大和書房さんより 2022年9月に刊行された『科学実験でスラスラわかる! 本当はおもしろい 中学入試の理科』を紹介します。
概要
一見難問に思える御三家の問題も、すらすら解けてしまう! その鍵となる科学実験を紹介しながら、考える力と地頭力を育てます。
著者 尾嶋 好美 著 ジャンル 教育・学参 出版年月日 2022/09/08 ISBN 9784479393931 判型・ページ数 A5・160ページ 定価 1,870円(本体1,700円+税)
対象
小学3年生程度〜大人まで
本書の特徴
【本書の特徴①】
受験理科の入り口にぴったり!
「虹はどうしてできるの?」「お風呂で温かいお湯が上、冷たいお湯が下にくるのはなぜ?」など、
日常生活の中の「不思議なこと」を実験で解き明かしていきます。
「へぇ〜、おもしろい」と思いながら読み進めることで、知識のみならず、
自分で考える力、問題を解く力がつきます。【本書の特徴②】
大人が先にハマります!
「空の色はなぜ青い?」「シャボン玉が落ちずに浮かび続けるのはなぜ?」などの疑問に対する答えを、
美しい実験写真で解説。理科が苦手でも、知識ゼロからでも大丈夫。
「知らなかった、もっと知りたい!」という気持ちを大人自身が感じながら楽しめます。【本書の特徴③】
実際に出題された問題の解き方を解説
開成、麻布、女子学院などの過去問を見ながら、考え方、解き方をわかりやすく説明します。
「実験と入試問題って、こんなふうにつながっているんだ」と思いながら、問題を解くおもしろさに気づきます。
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*ふりがな付きなので、小学3年生くらいから。もちろん入試直前期の6年生にもおすすめです。
目次
- はじめに ようこそ、不思議で楽しい理科の世界へ
- 化学
- ペンの色を分解して、混ざったものを分ける方法を知ろう
- シャボン玉を飛ばして、気体の存在を感じてみよう
- 炎を飛ばす実験をして、ロウソクはなぜ燃えるかを考えよう
- 透明な液体が白くなるのはなぜ? 石灰水を作って考えよう
- うがい薬を使って、デンプンがあるかを調べよう
- 消えたものがまた現れる再結晶について知ろう
- 炎の一番明るい場所はどこ? ロウソクの燃え方を探ろう
- 紫いもの粉の色の変化を見て、酸性とアルカリ性について学ぼう
- 酸性とアルカリ性が出会うと起きる化学反応を知ろう
- 生物
- 植物はどうやって増えている? 種に隠された工夫を知ろう
- ぷよぷよの卵を作って半透膜の性質を知ろう
- 水の通り道を見える化して、植物が成長する仕組みを探ろう
- 地学
- なぜクレーターができるのか、実験で解き明かそう
- 風はどこから吹いてくる? 温度のちがいによる動きの変化を知ろう
- 空の色はなぜ青い? 青空と夕焼けを作って考えよう
- 物理
- 空気がうすい世界ではどんなことが起きるかを考えよう
- バター作りを通して水と油の関係を知ろう
- コップの中に陽炎を作って、気体や液体の密度について考えよう
- 自分で虹を作って、光の屈折について理解を深めよう
- 紙コップギターを作って、音が伝わる仕組みを知ろう
- あとがきにかえて
内容
まず実験の準備と解説を読んでから、入試問題にチャレンジするという形式です。
実験
問題にチャレンジ
Amazon のページでも内容を一部閲覧することができます。
感想
非常に美麗なビジュアルと簡潔かつ子どもでも読みやすい文章で、理科の世界に引き込まれると思います。小学生レベルの理科の内容を見返すのは久しぶりでしたが、まさに日常操作であるクロマトグラフィーや再結晶といった現象を実はその頃からから学んでいたのか、となかなか驚きました。「大人が先にハマります!」というキャッチコピーの通りだと思います。ハマった大人が本書を使ってお子さんに教えてあげる、という構図が成り立ちます。
実際に手を動かして実験した内容は割と記憶に残ると思いますし、理科の教育はそれこそ実験が重要だと思いますが、小学校の限られた時間割の中では実験に時間を割くのもなかなか難しいでしょう。本書は自宅でも入手可能な材料を用いた実験プロトコルを紹介していますので、小学生のお子さんを持つ親御さんはぜひとも本書を参考に実験を組み立ててあげていただければと思います。
さて、入試問題は開成や桜蔭などハイレベルな中学校のものを引用しており、教科書や参考書の文章を暗記しただけではなかなか太刀打ちできないものだらけです。そこで重要なのがやはり実験。実際に手を動かし、視覚で目の当たりにした現象はしっかりと記憶に残り、そしてその現象について深く調べる意欲も湧くことでしょう。実験プロトコルを思い返せば、難関校の問題にも難なくチャレンジできると思います。
本記事の筆者にも子どもがいるのですが、成長して一緒に読んで実験できる日を楽しみに、しっかり読み返しておきたいと感じました。