[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

なんとオープンアクセス!Modern Natural Product Synthesis

[スポンサーリンク]

(注)↑上記アマゾンでは売っていますが、実はオープンアクセスで、PDFならば完全無料ですので書籍希望でない方以外は購入しないようにしてください。

ダウンロードはこちら

概要

この書籍では、日本の天然物の全合成における分野の主要な専門家が、予期せぬ反応や合成を含む彼らの合成経路の詳細について説明しています。成功しなかった経路を含め、全合成の開発の背後にある詳細なストーリーを提示することで、この書籍は他の研究者がどのように戦略を練り、研究での困難を克服するかの理解を深めるのに役立ちます。本書の寄稿は日本の研究を強調していますが、世界中の研究者や学生にとって魅力的です。この最先端の天然物合成のコンパイルは、有機合成化学に関する研究について、特に大学院生や若手研究者に高品質の専門知識を提供します。大学のセミナーで教材として利用することができるほか、全合成の分野で研究する研究者に指導を提供することもできます。

著者

以下略称・敬称略です。

伊藤・谷野・吉村 北大・現静県大
桑原 東北大
Yoshida, Saito, and Doi 東北大
徳山 東北大
井上 東大
谷藤・大栗 東大
大森 東工大
石川 千葉大
小田木・長澤 農工大
中田 早大
佐藤 慶大
高尾 慶大
高橋・戸嶋 慶大
不破 中央大
杉田 星薬大
横島 名大
塚野・安井・竹本 京大・現神戸薬大
大野 京大
上田・川端 “京大・現国際医療福祉大”
深瀬 阪大
森本 阪市大
難波 徳島大
大石 九大

内容

500ページ超の天然物合成の最新研究成果が無料

今回紹介する書籍を一言で述べてみました。合成化学のその時代の力量を示す天然物合成。華麗な合成がジャーナルでも紹介されていますが、ジャーナルの性質上もあり、デッドエンドとなった合成経路や、期待通りに進まなかった反応はあまり掲載されません。反応開発のように1反応ではないので、ジャーナル本誌に乗せることのできる、深い考察ができないということも一因です。

そこで、日本の代表する天然物合成化学者が集まって、全合成の裏話や鍵工程の詳説、著者が全合成でいかに難題を解決したか、等に焦点を当てて、達成した全合成に関して執筆いただくスタイルでまとめた本書が企画されました。

本書は天然物合成の面白さを学生たちに知ってこの分野に興味をもってもらいたいという先生方の願いがこもった1冊です。企画から発刊まで約2年かかったそうです、質・量ともに誇れる内容であると思います。

オープンアクセスなので、いくつかスキームを掲載させていただくと、確かに、論文ではあまりみられないような条件検討や、失敗したルートなどが記載があります。500ページもあるのでなかなか目を通すことができませんが、時間のある時にじっくりと呼んでみたいと思います。

上述しましたが、Amazonなどでは書籍版が売っているようですが、PDFは無料でダウンロードできるので、ぜひダウンロードして、自分で吟味してみてください。素晴らしい書籍を刊行してくれた先生方に感謝いたします。

ダウンロードはこちら

関連書籍

[amazonjs asin=”475981387X” locale=”JP” title=”天然有機化合物の全合成:独創的なものづくりの反応と戦略 (CSJカレントレビュー)”][amazonjs asin=”3527348778″ locale=”JP” title=”Classics in Total Synthesis IV: New Targets,Strategies, and Methods”]
Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. ワークアップの悪夢 反応後の後処理で困った場合の解決策
  2. 免疫応答のシグナル伝達を遮断する新規な免疫抑制剤CPYPP
  3. パラジウムが要らない鈴木カップリング反応!?
  4. 第40回ケムステVシンポ「クリーンエネルギーの未来を拓く:次世代…
  5. 「誰がそのシャツを縫うんだい」~新材料・新製品と廃棄物のはざま~…
  6. MRS Fall Meeting 2012に来ています
  7. 質量分析で使うRMS errorって?
  8. 始めよう!3Dプリンターを使った実験器具DIY:3D CADを使…

注目情報

ピックアップ記事

  1. コロナウイルスCOVID-19による化学研究への影響を最小限にするために
  2. 有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズ
  3. 吉田 優 Suguru Yoshida
  4. 機械学習は、論文の流行をとらえているだけかもしれない:鈴木ー宮浦カップリングでのケーススタディ
  5. 八島栄次 Eiji Yashima
  6. 細菌ゲノム、完全合成 米チーム「人工生命」に前進
  7. 正岡 重行 Masaoka Shigeyuki
  8. UBEの新TVCM『ストーリーを変える、ケミストリー』篇、放映開始
  9. 化学系面白サイトでちょっと一息つきましょう
  10. EUで化学物質規制のREACHが施行

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2024年6月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

最新記事

新たな有用活性天然物はどのように見つけてくるのか~新規抗真菌剤mandimycinの発見~

こんにちは!熊葛です.天然物は複雑な構造と有用な活性を有することから多くの化学者を魅了し,創薬に貢献…

創薬懇話会2025 in 大津

日時2025年6月19日(木)~6月20日(金)宿泊型セミナー会場ホテル…

理研の研究者が考える未来のバイオ技術とは?

bergです。昨今、環境問題や資源問題の関心の高まりから人工酵素や微生物を利用した化学合成やバイオテ…

水を含み湿度に応答するラメラ構造ポリマー材料の開発

第651回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院工学研究科(大内研究室)の堀池優貴 さんにお願い…

第57回有機金属若手の会 夏の学校

案内:今年度も、有機金属若手の会夏の学校を2泊3日の合宿形式で開催します。有機金…

高用量ビタミンB12がALSに治療効果を発揮する。しかし流通問題も。

2024年11月20日、エーザイ株式会社は、筋萎縮性側索硬化症用剤「ロゼバラミン…

第23回次世代を担う有機化学シンポジウム

「若手研究者が口頭発表する機会や自由闊達にディスカッションする場を増やし、若手の研究活動をエンカレッ…

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

持続可能な社会の実現に向けて、太陽電池は太陽光発電における中心的な要素として注目…

有機合成化学協会誌2025年3月号:チェーンウォーキング・カルコゲン結合・有機電解反応・ロタキサン・配位重合

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年3月号がオンラインで公開されています!…

CIPイノベーション共創プログラム「未来の医療を支えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第105春季年会(2025)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「未来の医療…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー