[スポンサーリンク]

化学一般

動画でわかる! 「575化学実験」実践ガイド

[スポンサーリンク]

動画でわかる!「575化学実験」実践ガイド

動画でわかる!「575化学実験」実践ガイド

東京都理化教育研究会, 田中義靖
¥2,695(as of 04/18 01:45)
Release date: 2022/05/30
Amazon product information

概要

575(ご・しち・ご)化学実験とは、「準備5分、実験7分、片付け5分で実施できるほど簡単で、かつ、教育効果のある実験」で、平成30・31年度 東京都理化教育研究会 化学専門委員会により提案された。本書はその成果をさらに発展させ、より使いやすい内容として整理。書籍購入者は、収載している実験の動画や、授業で使える実験プリントのデータなどが利用能。

手軽で安全な実験が多いので、高校化学の授業だけでなく、自由研究や実験教室のネタとしても最適です。

(引用:丸善出版

対象者

学校の教員。概要の通り、化学の自由研究に興味のある親御さんや実験教室を開催している方にも参考になる書籍です。

目次

第1章 物質の構成
 1 30秒でワインを蒸留
 2 ウォッカで色素を抽出
 3 30秒で色素の分離
 4 10秒で炭素の検出
 5 かんぴょうで炎色反応
第2章 物質の変化
 6 銅はくで定比例の法則を確認
 7 シュウ酸で量的関係を確認
 8 クエン酸でアレニウスの定義を確認
 9 酢酸とアンモニアを混ぜて消臭
第3章 物質の状態と平衡
 10 水蒸気でマッチを燃やす
 11 手のひらで反応熱を確認
 12 数滴でダニエル電池
 13 導線不要の鉛蓄電池
 14 銅はくで電気分解
 15 シリンジで状態方程式を確認
 16 湿度から気体定数を計算
 17 試験管でチンダル現象
第4章 物質の変化と平衡
 18 シリンジで反応速度を測る
 19 色の変化で反応速度を確認
 20 試験管で平衡移動を確認
 21 臭いと沈殿で平衡移動を実感
第5章 無機物質
 22 二酸化炭素の反応を音で確認
 23 ヨウ素で色がついたり移ったり
 24 試験管でいぶし銀づくり
 25 日光写真の仕組みを考える
第6章 有機・高分子化合物
 26 使い捨てカイロでエステル合成
 27 グルコースで藍染め
 28 ヨーグルトでタンパク質の確認
 29 銅はくでレーヨンづくり
 30 ボンドとペットボトルで合成樹脂の実験

解説

こちらの書籍を一言で表すと、高校化学の実験指南書です。ただ、教科書に掲載されているような典型的な実験ではなく、準備5分、実験7分、片付け5分で完結するようにデザインされた実験が紹介されています。本書を読む前は、一つくらいは体験した実験が載っているかと思いましたが、全て未体験の実験でした。

ページ構成として、最初の概要で実験で取り上げる事象や典型的な実験との違いに触れています。次に実験プリント例で、実験手順や結果・考察を例示しており、そのまま教員がこのページを使って実験を行えるようになっています。解説では、実験の原理から操作上のポイント、使用している試薬や素材の説明、追加の発展実験例まで解説されています。生徒が参加して行う実験の授業では、予備実験を行いますが、本書には実験の様子を撮影した動画のリンクが貼りつけられており、操作のタイミングを動画で確認しながら準備を進めることができます。基本的には学校の器具や試薬を使った実験が紹介されていますが、一部は家庭にあるものでも実施可能な実験も含まれており、家庭での自主学習も可能です。

中学や高校にはNMRなどの分析機器はもちろんないので、化学反応後の生成物を確認する手段は限られています。そんな中、本書では色や匂いの変化をうまく駆使して、生徒に化学反応が起きて異なる分子が合成されたことを感じられるように原料がうまく選ばれています。また、シリンジを使って発生したガスを定量している実験がいくつか紹介されていますが、これも通常は発生した気体をハンドリングするのは難しく、使い捨てのシリンジをうまく使って実験を完結させているのは先生方のアイディアが詰まっていると感じました。

自分は、中高で実験の楽しさに魅力を感じて化学科に入学したわけですが、先生方が本書を活用し、化学実験の楽しさや化学を学ぶ意義を授業の中で多くの生徒に示してほしいと思います。

化学教育に関するケムステ書籍レビュー

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. 物質科学を学ぶ人の空間群練習帳
  2. CFDで移動現象論111例題 – Ansys Flu…
  3. 有機機能材料 基礎から応用まで
  4. バイオ医薬 基礎から開発まで
  5. NMR in Organometallic Chemistry
  6. 先制医療 -実現のための医学研究-
  7. 桝太一が聞く 科学の伝え方
  8. ペリ環状反応―第三の有機反応機構

注目情報

ピックアップ記事

  1. 研究室で役立つ有機実験のナビゲーター―実験ノートのとり方からクロマトグラフィーまで
  2. 東レ、ナノ構造制御技術を駆使した半導体実装用接着シートを開発
  3. 有機無機ハイブリッドペロブスカイトはなぜ優れているのか?
  4. 触媒的C-H活性化反応 Catalytic C-H activation
  5. 乙種危険物取扱者・合格体験記~Webmaster編
  6. 「イカ」 と合成高分子の複合により耐破壊性ハイドロゲルを開発!
  7. 量子力学が予言した化学反応理論を実験で証明する
  8. 150度以上の高温で使える半導体プラスチック
  9. ロバート・コリュー R. J .P. Corriu
  10. ロバート・バーグマン Robert G. Bergman

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2022年12月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2025年4月号:リングサイズ発散・プベルル酸・イナミド・第5族遷移金属アルキリデン錯体・強発光性白金錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年4月号がオンラインで公開されています!…

第57回若手ペプチド夏の勉強会

日時2025年8月3日(日)~8月5日(火) 合宿型勉強会会場三…

人工光合成の方法で有機合成反応を実現

第653回のスポットライトリサーチは、名古屋大学 学際統合物質科学研究機構 野依特別研究室 (斎藤研…

乙卯研究所 2025年度下期 研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

次世代の二次元物質 遷移金属ダイカルコゲナイド

ムーアの法則の限界と二次元半導体現代の半導体デバイス産業では、作製時の低コスト化や動作速度向上、…

日本化学連合シンポジウム 「海」- 化学はどこに向かうのか –

日本化学連合では、継続性のあるシリーズ型のシンポジウムの開催を企画していくことに…

【スポットライトリサーチ】汎用金属粉を使ってアンモニアが合成できたはなし

Tshozoです。 今回はおなじみ、東京大学大学院 西林研究室からの研究成果紹介(第652回スポ…

第11回 野依フォーラム若手育成塾

野依フォーラム若手育成塾について野依フォーラム若手育成塾では、国際企業に通用するリーダー…

第12回慶應有機化学若手シンポジウム

概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大学理工学部・…

新たな有用活性天然物はどのように見つけてくるのか~新規抗真菌剤mandimycinの発見~

こんにちは!熊葛です.天然物は複雑な構造と有用な活性を有することから多くの化学者を魅了し,創薬に貢献…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー