クロスカップリング反応(cross coupling reaction)とは、広義には異なった有機化合物の炭素原子と炭素原子を結合させることである。狭義には医薬品や機能性材料によく見られる、ベンゼンーベンゼンからなる「ビアリール骨格」と呼ばれる骨格を合成する手法のことをいう。炭素-金属結合を持つ化合物(有機金属化合物)と、炭素-ハロゲン結合を持つ化合物を触媒存在下に混合させることで合成できる。(炭素ー金属/炭素ーハロゲン型[C-M/C-X]型という)
1970年以前までビアリール骨格の合成は大変困難であったが、
熊田、
玉尾、
Kochi,
Corriuらの研究を発端にして様々なクロスカップリング反応が開発され、この問題は概ね解決された。その中でも有機ホウ素化合物とハロゲン化アリール間、主にパラジウム触媒を用いたカップリング反応は
鈴木-宮浦カップリング反応とよばれ、有機ホウ素化合物の取り扱いの容易さや毒性の低さから、現在最も用いられる手法である。現在ではビアリール骨格合成法は機能性材料や医薬品の製造などに多用され、なくてはならないものになっている。
一方で、炭素ー金属結合および炭素ーハロゲン結合とsp2炭素ー水素結合(C(sp2)-H)をもつ化合物とのカップリング反応を、ヘック型カップリング反応と呼ぶことがある(C-M or C-X/ C-H型)。
2010年「パラジウム触媒を用いるクロスカップリング反応」により、同研究分野の第一人者であった
鈴木章北海道大学名誉教授、
根岸英一パデュー大学教授、
リチャード・ヘックデラウェア大学教授の3人がノーベル化学賞を受賞。
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