ケムステではおなじみとなった、化学小説「化学探偵Mr.キュリー」。
先日ついにシリーズ第10弾、10冊目が発売されたそうです。化学者が主人公のこの小説、シリーズ1作目は2013年発売なので、もう8年経ってるんですね。
なんと累計67万部も売れているそうです。
サザエさんやちびまるこちゃんと同じようになかなか登場人物が年を取らない設定になっているので、小説では”あまり”年月を感じさせません。
小説とはないですが、昨年のケムステVシンポの懇親会ではじめて著者の喜多さんにお会いすることができました(オンラインですが)。
といったところで、今回も、喜多さんに内容紹介をお願いしましたので御覧ください。
著者からご挨拶
「化学者のつぶやき」をご覧の皆様。お世話になっております。喜多喜久です。
不穏な毎日が長く続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。こちらは自宅に引きこもって細々と執筆を続けています。体調は問題ないのですが、いかんせん運動不足で……。筋肉が減って脂肪が増えている気がします。
さて、毎年恒例のあのシリーズの新作が出ることになりましたので、いつものように紹介記事を投稿させていただきます。
新刊のタイトルは、「化学探偵Mr.キュリー10」です。(中央公論新社・5/21ごろ刊行予定)
[amazonjs asin=”B095H49Z9M” locale=”JP” title=”化学探偵Mr.キュリー10 (中公文庫)”]今作は記念すべき十巻目ということで、六巻以来となる二度目の長編となっております。
本作のストーリーを簡単に紹介します。
四宮市と姉妹都市協定を結ぶマイセン王国のユリヤ王子が、四宮大学へ視察にやってきた。王子は視察のあと、沖野のもとで研究を行いたいと突然言い出す。困惑しつつ、沖野はそれを受け入れ、合成研究がスタートする。
時を同じくして、舞衣は大学内で発生した研究施設の無断使用に関する調査に取り掛かる。農学部の分析装置を勝手に利用しようとしたのは、入江という名の経済学部の二年生だった。
調査を進めた結果、入江が長期にわたって大学を休んでいることが判明する。その理由についてさらに調べるうち、入江が沖野の元同級生・袖崎のもとへ頻繁に足を運んでいることが分かる。袖崎には、過去に大麻所持で逮捕された過去があった……。
以上があらすじです。
これを読んで、「お、マイセン王国!」と思った方は相当なマニアでしょう。
実はマイセン王国については、2015年刊行の第三巻に記載があります。(第二話)
この当時から、いずれは王国出身者を中心としたエピソードを書こうと思っていました。
……後付けっぽく聞こえるかもしれませんが本当です!(笑)
六年越しに伏線を回収することができてホッとしています。
どういう形でキャラクターを活躍させたかは、ぜひ本編の方でご確認ください。
2013年に始まった本シリーズも、ついに10冊目を迎えました。
実は、六巻で初めて長編を書いた頃は、十二巻くらいで完結かな~と漠然と考えていました。
それだけ書く頃にはネタも尽き、初版部数も低下しているだろうと推測していました。
ですが、幸いなことに、予想に反してまだ続けられそうな手応えがあります。なので、少なくとも十二巻では終わりません!
作家としてのキャリアも十年を超えました。この先何年作家を続けるにしても、「Mr.キュリー」シリーズが喜多喜久という作家の代表作であることは揺るがない事実だろうと思っています。
今後も知恵を振り絞り、読者の方に「へえ~」と思ってもらえるようなネタを詰め込んだ作品を作っていきます!
次巻以降はまたしばらくいつもの短編集に戻す予定です。
ということで、今後ともご愛顧のほどよろしくお願いいたします!