[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

【著者インタビュー動画あり!】有機化学1000本ノック スペクトル解析編

[スポンサーリンク]

有機化学1000本ノック スペクトル解析編

有機化学1000本ノック スペクトル解析編

矢野 将文
¥2,750(as of 01/31 05:13)
Amazon product information

今年4月に発売された書籍で、発売記念著者インタビュー動画も発売前に撮影したのですが、書籍の到着を待っていたら完全に失念していて、そして忙しさを言い訳にいまさら公開となってしまいました。

待望の1000本ノックシリーズ第5弾 スペクトル解析編です!

まずはお時間のあるときに、撮影したインタビュー動画を御覧ください。著者の矢野先生(関西大学)と盛り上がってしまい、インタビューに1時間半も費やしてしましました(編集後30分)

以下の内容について、謎の格好をして矢野先生とたっぷりとお話しています。

チャプターもつけていて、質問をクリックするとその話に飛べるので、お時間のない方はそちらでどうぞ。

概要

大好評「有機化学1000本ノック」シリーズに待望の新刊が登場.シリーズ5作目は,スペクトル解析を取り上げた.水素不足指数の計算に始まり,IR,MS,NMRを習得し,最後はそれらの知識を総動員して構造を予測できるようにトレーニングする.もちろん問題数は1000問.有機化合物の構造が解析できるようになるまで,解いて解いて解きまくれ!(引用:化学同人

目次

1.IHD(水素不足指数)
2.IR(赤外吸収スペクトル)
3.MS(質量スペクトル)
4.13C NMR(炭素13 核磁気共鳴スペクトル)
5.1H NMR(プロトン核磁気共鳴スペクトル)
6.総合問題

内容

さて、今回の書籍の内容です。この有機化学1000本ノックシリーズはご存知でしょうか?

まさにタイトル通り体で身につける問題集です。名前に嘘偽り無く、本当に1000問問題が収録されており、今回のスペクトル解析シリーズも例外ではありません。

この問題集の特徴を言えば、同じところにしばらくノックしたと思いきや、たまーに少しだけ球筋を変えてノックしてくれること。何を言っているのかわからないかもしれませんが、実際やってみるとわかります。

目次の通り、まずは水素不足指数から。え?スペクトルと関係あるの?と思うんですが、スペクトルの問題は分子式が与えられていることが多いので、その分子式の水素不足指数がすぐにわかれば化合物を予測しやすくなります。

続いてはIR。基本的には官能基ぐらいしかわからないですね。覚えてほしいところは一部、あとはこのあたりに〇〇の伸縮振動が….ぐらいです。スペクトルも小さいですが多数収録されています。

お次は、意外にセンスが問われるMSスペクトル。親マスと言われる分子イオンだけがでるんじゃないんですね。かなり強い条件でイオン化するので、化合物がぶちぶち切れるんです。それをフラグメントイオンといって、それから分子イオンを予測することもあります。わかってしまえば簡単ですね。

メインは、13C NMRと1H NMR。これでもかというぐらい問題が収録されています。内容的にはそんなに難しい問題はなく、わかるひとはひと目でわかってしまうんじゃないかという感じです。もちろん実際のスペクトルが所狭しに掲載されています。よくぞこんなに収録したなと思います。

最後は、総合問題。難解問題があるのかと思いきや、実は結構簡単です。ただ、これが解けるようになると実践でも使えることでしょう。

実際にスペクトルを見る場合は、基本的には原料と生成物を見比べて、どこが反応してどのように変わるのか予測しながら構造式を予想しますね。一方で、スペクトルの問題はいきなり問題を与えられます。そう、つまり実際にスペクトルを読むときよりも難しいんです。ですので、これをしっかり解ければ免許皆伝

この1000本ノックシゴキに耐えきって、やりきったとき、

これまで単なる画像にしか見えなかったスペクトルが構造式にみえてくるでしょう!

おすすめです。

関連動画

化学同人から先行して出された動画です。こちらは短いのですぐに見ることができます。

関連書籍

有機化学1000本ノック 立体化学編

有機化学1000本ノック 立体化学編

矢野 将文
¥1,980(as of 01/31 05:13)
Amazon product information
有機化学1000本ノック 命名法編

有機化学1000本ノック 命名法編

矢野 将文
¥1,650(as of 01/31 05:13)
Amazon product information
有機化学1000本ノック反応機構編

有機化学1000本ノック反応機構編

矢野将文
¥2,970(as of 01/31 05:13)
Release date: 2019/08/25
Amazon product information
有機化学1000本ノック 反応生成物編

有機化学1000本ノック 反応生成物編

矢野 将文
¥2,090(as of 01/31 05:13)
Amazon product information
Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. ストリゴラクトン類縁体の構造活性相関研究 ―海外企業ポスドク―
  2. 太陽ホールディングスってどんな会社?
  3. sinceの使い方
  4. アミン存在下にエステル交換を進行させる触媒
  5. 最近の有機化学注目論文3
  6. 有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~
  7. アウグスト・ホルストマン  熱力学と化学熱力学の架け橋
  8. マテリアルズ・インフォマティクスの導入・活用・推進におけるよくあ…

注目情報

ピックアップ記事

  1. キシリトールのはなし
  2. オキソアンモニウム塩を用いたアルデヒドの酸化的なHFIPエステル化反応
  3. 理系ライターは研究紹介記事をどうやって書いているか
  4. 生体外の環境でタンパクを守るランダムポリマーの設計
  5. ベンゼン環が壊れた?!ー小分子を活性化するー
  6. ダイキン、特許を無償開放 代替フロンのエアコン冷媒
  7. クロスカップリング反応関連書籍
  8. 「糖化学ノックイン」領域紹介PVを制作頂きました!
  9. 有機合成の進む道~先駆者たちのメッセージ~
  10. 日米の研究観/技術観の違い

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2022年8月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031  

注目情報

最新記事

中村 真紀 Maki NAKAMURA

中村真紀(Maki NAKAMURA 産業技術総合研究所)は、日本の化学者である。産業技術総合研究所…

フッ素が実現する高効率なレアメタルフリー水電解酸素生成触媒

第638回のスポットライトリサーチは、東京工業大学(現 東京科学大学) 理学院化学系 (前田研究室)…

【四国化成ホールディングス】新卒採用情報(2026卒)

◆求める人財像:『使命感にあふれ、自ら考え挑戦する人財』私たちが社員に求めるのは、「独創力」…

マイクロ波に少しでもご興味のある方へ まるっとマイクロ波セミナー 〜マイクロ波技術の基本からできることまで〜

プロセスの脱炭素化及び効率化のキーテクノロジーとして注目されている、電子レンジでおなじみの”マイクロ…

世界の技術進歩を支える四国化成の「独創力」

「独創力」を体現する四国化成の研究開発四国化成の開発部隊は、長年蓄積してきた有機…

四国化成ってどんな会社?

私たち四国化成ホールディングス株式会社は、企業理念「独創力」を掲げ、「有機合成技術」…

アザボリンはニ度異性化するっ!

1,2-アザボリンの光異性化により、ホウ素・窒素原子を含むベンズバレンの合成が達成された。本異性化は…

マティアス・クリストマン Mathias Christmann

マティアス・クリストマン(Mathias Christmann, 1972年10…

ケムステイブニングミキサー2025に参加しよう!

化学の研究者が1年に一度、一斉に集まる日本化学会春季年会。第105回となる今年は、3月26日(水…

有機合成化学協会誌2025年1月号:完全キャップ化メッセンジャーRNA・COVID-19経口治療薬・発光機能分子・感圧化学センサー・キュバンScaffold Editing

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年1月号がオンライン公開されています。…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー