薄層クロマトグラフィ(Thin-Layer Chromatography:TLC)とは、吸着剤を薄膜状に固定した薄層プレートを用いたクロマトグラフィのことです。
薄層プレートの一端を溶媒に浸すと,吸着剤の間隙を伝い、溶媒が上方に移動してきます(毛細管現象)。プレート上に試料物質が存在すると、溶媒移動に引きずられるように試料も移動してきます(展開するといいます)。このとき、固定層(吸着剤)への吸着度合いと、移動層(溶媒)への親和性の差異・バランスにより、試料が移動する距離(Rf値)が異なります。この原理を利用し、有機化合物の分離・同定を行います。特に有機合成では、吸着剤としてはシリカゲルやアルミナ、セルロース、展開溶媒としては酢酸エチル/ヘキサン系、ジクロロメタン/メタノール系などがよく用いられます。
TLCは反応系中を追跡するための「目」そのものになる、簡便・古典的ではあるが最重要な分析手法です。TLC分析が下手な人は、反応をしっかりみていない、と怒られます。
反応を追跡する際、通常は左に原料、右に反応混合物、中央に原料と反応混合物をTLCプレートにスポットする。中央のスポットは
- 展開の仕方によっては曲がって展開することがあるので、原料と反応混合物が同様のスポットであるときがわからない場合がある
- 反応混合物の溶媒によってスポットがずれることがあり、見逃さないためようにする
- スポットを打った瞬間反応し、第三のスポットがみえる場合がある
などの理由で極めて重要です。
スポットの確認は、化合物に色がある場合は目視できるが、無色透明の場合がほとんどであり、そのままでは見えません。そのため、①UVランプを用いる ②TLCステイン(stain)をもちいる方法が主に知られています。TLCstainは様々なものが知られており、化合物によって変える、色々なものでチェックすることをオススメします。
関連文献
- Santiago, M.; Strobel, S. Meth. Enzymol. 2013, 533, 303. DOI: 10.1016/B978-0-12-420067-8.00024-6
関連書籍
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- 超入門 クロマトグラフィー講座
- 薄層クロマトグラフィ – Wikipedia
- Thin layer chromatography – Wikipedia
- THIN LAYER CHROMATOGRAPHY