsen Medal, Royal Society of Chemistry, United Kingdom
2009 Inaugural Fellow, American Chemical Society
2011 Wilsmore Professorship, Melbourne University, Melbourne, Australia
2014 Paul Gassman Award, Organic Division, American Chemical Society
2014 William H. Nichols Medal, New York Section of the American Chemical Society
2015 Allan R. Day Award, Philadelphia Organic Chemists’ Club
2015 Philadelphia Drug Discovery Institute Award, Doylestown, PA
2015 Perkin Prize for Organic Chemistry, Royal Society of Chemistry, UK
2016 Honorary Issue: The Journal of Antibiotics

研究概要

これまでに700報以上の論文を報告しており有機合成化学からケミカルバイオロジーなどの幅広い分野で活躍している。また90以上の天然物や生物活性物質の合成に成功している。

アニオンリレーケミストリー(ARC)を用いた全合成研究

Brook転位のような分子内でアニオンの転位が起こる反応を用い、短工程かつ完全な位置選択性で多成分の連結を行えるアニオンリレーケミストリー(Anion Relay Chemistry: ARC)を用いた全合成研究を行っている。

この手法により数多くの天然物の部分合成や全合成を達成した。例えば、この方法論のType Iに基づいた (+)-スポンジスタチン2[1]や(+)-テダノリド[2]、Type IIを用いたゴルゴニアンセスキテルペン[3]の全合成を報告している。

抗体を触媒に用いたペプチド合成[4]

ラルフ・ハーシュマン (Ralph F. Hirschmann)、スティーブン・J・ベンコービック(Stephen J Benkovic)等との共同研究で、抗体の一種である16G3を触媒として用いるペプチド合成法の開発に成功した。

種々のアミノ酸を抗体触媒により縮合し、種々の鎖状および環状ペプチドを合成した。

他にも様々な化合物の生物活性評価やフラーレンを用いた化学など様々な分野で結果を残している。

名言集

動画

 

コメント&その他

  • Smith教授が編集長を務める米国化学会Organic Letter誌は添付するSupporting Informationの厳しさに定評がある。 Lett. 2015, 17, 2867. DOI: 10.1021/acs.orglett.5b01700
  • 親日家で、日本名とそれが記された名刺(英申・寿美寿)をもっている。
  • 多くの日本人が博士研究員として同教授の研究室で研鑽を積んでいる。例(敬称略):慶応大 千田憲孝、東北大・徳山英利、東北大・有本 博一、山形大 今野博行、北大・大熊毅(学生時)、東北大・叶直樹、北里大・廣瀬友靖、筑波大・沓村憲樹、京大・三浦智也、近大・前川智弘、金大・添田貴宏・横国大・五東弘昭(学生時)・奥羽大・石山玄明など多数。
  • 当時Smith研究室の学生であったLaszlo Kurti らは、在籍時に人名反応を集めた著名な書籍”Strategic Applications of Named Reactions in Organic Synthesis”を執筆している。

関連文献

  1. Smith, A. B., III.; Lin, Q.; Doughty, V. A.; Zhuang, L.; McBriar, M. D.; Kerns, J. K.; Brook, C. S.; Murase, N.; Nakayama, K. Angew. Chem., Int. Ed. 2001, 40, 196. DOI: 10.1002/1521-3773(20010105)40:1<196::AID-ANIE196>3.0.CO;2-T
  2. Smith, A. B. III.; Lee, D. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 10957. DOI: 10.1021/ja073329u
  3. Smith, A. B. III.; Kim, D-S.; Xian, Ming. Chem. Lett. 2007, 9, 3307.DOI: 10.1021/ol071281j
  4. Hirschmann, R.; Smith, A. B., III; Taylor, C. M.; Benkovic, P. A.; Taylor, S. D.; Yager, K. M.; Sprengeler, P. A.; Benkovic, S. J. Science 1994, 265, 234. DOI: 1126/science.8023141
Avatar photo

山口 研究室

投稿者の記事一覧

早稲田大学山口研究室の抄録会からピックアップした研究紹介記事。

関連記事

  1. キャロライン・ベルトッツィ Carolyn R. Bertozz…
  2. 山本明夫 Akio Yamamoto
  3. 鄧 青雲 Ching W. Tang
  4. 森謙治 Kenji Mori
  5. フランツ=ウルリッヒ・ハートル Franz-Ulrich Har…
  6. ピエトロ・ビギネリ Pietro Biginelli
  7. 黒田チカ Chika Kuroda
  8. リチャード・スモーリー Richard E. Smalley

注目情報

ピックアップ記事

  1. 日本最大の化学物質データーベース無料公開へ
  2. 材料開発の変革をリードするスタートアップのデータサイエンティストとは?
  3. 112番元素が正式に周期表の仲間入り
  4. 不均一系接触水素化 Heterogeneous Hydrogenation
  5. 野依さん講演を高速無線LAN中継、神鋼が実験
  6. 人と人との「結合」を「活性化」する
  7. 第48回「分子の光応答に基づく新現象・新機能の創出」森本 正和 教授
  8. ピバロイルクロリド:Pivaloyl Chloride
  9. 化学業界と就職活動
  10. 有機テルル媒介リビングラジカル重合 Organotellurium-mediated Living Radical Polymerization (TERP)

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2018年1月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

注目情報

最新記事

硫黄と別れてもリンカーが束縛する!曲がったπ共役分子の構築

紫外光による脱硫反応を利用することで、本来は平面であるはずのペリレンビスイミド骨格を歪ませることに成…

有機合成化学協会誌2024年11月号:英文特集号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年11月号がオンライン公開されています。…

小型でも妥協なし!幅広い化合物をサチレーションフリーのELSDで検出

UV吸収のない化合物を精製する際、一定量でフラクションをすべて収集し、TLCで呈色試…

第48回ケムステVシンポ「ペプチド創薬のフロントランナーズ」を開催します!

いよいよ本年もあと僅かとなって参りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。冬…

3つのラジカルを自由自在!アルケンのアリール–アルキル化反応

アルケンの位置選択的なアリール–アルキル化反応が報告された。ラジカルソーティングを用いた三種類のラジ…

【日産化学 26卒/Zoomウェビナー配信!】START your ChemiSTORY あなたの化学をさがす 研究職限定 キャリアマッチングLIVE

3日間で10領域の研究職社員がプレゼンテーション!日産化学の全研究領域を公開する、研…

ミトコンドリア内タンパク質を分解する標的タンパク質分解技術「mitoTPD」の開発

第 631 回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院 生命科学研究科 修士課程2…

永木愛一郎 Aiichiro Nagaki

永木愛一郎(1973年1月23日-)は、日本の化学者である。現在北海道大学大学院理学研究院化学部…

11/16(土)Zoom開催 【10:30~博士課程×女性のキャリア】 【14:00~富士フイルム・レゾナック 女子学生のためのセミナー】

化学系の就職活動を支援する『化学系学生のための就活』からのご案内です。11/16…

KISTEC教育講座『中間水コンセプトによるバイオ・医療材料開発』 ~水・生体環境下で優れた機能を発揮させるための材料・表面・デバイス設計~

 開講期間 令和6年12月10日(火)、11日(水)詳細・お申し込みはこちら2 コースの…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP