[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

トーマス・レクタ Thomas Lectka

[スポンサーリンク]

トーマス・レクタ (Thomas Lectka、19xx年xx月x日(デトロイト生)-)は、米国の有機化学者である。ジョン・ホプキンス大学 教授。(写真: JHU Department of Chemistry)

経歴

1986 Oberlin College卒業
1991 コーネル大学 博士号取得
1992-1994 ハーバード大学 博士研究員
1994 ジョン・ホプキンス大学 助教授
2002 ジョン・ホプキンス大学 教授
2012 ジョン・ホプキンス大学 Jean and Norman Scowe Professor of Chemistry

受賞歴

John Simon Guggenheim Memorial Fellow
Alfred P. Sloan Fellow
Merck Faculty Development Award
Camille Dreyfus Teacher Scholar
DuPont ATE Grant
American Cancer Society New Faculty Grantee
NSF Career Award
Eli Lilly Young Faculty Grantee
NIH First Award

研究概要

有機触媒を用いる不斉Staudinger環化[1-4]

ケテン前駆体である酸クロリドとイミンの間の不斉[2+2]環化付加を進行させ、βラクタムを合成する有機触媒系を開発している。

溶液中で生成するフルオロニウムイオンに関する研究[5]

塩素・臭素・ヨウ素原子が関与する三中心結合はよく知られているが、フッ素のそれは質量分析のみで推定されていた。Lectkaらはフッ素原子の隣接基関与が働く慧を巧みに組み上げ、そのようなフルオロニウムイオンの介在を証明した。

各種C-Hフッ素化反応の開発[6-8]

適切な銅触媒や光照射条件を用いることで、通常不活性なsp3C-H結合をフッ素化する数々の化学反応を開発している。

関連論文

  1. (a) Taggi, A. E.; Hafez, A. M.; Wack, H.; Young, B.; Drury, W. J., III; Lectka, T. “Catalytic, Asymmetric Synthesis of beta-Lactams” J. Am. Chem. Soc. 2000, 122, 7831. DOI: 10.1021/ja001754g (b) Taggi, A. E.; Hafez, A. M.; Wack, H.; Young, B.; Ferraris, D.; Lectka, T. “The Development of the First Catalyzed Reaction of Ketenes and Imines: Catalytic, Asymmetric Synthesis of beta-Lactams” J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 6626. DOI: 10.1021/ja0258226
  2. “Nucleophilic Chiral Amines as Catalysts in Asymmetric Synthesis” France, S.; Guerin, D. J.; Miller, S. J.; Lectka, T. Chem. Rev. 2003, 103, 2985. DOI: 10.1021/cr020061a
  3. “Chemical Synthesis of β- Lactams: Asymmetric Catalysis and Other Recent Advances” Pitts, C. R.; Lectka, T. Chem. Rev. 2014, 114, 7930. DOI: 10.1021/cr4005549
  4. “Bifunctional Asymmetric Catalysis: Cooperative Lewis Acid/Base Systems” Paull, D. H.; Abraham, C. J.; Scerba, M. T.; Alden-Danforth, E.; Lectka, T. Acc. Chem. Res. 2008, 41, 655. DOI: 10.1021/ar700261a
  5. (a) “Evidence for a Symmetrical Fluoronium Ion in Solution” Struble, M. D.; Scerba, M. T.; Siegler, M.; Lectka, T. Science 2013, 340, 57. DOI: 10.1126/science.1231247 (b) “Search for a Symmetrical C-F-C Fluoronium Ion in Solution: Kinetic Isotope Effects, Synthetic Labeling, and Computational, Solvent, and Rate Studies” Struble, M. D.; Holl, M. G.; Scerba, M. T.; Siegler, M. A.; Lectka, T.  J. Am. Chem. Soc. 2015, 137, 11476. DOI: 10.1021/jacs.5b07066
  6. “Direct, Catalytic Monofluorination of sp3 C-H Bonds: A Radical-Based Mechanism with Ionic Selectivity” Pitts, C. R.; Bloom, S.; Woltornist, R.; Auvenshine, D. J.; Ryzhkov, L. R.; Siegler, M. A.; Lectka, T. J. Am. Chem. Soc. 2014, 136, 9780. DOI: 10.1021/ja505136j
  7. “Multiple Enone-Directed Reactivity Modes Lead to the Selective Photochemical Fluorination of Polycyclic Terpenoid Derivatives” Pitts, C. R.; Bume, D. D.; Harry, S. A.; Siegler, M. A.; Lectka, T. J. Am. Chem. Soc. 2017, 139, 2208. DOI: 10.1021/jacs.7b00335
  8. “Ketones as directing groups in photocatalytic sp3 C-H fluorination” Bume, D. D.; Pitts, C. R.; Ghorbani, F.; Harry, S. A.; Capilato, J. N.; Siegler, M. A.; Lectka, T.  Chem. Sci. 2017, 8, 6918. doi:10.1039/C7SC02703F

関連リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. クゥイリン・ディン Kui-Ling Ding
  2. デイヴィット・ベイカー David Baker
  3. マリア フリッツァニ-ステファノポウロス Maria Flytz…
  4. バリー・シャープレス Karl Barry Sharpless
  5. マシュー・ゴーント Matthew J. Gaunt
  6. 丸岡 啓二 Keiji Maruoka
  7. ロジャー・コーンバーグ Roger Kornberg
  8. エイダ・ヨナス Ada E. Yonath

注目情報

ピックアップ記事

  1. ソウル大教授Nature Materials論文捏造か?
  2. 農薬DDTが大好きな蜂
  3. The Merck Index: An Encyclopedia of Chemicals, Drugs, And Biologicals
  4. 第51回「電流でDNAを検出する」佐藤しのぶ准教授
  5. 共有結合で標的タンパク質を高選択的に機能阻害する新しいドラッグデザイン
  6. 10-メチルアクリジニウム触媒を用いたBaeyer-Villiger酸化反応
  7. ビジネスが科学を待っている ー「バイオ」と「脱炭素」ー
  8. 研究室でDIY!割れないマニホールドをつくろう・改
  9. 第30回ケムステVシンポ「世界に羽ばたく日本の化学研究」ーAldrichimica Actaコラボレーションを開催します
  10. ブレデレック イミダゾール合成 Bredereck Imidazole Synthesis

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2017年12月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2024年12月号:パラジウム-ヒドロキシ基含有ホスフィン触媒・元素多様化・縮環型天然物・求電子的シアノ化・オリゴペプチド合成

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年12月号がオンライン公開されています。…

「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用した材料研究の新潮流~

 開講期間 2025年1月8日(水)、9日(木)、15日(水)、16日(木) 計4日間申込みはこ…

余裕でドラフトに収まるビュッヒ史上最小 ロータリーエバポレーターR-80シリーズ

高性能のロータリーエバポレーターで、効率良く研究を進めたい。けれど設置スペースに限りがあり購入を諦め…

有機ホウ素化合物の「安定性」と「反応性」を両立した新しい鈴木–宮浦クロスカップリング反応の開発

第 635 回のスポットライトリサーチは、広島大学大学院・先進理工系科学研究科 博士…

植物繊維を叩いてアンモニアをつくろう ~メカノケミカル窒素固定新合成法~

Tshozoです。今回また興味深い、農業や資源問題の解決の突破口になり得る窒素固定方法がNatu…

自己実現を模索した50代のキャリア選択。「やりたいこと」が年収を上回った瞬間

50歳前後は、会社員にとってキャリアの大きな節目となります。定年までの道筋を見据えて、現職に留まるべ…

イグノーベル賞2024振り返り

ノーベル賞も発表されており、イグノーベル賞の紹介は今更かもしれませんが紹介記事を作成しました。 …

亜鉛–ヒドリド種を持つ金属–有機構造体による高温での二酸化炭素回収

亜鉛–ヒドリド部位を持つ金属–有機構造体 (metal–organic frameworks; MO…

求人は増えているのになぜ?「転職先が決まらない人」に共通する行動パターンとは?

転職市場が活発に動いている中でも、なかなか転職先が決まらない人がいるのはなぜでしょう…

三脚型トリプチセン超分子足場を用いて一重項分裂を促進する配置へとペンタセンクロモフォアを集合化させることに成功

第634回のスポットライトリサーチは、 東京科学大学 物質理工学院(福島研究室)博士課程後期3年の福…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP