ジョン・アンソニー・ポープル(1925年10月31日-2004年3月15日)はイギリスの理論化学者である。1998年ノーベル化学賞受賞。
経歴
1925年 イギリス、バーミンガムにて生まれる
1943年 ケンブリッジ大学トリニティーカレッジ入学
1946年 学士号 ケンブリッジ大学
1945-1947年 Bristol Aeroplane社勤務
1951年 博士号(数学)ケンブリッジ大学
1951年 ケンブリッジ大学Research Fellow
1954年 ケンブリッジ大学 Lecturer (数学科)
1958年 National Physical Laboratory
1964年 アメリカへ移住
1964年 カーネギー・メロン大学教授
1993年 ノースウェスタン大学
受賞
1998年 ノーベル化学賞「量子化学における計算化学的方法の展開」
2003年 Knight Commander (KBE)
研究内容
John Popleは、50年以上にわたる研究者人生において、少なくとも次に示す4つの領域において顕著な業績を挙げた。
- Statistical mechanics
- NMR
- Semi-Empirical Theory (半経験的分子軌道法)
- Ab Intio Electronic Structure Theory
大学院時代、彼が初めて出した論文は電子構造論の計算についてであった。初期の頃、彼は統計力学に興味を示していた。彼が1950年に出したliquid waterに関する論文は、長年にわたりstandardとして用いられた。
次に、彼はNMRに興味を抱いた。NMRの基礎的な原理について彼はいくつかの論文を出している。この研究を行っている間に、彼は化学シフト値の計算について興味を抱き始めた。初期の非経験的方法による計算は、当時としては計算コストが高すぎて不可能であったため、彼は半経験的手法を用いて計算を行った。後にPPP modelとして知られるものをPartiser やParrらと同時期に開発した。
半経験的計算に興味を抱いた彼は、NMRから離れた。学生らとともにCNDOたINDOを開発した。彼は、理論化学の専門家ではない化学者でも使えるソフトウェアを開発する事を目的とした。
数年後、彼はアルゴリズムを改良する事により非経験的計算手法(ab initio)を開発できる事に気がついた。ここから30年以上にわたり、彼はこの仕事に携わっていく事になる。特に、STO-3G基底関数は、彼の論文の中で最も多く引用された論文である。
非経験的分子軌道法 (Ab initio electronic structure theory)
Slater型関数またはGauss型関数を基底関数として用いる量子化学計算の先駆者である。1970年には、量子化学計算ソフトウェアGaussian70を開発した。
彼の開発したgaussianは、現在計算化学において最も良く使われているソフトウェアのひとつである。また、彼が研究したpople系の基底関数(6-31Gなど)は現在でも広く使われている。