[スポンサーリンク]

一般的な話題

スイスに留学するならこの奨学金 -Swiss Government Excellence Scholarshipsー

[スポンサーリンク]

皆様、海外学振の結果はいかがだったでしょうか?受かりましたか?おめでとうございます。その優れた研究計画の邁進のためこれからも頑張ってください。現在の研究をまとめるためにお忙しくされていると思われるので、この記事を読む必要はありません。次回の記事を楽しみにしていてください。

残念なお知らせを受け取った方、ぜひこの記事を読んでください。もしかしたら役に立つかもしれません。私も出し損じたので現在別の奨学金の申請書を書いていますが、お互い頑張りましょう。

概要

スイス政府は学術の振興のため、1961年より博士課程の学生または博士を取得後、博士研究員として研究に従事する優秀な外国人を招聘し、研究の発展につなげられるように奨学金制度Swiss Government Excellence Scholarships for Foreign Scholars and Artistsを設計、運営してきました。本年度も11月半ばを締切日とした来年度の招聘制度の概要が発表されました。(この奨学金、他の奨学金に比べてかなり締め切りが遅いです。)

本奨学金制度は12か月(研究生及び博士研究員 (PD)、博士学生 (PhD)は36か月)ですのでほとんどの場合、まともな研究をするには時間不足となると思われます。ですが、実際のところ、一年間である程度の成績が得られれば、研究室の資金にて雇用される場合がほとんどかと 思いますのでそれほど心配せず、応募してみるのをお勧めします。

給与とその他サポート

肝心の給与ですが、月々3500フラン(PDの場合、研究生とPhDの場合は1920フラン)なので、まとまった額の支給があるHFSPやMarie Currie(締め切りは2018年9月14日です)、ETH fellowship、海外学振、などに比べると見劣りするのは確かですが、十分に暮らしていけるだけの給与かと思います。また奨学金の特典として、額や保険の契約条件についての詳細は分かりませんが、スイスでは高額な基本的な健康保険のフルサポートが受けられます。また、スイスの公共交通機関が半額になるカード一年分(PD, PhD, 研究生対象で年間約200フラン)、母国とスイスとの往復の航空券の支給などが受けられるほか、年に数回のソーシャルイベント(ハイキング、クリスマスディナー、湖のクルージングなど)などがありますが、学会費用や扶養手当などのサポートはありません。PhDやPDの場合、給与の額がほかの学生に比べて2000フランほど安いので、おそらく教授とのネゴシエーション次第では給与の上乗せをお願いすることができるかと思いますが、その可能性に関しては奨学金団体と受け入れ研究者に直接問い合わせるようにしてください。(注)

応募の条件として、グラントの開始は来年度2019年9月からですので2019年の8月までにPhDの学位を取得している必要があります。それ以外の概要に関してはほかのグラントと同様です。日本人は例年かなり応募者が少ないと思われますので、(ここで宣伝しちゃった結果みんなが応募したらどうなるか分かりませんが)見込みはあるのではないでしょうか?

 

2019-2020の応募書類のダウンロードはこちらのリンクもしくは奨学金のwebpageの国別要綱よりどうぞ。応募受付開始は2018年8月27日、締切日は2018年11月16日です。

参考までに

以下に候補となりそうな大学を貼っておきます。ご参考ください。また、スイスの大学に関しては海外留学研究記でも数多く取り上げられていますのでそちらもご参照ください。研究室の応募の際は過去のケムステ記事等をご参考ください。

実際のところ、スイスは研究施設の面では金が有り余ってるので全く不自由することが無いことがほとんどだと思いますが、研究室によって予算状況は異なります。普通は少しでもお金を持ってきてくれる場合、ラボのPIは給与も補填してくれるのですが、究極的には彼ら次第なので気を付けてください。もし心配な場合で、追加の給与が可能か聞きたい場合は、例えばAccording to the website of ETH (salary ETH PhD でけ検索してください) about the salary in Swiss university, chemistry students are paid roughly 4000 CHF per month. However, this scholarship only offers 1920CHF per month and I would like to ask you whether this amount is enough for (1) living in Switzerland as a PhD student and (2) the acquisition of the working permit. といった感じで話を聞けば大丈夫でしょう。受け入れが決まったのちにボスに直接聞いてみるのが最善かと思います。正直1920 CHFで暮らすのは結構カツカツかと思いますのでその点は普通の感覚をもつボスなら理解してくれるかと思います。

2019.07.09記事のタイトルを”Swiss Government Excellence Scholarships for foreign scholar”より”スイスに留学するならこの奨学金 -Swiss Government Excellence Scholarshipsー”に変更しました。

関連書籍

[amazonjs asin=”B07DR96RYQ” locale=”JP” title=”アメリカ留学公式ガイドブック[第2版]~大学・大学院留学を成功に導く”] [amazonjs asin=”4872344111″ locale=”JP” title=”サイエンティストを目指す大学院留学―アメリカの博士課程で学ぶ最先端のサイエンス・テクノロジー”] [amazonjs asin=”4263206738″ locale=”JP” title=”研究留学術 第2版―研究者のためのアメリカ留学ガイド”]

関連リンク

Gakushi

投稿者の記事一覧

東京の大学で修士を修了後、インターンを挟み、スイスで博士課程の学生として働いていました。現在オーストリアでポスドクをしています。博士号は取れたものの、ハンドルネームは変えられないようなので、今後もGakushiで通します。

関連記事

  1. NMR Chemical Shifts ー溶媒のNMR論文より
  2. 第38 回化学反応討論会でケムステをみたキャンペーン
  3. 研究費総額100万円!30年後のミライをつくる若手研究者を募集し…
  4. 第28回光学活性化合物シンポジウム
  5. 未来を切り拓く創薬DX:多角的な視点から探る最新トレンド
  6. 【PR】Chem-Stationで記事を書いてみませんか?【スタ…
  7. MEDCHEM NEWS 32-2号 「儲からないが必要な薬の話…
  8. 化学者の単語登録テクニック

注目情報

ピックアップ記事

  1. フリーデル・クラフツアルキル化 Friedel-Crafts Alkylation
  2. カルボニル化を伴うクロスカップリング Carbonylative Cross Coupling
  3. 糸状菌から新たなフラボノイド生合成システムを発見
  4. 『分子科学者がいどむ12の謎』
  5. 相田卓三教授の最終講義をYouTube Live配信!
  6. キレトロピー反応 Cheletropic Reaction
  7. 電子デバイス製造技術 ーChemical Times特集より
  8. マテリアルズ・インフォマティクスの手法:条件最適化に用いられるベイズ最適化の基礎
  9. サイアメントの作ったドラマ「彼岸島」オープニングがすごい!
  10. ODOOSをリニューアル!

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2018年8月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

MEDCHEM NEWS 34-1 号「創薬を支える計測・検出技術の最前線」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

医薬品設計における三次元性指標(Fsp³)の再評価

近年、医薬品開発において候補分子の三次元構造が注目されてきました。特に、2009年に発表された論文「…

AI分子生成の導入と基本手法の紹介

本記事では、AIや情報技術を用いた分子生成技術の有機分子設計における有用性や代表的手法について解説し…

第53回ケムステVシンポ「化学×イノベーション -女性研究者が拓く未来-」を開催します!

第53回ケムステVシンポの会告です!今回のVシンポは、若手女性研究者のコミュニティと起業支援…

Nature誌が発表!!2025年注目の7つの技術!!

こんにちは,熊葛です.毎年この時期にはNature誌で,その年注目の7つの技術について取り上げられま…

塩野義製薬:COVID-19治療薬”Ensitrelvir”の超特急製造開発秘話

新型コロナウイルス感染症は2023年5月に5類移行となり、昨年はこれまでの生活が…

コバルト触媒による多様な低分子骨格の構築を実現 –医薬品合成などへの応用に期待–

第 642回のスポットライトリサーチは、武蔵野大学薬学部薬化学研究室・講師の 重…

ヘム鉄を配位するシステイン残基を持たないシトクロムP450!?中には21番目のアミノ酸として知られるセレノシステインへと変異されているP450も発見!

こんにちは,熊葛です.今回は,一般的なP450で保存されているヘム鉄を配位するシステイン残基に,異な…

有機化学とタンパク質工学の知恵を駆使して、カリウムイオンが細胞内で赤く煌めくようにする

第 641 回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科化学専攻 生…

CO2 の排出はどのように削減できるか?【その1: CO2 の排出源について】

大気中の二酸化炭素を減らす取り組みとして、二酸化炭素回収·貯留 (CCS; Carbon dioxi…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー