[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

エミリー・バルスカス Emily P. Balskus

[スポンサーリンク]

エミリー・P・バルスカス(Emily P. Balskus、1980年xx月xx日(シンシナティ、オハイオ州生)-)は米国の有機化学者、生化学者である。米ハーバード大学教授(写真:https://www.microbialchemist.com)。

経歴

2002 Williams College卒業(首席)
200Xケンブリッジ大学(Steven Ley教授)
2008 ハーバード大学 化学/化学生物学科 博士号取得(Eric Jacobsen教授)
2008-2011 ハーバードメディカルスクール 博士研究員(Christpher T. Walsh教授)
2011-2015 ハーバード大学 化学/化学生物学科 助教授
2015-2018 ハーバード大学 化学/化学生物学科 准教授
2018-現在 ハーバード大学 化学/化学生物学科 教授

受賞歴

2011 Smith Family Award for Excellence in Biomedical Research
2012 NIH Director’s New Innovator QAward
2012 Searle Scholar
2013 Packard Fellowship
2014 MIT Technology Review Innovator Under 35
2014 Damon Runyon–Rachleff Innovation Award
2014 Thieme Chemistry Journal Awardee
2014 Sloan Research Fellowship
2014 Natural Products Reports Emerging Investigator Lectureship
2014 Amgen Young Investigator’s Award
2015 NSF CAREER Award
2015 Cottrell Scholar Award
2015 Camille Dreyfus Teacher-Scholar Award
2015 Chemical and Engineering News Talented Twelve
2016 HHMI-Gates Faculty Scholar
2016 Hirata Award, Nagoya University and the Hirata Foundation
2017 Pfizer Award in Enzyme Chemistry
2018 Arthur C. Cope Scholar Award
2018 Eli Lilly Grantee Award
2018 Finalist, Blavatnik Award for Young Scientists
2018 SN10 Scientists to Watch
2019 Tetrahedron Young Investigator Award
2019 Laureate in Chemistry, Blavatnik Award for Young Scientists

研究概要

微生物化学の発見・理解・操作[1]

合成生物学法を用いる微生物代謝の人工改変と、人工触媒系が生み出す化学多様性を融合させた新たなタイプの物質創成研究、またそうして産生される低分子化合物が逆に細胞(微生物)へと影響を及ぼす現象を通じて、これまでにない生命機能の発現を意図した、大きなスケールの研究(Biocompatible Chemistry)に取り組んでいる。

Emily_P_Balskus_3
人工触媒(代替代謝経路)による栄養素の供給[2]

p-ヒドロキシ安息香酸栄養素要求菌種に、人工触媒反応経由でこれをin vivo供給することで、その増殖過程が制御できることを実証した。これは外部代替経路によって必須栄養素を供給し、生命体を救済していると捉えることができる。生命維持に必須の代謝酵素機能を補完・置換しうる生体適合触媒の開発は、代謝異常を治療するための新しい戦略になると考えられる。

Emily_P_Balskus_1
改変菌と人工触媒の組み合わせによるものづくり[3]

アルケン水素化反応を改変大腸菌+Pd触媒の組み合わせで行なうことを達成した。改変大腸菌はpyruvate ferredoxin oxidoreductase (PFOR)と[Fe-Fe]hydrogenaseを組み込んだものであり、グルコース代謝によって水素を作り出せる。これは非酵素的な化学反応が生命代謝のアウトプットと結びつくことで、実用スケールの化学合成を実現できた初の例である。

Emily_P_Balskus_2

関連動画

関連論文

  1. (a) “Opportunities for merging chemical and biological synthesis” Wallace, S.; Balskus. E. P. Curr. Opin. Biotech. 2014, 30, 1. doi:10.1016/j.copbio.2014.03.006 (b) “Using non-enzymatic chemistry to influence microbial metabolism” Wallace, S.; Schultz, E. E.; Balskus, E. P. Curr. Opin. Chem. Biol. 2015, 25, 71. doi:10.1016/j.cbpa.2014.12.024
  2. “Rescuing Auxotrophic Microorganisms with Nonenzymatic Chemistry” Lee, Y.; Umeano, A.; Balskus, E. P. Angew. Chem. Int. Ed. 2013, 53, 11800. doi:10.1002/anie.201307033
  3. “A Biocompatible Alkene Hydrogenation Merges Organic Synthesis with Microbial Metabolism” Sirasani, G.; Tong, L.; Balskus, E. P. Angew. Chem. Int. Ed. 2014, 53, 7785. doi:10.1002/anie.201403148

関連リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. エリック・ベッツィグ Eric Betzig
  2. カール−ヘインツ・アルトマン Karl Heinz Altman…
  3. 澤本 光男 Mitsuo Sawamoto
  4. 秋田英万 Akita Hidetaka
  5. 吉田善一 Zen-ichi Yoshida
  6. クレイグ・ホーカー Craig J. Hawker
  7. ウィリアム L ジョーゲンセン William L. Jorge…
  8. マット・ショアーズ Matthew P. Shores

注目情報

ピックアップ記事

  1. リン Phosphorusー体の中の重要分子DNAの構成成分。肥料にも多用される
  2. 野崎・檜山・岸反応 Nozaki-Hiyama-Kishi (NHK) Reaction
  3. エピジェネティクス epigenetics
  4. 研究室の大掃除マニュアル
  5. 金城 玲 Rei Kinjo
  6. 白い有機ナノチューブの大量合成に成功
  7. 定量PCR(qPCR ; quantitative PCR)、リアルタイムPCR
  8. 【書籍】りょうしりきがく for babies
  9. カスケードDA反応による(+)-Pedrolideの全合成ダダダダ!
  10. 科学とは「未知への挑戦」–2019年度ロレアル-ユネスコ女性科学者日本奨励賞

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2015年10月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

硫黄と別れてもリンカーが束縛する!曲がったπ共役分子の構築

紫外光による脱硫反応を利用することで、本来は平面であるはずのペリレンビスイミド骨格を歪ませることに成…

有機合成化学協会誌2024年11月号:英文特集号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年11月号がオンライン公開されています。…

小型でも妥協なし!幅広い化合物をサチレーションフリーのELSDで検出

UV吸収のない化合物を精製する際、一定量でフラクションをすべて収集し、TLCで呈色試…

第48回ケムステVシンポ「ペプチド創薬のフロントランナーズ」を開催します!

いよいよ本年もあと僅かとなって参りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。冬…

3つのラジカルを自由自在!アルケンのアリール–アルキル化反応

アルケンの位置選択的なアリール–アルキル化反応が報告された。ラジカルソーティングを用いた三種類のラジ…

【日産化学 26卒/Zoomウェビナー配信!】START your ChemiSTORY あなたの化学をさがす 研究職限定 キャリアマッチングLIVE

3日間で10領域の研究職社員がプレゼンテーション!日産化学の全研究領域を公開する、研…

ミトコンドリア内タンパク質を分解する標的タンパク質分解技術「mitoTPD」の開発

第 631 回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院 生命科学研究科 修士課程2…

永木愛一郎 Aiichiro Nagaki

永木愛一郎(1973年1月23日-)は、日本の化学者である。現在北海道大学大学院理学研究院化学部…

11/16(土)Zoom開催 【10:30~博士課程×女性のキャリア】 【14:00~富士フイルム・レゾナック 女子学生のためのセミナー】

化学系の就職活動を支援する『化学系学生のための就活』からのご案内です。11/16…

KISTEC教育講座『中間水コンセプトによるバイオ・医療材料開発』 ~水・生体環境下で優れた機能を発揮させるための材料・表面・デバイス設計~

 開講期間 令和6年12月10日(火)、11日(水)詳細・お申し込みはこちら2 コースの…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP