[スポンサーリンク]

化学地球儀

日本酸素記念館

[スポンサーリンク]

大陽日酸の記念館で、創業時にドイツから輸入した酸素分離機が展示されていて、酸素分離機は、認定化学遺産 第040号『日本の酸素工業の発祥と発展を示す資料』に認定されている。

マップ

その他の化学地球儀はこちらからどうぞ

解説

大陽日酸は、窒素や酸素などの産業用ガスの大手メーカーで、1911年に大陽日酸の前身の日本理化工業が東京でリンデ‐ハンプソン型空気液化装置を使って酸素の製造を始めた。その当時の建屋と装置が山梨県北杜市の大陽日酸山梨事業所内に移設・展示されている。

木製樽に内蔵の酸素分離機(引用:日本化学会

リンデ‐ハンプソン型空気液化装置では、空気を圧縮した後、熱交換器で冷却しジュール・トムソン交換により、さらに冷却し液体の空気を得られる。得られた液体空気は、蒸留塔によって窒素と酸素に分離されて純粋なそれぞれの気体が得られる。カール・フォン・リンデは、この技術を開発しGesellschaft für Linde’s Eismaschinen Aktiengesellschaft、現リンデグループを設立した。

一方、クロード-ハイランド型空気液化機というものも同時期に開発された。クロード-ハイランド型空気液化機では膨張機によって断熱膨張を起こし高圧の空気の温度を効率よく下げジュール・トムソン交換によって液化空気が得られる。ジョルジュ・クロードはこの技術を開発後、L’Air Liquide, S.A、エア・リキードグループを設立した。クロード-ハイランド型空気液化機は、1907年に大阪鉄工所(現日立造船)内で酸素の製造が始まった。当時の装置は、日本エア・リキードによって保管されていて大陽日酸の酸素分離機とともに認定化学遺産に認定されている。

※日本酸素記念館が一般に公開されているかは不明です。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4904905105″ locale=”JP” title=”工業ガス製造法のすべて「ガスジェネレーション」”] [amazonjs asin=”4904905202″ locale=”JP” title=”工業ガス用途のすべて「ガスアプリケーション」”]

関連リンク

第8回化学遺産認定: 日本化学会HP
冷凍・低温技術の歴史:空気分離の歴史が解説されている
大陽日酸事業報告書:記念館が紹介されている

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. 筑波山
  2. 春日大社
  3. 45 mミリ波電波望遠鏡(筆者撮影) 化学系必見!博物館特集 野辺山天文台編~HC11Nってどんな分子…
  4. 大久野島毒ガス資料館
  5. ケミストリー通り
  6. 日本科学未来館
  7. やまと根岸通り
  8. スイスの博士課程ってどうなの?1〜ヨーロッパの博士課程を知る〜

注目情報

ピックアップ記事

  1. 2017年始めに100年前を振り返ってみた
  2. 自動車の電動化による素材・化学業界へのインパクト
  3. 個性あるTOCその③
  4. 留学せずに英語をマスターできるかやってみた(3年目)
  5. 大学の学科がクラウドファンディング!?『化学の力を伝えたい』
  6. ランバーグ・バックランド転位 Ramberg-Backlund Rearrangement
  7. FT-IR(赤外分光法)の基礎と高分子材料分析の実際【終了】
  8. 構造式を美しく書くために【準備編】
  9. エンインメタセシス Enyne Metathesis
  10. 2005年9-10月分の気になる化学関連ニュース投票結果

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2017年3月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

野々山 貴行 Takayuki NONOYAMA

野々山 貴行 (NONOYAMA Takayuki)は、高分子材料科学、ゲル、ソフトマテリアル、ソフ…

城﨑 由紀 Yuki SHIROSAKI

城﨑 由紀(Yuki SHIROSAKI)は、生体無機材料を専門とする日本の化学者である。2025年…

中村 真紀 Maki NAKAMURA

中村真紀(Maki NAKAMURA 産業技術総合研究所)は、日本の化学者である。産業技術総合研究所…

フッ素が実現する高効率なレアメタルフリー水電解酸素生成触媒

第638回のスポットライトリサーチは、東京工業大学(現 東京科学大学) 理学院化学系 (前田研究室)…

【四国化成ホールディングス】新卒採用情報(2026卒)

◆求める人財像:『使命感にあふれ、自ら考え挑戦する人財』私たちが社員に求めるのは、「独創力」…

マイクロ波に少しでもご興味のある方へ まるっとマイクロ波セミナー 〜マイクロ波技術の基本からできることまで〜

プロセスの脱炭素化及び効率化のキーテクノロジーとして注目されている、電子レンジでおなじみの”マイクロ…

世界の技術進歩を支える四国化成の「独創力」

「独創力」を体現する四国化成の研究開発四国化成の開発部隊は、長年蓄積してきた有機…

四国化成ってどんな会社?

私たち四国化成ホールディングス株式会社は、企業理念「独創力」を掲げ、「有機合成技術」…

アザボリンはニ度異性化するっ!

1,2-アザボリンの光異性化により、ホウ素・窒素原子を含むベンズバレンの合成が達成された。本異性化は…

マティアス・クリストマン Mathias Christmann

マティアス・クリストマン(Mathias Christmann, 1972年10…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー