秋山隆彦(あきやま たかひこ, 1958年3月30日 – 岡山生まれ)は、日本の有機化学者である。学習院大学 教授(写真:学習院大学Sakulife)。
経歴
1980年 東京大学理学部化学科卒業
1985年 東京大学大学院理学系研究科化学専門課程 博士課程修了(理学博士)
1985年 塩野義製薬(株)研究所
1988年 愛媛大学工学部助手
1992年 Stanford大学 (Professor B. M. Trost)博士研究員
1994年 学習院大学理学部化学科 助教授
1997年- 学習院大学理学部化学科 教授
2018-2021年 日本学術振興会学術システム研究センター 主任研究員
2021-2022年 有機合成化学協会 会長
受賞歴
1997年 有機合成化学協会「武田薬品工業(株)研究企画賞」
2009年 有機合成化学協会 第一三共・創薬有機化学賞
2009年 日本化学会 学術賞
2012年 名古屋シルバーメダル
2016年 Arthur C. Cope Scholar Award
2016年 Humboldt Research Award
2018年 有機合成化学協会賞
研究業績
キラルブレンステッド酸触媒を用いた不斉合成反応の開発
2004年、 (R)-BINOL由来のキラル環状リン酸がキラルブレンステッド酸触媒として作用することを見出した。同時期に東北大の寺田らによっても報告されているため「秋山・寺田触媒」と呼ばれる。このキラル環状リン酸を用いて、主にアザDiels−Alder 反応[3]、Mannich反応[4]、Friedel-Craftsアルキル化[5]、ロビンソン環化[6]、非対称化環化反応[7]、C–H活性化反応を経由するテトラヒドロキノリン合成[8]、イミン還元[9]など多くの触媒的不斉反応を報告した。キラルブレンステッド触媒の先駆けであるこの触媒は現在世界中の有機合成化学者に多用され、有用な不斉反応が発見され続けている。
名言集
- 「もちろん、人の役に立つものをつくれればいちばんいい。けれど、内心では今までになかったものを見つける好奇心や、新規で面白いことをやってみたいという思いの方が先に立っているんです。我々が開発した触媒も、最初から『絶対に役に立つ研究をしよう』と思ったわけではない。あまり人がやっていないことをやってみたら世界の研究者が注目してくれる触媒ができた。この状況は予想外のことでした」(学習院大学:研究の現場からより)
- 「とくに大切なのは当初の予想と違う実験結果が出たときでしょう。まったく新しい物質が生まれてしまったときに『意味がわからないよー』と放ってしまう学生もいれば、『これは何だろう』と実験結果をあらためて検証する学生もいます。そうした違いが大きな発見につながっていくのです。わたしが発見した新触媒も予想と違う実験結果から生まれたものでしたから」(早稲田塾: Good Professorより)
コメント&その他
- 家ではほとんどパソコンに向かって仕事。日曜は歴史ものの韓国ドラマ(『トンイ』『馬医』『チャングムの誓い』など)を観るのが楽しみだそう。
- スタンフォード大学から留学していたときからの筋金入りのMacユーザーである。
関連文献
- Akiyama, T.; Itoh, J.; Yokota, K.; Fuchibe, K. Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 1566. DOI: 10.1002/anie.200353240
- Review: Akiyama, T.; Itoh, J.; Fuchibe, K. Adv. Synth. Catal. 2006, 348, 999. DOI: 10.1002/adsc.200606074;Akiyama, T. J. Synth. Org. Chem. Jpn. 2011, 69, 913. doi:10.5059/yukigoseikyokaishi.69.913
- Akiyama, T.; Morita, H.; Fuchibe, K. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 13070-13071. DOI: 10.1021/ja064676r
- Yamanaka, M.; Itoh, J.; Fuchibe, K.; Akiyama, T. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 6756-6764. DOI: 10.1021/ja0684803
- Itoh, J.; Fuchibe, K.; Akiyama, T. Angew. Chem. Int. Ed. 2008, 48 , 4016-4018.
- Akiyama, T; Katoh, T.; Mori, K. Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 4226-4228. doi:10.1002/anie.200901127
- Mori, K.; Katoh, T.; Suzuki, T.; Noji, T.; Yamanaka, M.; Akiyama, T. Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48 , 9652-9654. DOI: 10.1002/anie.200905271
- Mori, K.; Ehara, K.; Kurihara, K.; Akiyama, T. J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 6166-6169. DOI: 10.1021/ja2014955
- Henseler, A.; Kato, M.; Mori, K.; Akiyama, T. Angew. Chem. Int. Ed. 2011, 50, 8180-8183. DOI: 10.1002/anie.201103240
- Mori, K.; Ichikawa, Y.; Kobayashi, M.; Shibata, Y.; Yamanaka, M.; Akiyama, T. J. Am. Chem. Soc. 2013, 135 , 3964-3970. DOI: 10.1021/ja311902f
- Saito, K.; Shibata, Y.; Yamanaka, M.; Akiyama, T, J. Am. Chem. Soc. 2013, 135, 11740-11743. DOI: 10.1021/ja406004q
関連書籍
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外部リンク
- 学習院理学部化学科 秋山研究室
- 学習院大学 秋山 隆彦 教授|早稲田塾
- 秋山 隆彦 教授|研究の現場から:学習院大学
- 理学部化学科 秋山隆彦|教員インタビュー|学習院大学 SakuLIFE(サクライフ)