化学地球儀としてはかなり大雑把なくくりでのご紹介となっていますが、この二国の共通項が直ぐお分りになりますでしょうか?カタカナでアルゼンチン、キプロスと書いてしまうとちょっと分りづらいですが、Argentine Republic, Republic of Cyprusと書けばなんとなく見えてきますね。この2つの国名は元素に由来してるのでした!
解説
数年前に世界各国の国名の由来を世界地図に入れ込んだ画像が話題になったことがありました。(国名 由来で検索してみて下さい)
結構なインパクトがある画像で、面白く拝見していたのですが、そこに一文字で「銀」とだけ書いてあるアルゼンチンを見て、あーそうだったのかあと思ったものです。
その時はそれでスルーしていたのですが、先日この画像を久しぶりにみかけ、他に化学に関係するような国名がないかなと気になってつぶさに見返したところ、小さく「銅」と書いてあるではないですか。恥ずかしながら、これどこの国?と思って調べたらキプロスでした。キプロスってどこ?って?
こうなるとあとは「金」。しかし、残念ながら金に関係した国名はありませんでした。黄金の国ジパングも金由来じゃないですしね・・・というわけで気をとりなおしてアルゼンチンから紹介しましょう。
正式名称は、República Argentinaで英語表記はArgentine Republicです。独立当時はProvincias Unidas del Río de la Plataと呼ばれていて、このRío de la Plataはスペイン語で「銀の川」を意味しています。スペイン人の征服者たちが、銀の飾りを身につけた原住民に出会い、川の上流に「銀の山脈(Sierra del Plata)」があると考えたことが由来となっていて、銀のラテン語表記である「Argentum」に地名を表す女性縮小辞(-tina)をつけてArgentinaとなりました。国名をスペイン語由来からラテン語由来へ変えたのは、スペインによる圧政を忘れるためと言われています。
お次はキプロスです。正式名称は、現代ギリシャ語で Κυπριακή Δημοκρατία (ラテン文字転写: Kypriakí Demokratía)で、英語表記は、Republic of Cyprusです。キプロスの語源には2つの説があり、古代ギリシャ語のイトスギ (kyparissos) 由来説そして銅 (Chalkos) 由来説があります。銅説であるとすると、キプロスにフェニキアの銅採掘場があったことに由来して、cyprium aes(キプロス島の真鍮)が逆にラテン語のcuprum に繋がり、元素記号Cuの元になっていきます。そして英語のcopperはこのラテン語に由来しています。
ということで、2つの国と化学の関係を見出したので調子に乗って首都の名前が化学に関係があるところがないかなと探してみました。結果としては無駄な時間となってしまいました。かなり無理やりですが、ハンガリーの首都BudapestのBudaは水(pestはかまど)だそうです。また、ケニアの首都Nairobiは現地語Enkare Nyirobiであり、これは冷たい水の土地を意味しています。また、リヒテンシュタインの首都Vaduzはロマンシュ語の水を意味するavadutgに由来するという説があります。水といっても当然川とか湖とかなんで、あまり化学とは関係ないかもしれませんね。
これでは化学地球儀で紹介できるマップがないので、最後にアルゼンチンが生んだヒスパニック系初のノーベル化学賞受賞者である、ルイ・フェデリコ・ルロワール(Luis Federico Leloir)が眠る場所を紹介しましよう。
画像はWikipediaより
ルロワールは1970年ラクトースの代謝経路、いわゆるルロワール回路の発見をはじめとする、「糖ヌクレオチドの発見と糖生合成におけるその役割に関する研究」によりノーベル化学賞を受賞しています。ブエノスアイレスにあるレコレタ墓地に眠っています。
マップ
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