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カール・ダイセロス Karl Deisseroth

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カール・ダイセロス(Karl Deisseroth, 1971年11月18日-)はアメリカの神経科学者・精神科医である。米スタンフォード大学教授、ハワード・ヒューズ医学研究所研究員。(写真:Stanford Bio-X)

経歴

1992 ハーバード大学卒業
1998 スタンフォード大学 博士号取得
2000 スタンフォード大学 Medical School MD取得
2005-2008 スタンフォード大学 助教授
2009-2012 スタンフォード大学 准教授
2012-現在 スタンフォード大学 D.H.Chen Professor

<兼務>

2013-現在 ハワード・ヒューズ医学研究所 研究員
2013-現在 カロリンスカ研究所 客員教授

受賞歴

2005 NIH Pioneer Award
2010 HFST Nakasonoe Award
2010 Koester Award
2011 W. Alden Spencer Award
2012 Per-UNC Neuroscience Prize
2013 Richard Lounsvery Award
2013 Jacob Heskel Gabbay Award
2014 慶應医学賞
2015 Albany Medical Center Prize
2015 Lurie Prize in Miomedical Sciences
2016 生命科学ブレイクスルー賞
2016 ハーヴェイ賞、テクニオン-イスラエル工科大学
2016 マスリー賞、南カリフォルニア大学
2017 フレゼニウス医学研究賞
2018 ガードナー国際賞
2018 京都賞

研究概要

光遺伝学の樹立と脳・神経機能解明への応用

当時大学院生だったEd BoydenおよびFeng Zhangと共同で、光感受性を有する古細菌型ロドプシンタンパクを神経細胞に導入することで、その挙動をミリ秒単位で光制御できることを示した[1]。

この技術は生きたままの脳神経機能の理解につながる革命的技術とされるが、細胞シグナルも人為制御できるため、広汎な生命科学研究へも応用可能である。Nature Method誌が選ぶ”Method of the Year 2010”にも選定されている。[2]

Deisserothはこの技術の応用により生命機能解明を目指す分野を「光遺伝学(optogenetics)」と名付けた。

optogenetics_2

(画像はこちらのページより引用)

参考記事
光で脳/神経科学に革命を起こす「オプトジェネティクス」
「オプトジェネティクス」はいかにして開発されたか

脳組織透明化手法CLARITYの開発[3]

脳をアクリルアミドに浸して重合させ、タンパク質と核酸を架橋し、その後電気泳動によって膜脂質を除去。これにより脳組織の透明化が達成される。組織の膨大を引き起こさず、また蛍光タンパク質もほとんど褪色しない。膜を除去したために組織丸ごとの免疫染色も可能。

brain

参考:脳を透明化する手法をまとめてみた

関連動画

 

関連文献

  1. “Millisecond-timescale, genetically targeted optical control of neural activity” Boyden, E. S. ; Zhang, F.; Bamberg, E.; Nagel, G.; Deisseroth, K. Nature Neurosci. 2005, 8, 1263. doi:10.1038/nn1525
  2. “Method of the Year 2010”. Nature Methods 2010, 8, 1. doi:10.1038/nmeth.f.321
  3. “Structural and molecular interrogation of intact biological systems”. Deisseroth, K. et al, Nature 2013, 497, 332. doi:10.1038/nature12107

関連書籍

[amazonjs asin=”4864690715″ locale=”JP” title=”オプトジェネティクス―光工学と遺伝学による行動抑制技術の最前線”][amazonjs asin=”4758101469″ locale=”JP” title=”実験医学 2015年12月号 Vol.33 No.19 オプトジェネティクス〜細胞・組織・個体を光で操作する”][amazonjs asin=”B01HPPT61G” locale=”JP” title=”Newton 「脳」研究の今”]

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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