[スポンサーリンク]

chemglossary

コールドスプレーイオン化質量分析法 Cold Spray Ionization Mass Spectrometry (CSI-MS)

[スポンサーリンク]

コールドスプレーイオン化質量分析法(Cold Spray Ionization Mass Spectrometry;CSI-MS)は、非常な温和な条件でイオン化をおこなえる質量分析法の一種。超分子構造体など、きわめて不安定な化学種の測定に適している (出典:JEOL)。

質量分析法(MS)は、イオン化された試料を電界や磁界の働きによってm/zの値に分け、スペクトルを得る分析方法です。しかし、イオン化の条件は激しいものが多く、不安定な中間体や金属触媒などの質量は測定することができません。

千葉大学分析センター(現徳島文理大 教授)の山口健太郎らによって開発されたコールドスプレーイオン化法[1]は、エレクトロスプレーイオン化(ESI)に代表されるスプレーイオン化の一種です。液体窒素条件の極低温でESI-MSを測定することで、溶液状態の中間体など、いままで確認できなかった化学種の質量を測定できるようになりました。

 

セットアップの様子(引用:山口研HP

 

東京大学の藤田誠教授らが超分子の構造解析でよく用いています。山口教授自らもアミノ酸・核酸等の溶液中での構造解析に利用されています。

例)アミノ酸のCSI-MSは多量体となり多くのピークを示す。代表的なアミノ酸であるプロリンにルビジウム塩などの金属塩を添加すると、ほぼ8量体のみが形成されることが明らかとなった。[2]

csi-ms3

関連文献

  1.  山口健太郎ほか、分析化学 200453, 457. [Link]
  2.  Yamaguchi, K. et al. Org. Lett. 2002, 4, 347. DOI:10.1021/ol017028f

関連書籍

[amazonjs asin=”4621061631″ locale=”JP” title=”マススペクトロメトリー”][amazonjs asin=”4759808639″ locale=”JP” title=”これならわかるマススペクトロメトリー”]

 

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. CRISPR(クリスパー)
  2. 合成化学者のための固体DNP-NMR
  3. 二水素錯体 Dihydrogen Complexes
  4. 界面活性剤 / surface-active agent, su…
  5. トランス効果 Trans Effect
  6. 定量PCR(qPCR ; quantitative PCR)、リ…
  7. フラストレイティド・ルイスペア Frustrated Lewis…
  8. キャピラリー電気泳動の基礎知識

注目情報

ピックアップ記事

  1. 炭素ボールに穴、水素入れ閉じ込め 「分子手術」成功
  2. 光照射によって結晶と液体を行き来する蓄熱分子
  3. 熊田 誠 Makoto Kumada
  4. 中分子創薬に挑む中外製薬
  5. 自己多層乳化を用いたマトリョーシカ微粒子の調製 〜油と水を混ぜてすぐ固めるだけ〜
  6. 2023年ノーベル化学賞ケムステ予想当選者発表!
  7. η6配位アルキルベンゼンで全炭素(3+2)環化付加
  8. 提唱から60年。温和な条件下で反芳香族イソフロリンの合成に成功
  9. 人工プレゼン動画をつくってみた
  10. 光照射による有機酸/塩基の発生法:②光塩基発生剤について

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2007年12月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

次世代の二次元物質 “遷移金属ダイカルコゲナイド”

ムーアの法則の限界と二次元半導体現代の半導体デバイス産業では、作製時の低コスト化や動作速度向上、…

日本化学連合シンポジウム 「海」- 化学はどこに向かうのか –

日本化学連合では、継続性のあるシリーズ型のシンポジウムの開催を企画していくことに…

【スポットライトリサーチ】汎用金属粉を使ってアンモニアが合成できたはなし

Tshozoです。 今回はおなじみ、東京大学大学院 西林研究室からの研究成果紹介(第652回スポ…

第11回 野依フォーラム若手育成塾

野依フォーラム若手育成塾について野依フォーラム若手育成塾では、国際企業に通用するリーダー…

第12回慶應有機化学若手シンポジウム

概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大学理工学部・…

新たな有用活性天然物はどのように見つけてくるのか~新規抗真菌剤mandimycinの発見~

こんにちは!熊葛です.天然物は複雑な構造と有用な活性を有することから多くの化学者を魅了し,創薬に貢献…

創薬懇話会2025 in 大津

日時2025年6月19日(木)~6月20日(金)宿泊型セミナー会場ホテル…

理研の研究者が考える未来のバイオ技術とは?

bergです。昨今、環境問題や資源問題の関心の高まりから人工酵素や微生物を利用した化学合成やバイオテ…

水を含み湿度に応答するラメラ構造ポリマー材料の開発

第651回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院工学研究科(大内研究室)の堀池優貴 さんにお願い…

第57回有機金属若手の会 夏の学校

案内:今年度も、有機金属若手の会夏の学校を2泊3日の合宿形式で開催します。有機金…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー