伝わるデザインの基本 増補改訂3版 よい資料を作るためのレイアウトのルール
概要
自分で作るスライドやチラシ・企画書などが,なんだか見映えがいまいちで,効果が上がらない,きちんと言いたいことが伝わっていないとお悩みの方は多いようです。その原因は,デザインのセンスがないことではなく,デザインの基本ルールを知らないことなのです。本書で詳しく解説する基本ルールをマスターすれば,Word やPowerPoint であっても,読みやすく伝わりやすい,そして見違えるほどかっこいい資料が作れるようになります。初版と増補改訂版で合計15万部突破の本書が,さらにパワーアップ。ユニバーサルデザインに配慮したデザインルールも身に付けて,みんなに伝わる資料作りを目指しましょう。(引用:技術評論社)
対象
発表スライドやレポートを日々作成している学生、社会人。より良い資料を作るための具体的な操作方法はMicrosoft office製品を使って解説されているので、パワポやエクセル、ワードを使っている方に適しています。
目次
第1章 書体と文字の法則
1-1 書体の基本知識
1-2 個性的な書体は避ける
1-3 読ませる文章での書体選び
1-4 見せる文章での書体選び
1-5 より美しいフォントを選ぶ
1-6 判読性の高いフォントを選ぶ
1-7 太字と斜体の使い方
1-8 おすすめのフォント
1-9 欧文フォントの使い方
1-10 和文と欧文が混ざる文章
1-11 数字の強調
1-12 約物の取り扱い
1-13 文字は歪めない、飾りすぎない
チェックポイント
第2章 文章と箇条書きの法則
2-1 文字の配置(文字組)
2-2 文字の大きさと太さ
2-3 行間の調節
2-4 字間の調節
2-5 行頭を左揃えにする
2-6 箇条書きの作り方
2-7 小見出しのデザイン
2-8 段落間隔で見やすく
2-9 改行位置に注意を払う
2-10 インデントは本当に必要!?
2-11 行長を長くしすぎない
2-12 段組で紙面と時間の節約
チェックポイント
第3章 図とグラフ・表の法則
3-1 図解を使ってわかりやすく
3-2 「囲み」を使いこなす
3-3 角丸四角は慎重に
3-4 オブジェクトの装飾
3-5 矢印の使い方
3-6 囲みと文字の組み合わせ方
3-7 図解を見やすく、美しく
3-8 画像の基本知識
3-9 ラスター画像の扱い方
3-10 ベクター画像の構造
3-11 図に説明を入れる
3-12 数値データの示し方
3-13 グラフの作り方
3-14 応用的なグラフ
3-15 表の作り方
チェックポイント
第4章 レイアウトと配色の法則
4-1 レイアウトの目的と5つの法則
4-2 余白を十分にとる
4-3 揃えて配置する
4-4 グループ化する
4-5 強弱をつける
4-6 繰り返す
4-7 情報の構造に即したレイアウト
4-8 視線の流れを意識したレイアウト
4-9 写真や図の扱い方
4-10 余計な要素やノイズを減らす
4-11 囲みすぎない、丸めすぎない
4-12 見やすいデジタル書類の作り方
4-13 配色の基本
4-14 色の選び方の基本
4-15 色の組み合わせ
4-16 文字色と背景色の組み合わせ
4-17 色の決め方
第5章 実践
5-1 ルールを守り通す
5-2 プレゼン用のスライド
5-3 企画書や大判の発表資料
5-4 文章がメインの書類
5-5 掲示物やチラシ
解説
パソコンで資料を作る作業は、大学生の講義や実験のレポート作成から始まり、研究室での報告会の発表資料作成、学会で研究発表のスライド、卒業・投稿論文とステップアップしていくと思います。さらに企業に入ればお客さんや上司の前でプロジェクトの進捗や新製品の紹介など、自分の作った資料で自分のキャリアや会社の業績を左右する事態に遭遇することもあります。アカデミックにおいても科研費の申請や大学や学会の重要な会議など、資料の良し悪しで今後の研究の方向性が決まることもあるのではないでしょうか。そんな誰もが悩む分かりやすい資料の作り方を解説しているのが本書です。
第1章では、文字について解説しています。本書を読む前までは、レポートで使うフォントは明朝体で、スライドはゴシック体を使うものだと何とか認識しているだけで、アルファベットに至っては全部Arialにしていました。そのため1-1から知らないことがたくさん解説されていて、特にアルファベットにもセリフ体(Times New Roman)とサンセリフ体(Arial)という日本語の明朝とゴシックに相当する書体の種類があることが勉強になりました。1-2以降では、フォントの詳細について解説しており、パソコンにインストールされている様々なフォントの特徴を知ることができます。フォント選択の際には、見た目以外の観点で選ぶ必要があることをこの章を通して知ることができました。第2章では、主にスライド資料での文章の配置方法について解説しています。スライドでは文字を箇条書きにすることは多々ありますが、スライド作りに慣れてくると自分の中に独自テンプレートを持ち、そこから大きく離れることは少ないと思います。本章を読むことで見やすい文字の配置を再認識し、自分のテンプレートをより分かりやすいように修正できると感じました。
第3章は、図や画像、グラフ、表の分かりやすいデザインについて紹介しています。図形の中に単語を入れて矢印などでつなげるのは簡単な表現方法ですが、図形の形や色には良し悪しがあり、場合によってはデフォルトから少し形を変えることで見やすくなることを知りました。この章においてはPowerPointの操作が重要であり、前述の図形の形を変える方法も画面のキャプチャ付きで説明されていて、Office製品に詳しくなくてもすぐに試すことができるようになっています。第4章では、レポートとスライド全体のレイアウトを紹介しています。ここでの特筆すべきポイントは色であり、自分は何となく見にくくなくて、単調にならない色を文字の強調や図形に使ってましたが、本書では色から示されるイメージや、見やすい色のコンビネーションを詳しく説明しており、文字同様に色の選択する際のガイドラインとなる内容が盛り込まれています。
最後の第5章では、総まとめとしてスライド、発表資料、書類、ポスターやチラシをBefore/After形式で分かりやすい資料の特徴を紹介しています。前章までのテクニックの使いどころを実践の場で知ることができます。前半はスライドや書類ですが、後半にはイベントのチラシやお便りの例もあり、いろいろな場面で活用できる内容となっています。
本書自体ももちろん分かりやすく表現されており、よい資料にするためのコツを勉強することができます。多くの場面で悪い例と良い例が併記されており、表現を比較できるのも本書の特徴だと思います。著者の高橋佑磨さんと片山 なつさんは共に、千葉大学 理学部・大学院理学研究院に所属されており、生物学を専門とする研究者です。人の成果が見た目ではない内容で評価されるように情報デザインの普及やデザインリテラシーの底上げを目標に、デザイナーではない社会人や教育者、学生、研究者向けのデザインのウェブページや書籍を執筆されているようです。他者の資料について、内容はそうでもないのに凝っていて、よい評判を受けて悔しい思いをすることは何度かあり、分かりやすい資料を作りたいと思って本書籍を購入しました。結果、資料をキラキラにする必要はなく、いくつかの鉄則を守ればよい資料になることを理解しました。資料作りの腕を少し磨きたいと思ったらこちらの書籍を読んでみませんか。細かいテクニックを知ることができます。
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