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[amazonjs asin=”B07ZV47C9R” locale=”JP” title=”電気化学インピーダンス 数式と計算で理解する基礎理論”]概要
インピーダンス測定の結果をいかに解釈すべきか.その理論をフーリエ変換やラプラス変換などの難しい数学を避け,数式で丁寧に説明した.式のもつ意味が,手に取るようにわかる好著.本書を読めば,電気化学現象とインピーダンス測定を結びつけることができる.
(引用;化学同人書籍紹介より)
題目の通り、電気化学・表面化学・分析化学分野で頻出する電気化学インピーダンス測定の原理にフォーカスした教科書です。
対象者
これから電気化学インピーダンス測定を取り入れた研究を行う初学者向けに書かれていますが、高度な内容も含むことから熟練の研究者も手に取るであろう一冊に仕上がっています。
目次
記号の説明
0.測定・解析の全体像
1.基礎となる数学・物理
2.電気化学インピーダンスの概要
3.ファラデーインピーダンス
4.電気化学反応
5.拡散方程式
6.被覆率が変化する吸着種がある場合のファラデーインピーダンス
7.電気二重層容量
8.「平滑な平板電極」でない場合の取扱い
9.溶液抵抗
10. 伝送線モデル(その1)
11.伝送線モデル(その2)
内容
実際の測定がどのようにして行われ、どのような測定が得られ、それをいかに解釈するかから初心者にもわかりやすいように説明されています。物理や数学のバックグラウンドを持たない読者でも混乱しないよう、交流回路におけるインピーダンスの定義からオイラーの公式を用いた三角関数の複素指数関数への拡張、さらには回路図の簡略化に欠かせないΔ-Y変換についても1から説明がなされています。
本論においては、インピーダンスの要となるファラデーインピーダンスの内訳、Butler-Volmer式の線形領域とTafel領域における詳細な考察、拡散や吸着の考え方とその寄与など、極めて実践的な内容となっています。
感想
この手の分野はどうしても難解な数式のオンパレードとなり、筆者のような初学者は面食らってしまいがちです。しかし、本書は数学的・物理的な厳密性を担保しながらもなるべく難解さを排し、式変形や論理を省略することなく淡々と議論しているため大変読みやすかったです。特に、各章の末尾にAppendixと題して関連する公式等の導出が掲載されており、非常に役立ちました。
高校卒業以来物理に深く触れていないであろう多くの化学者にとって難解な分野であることに異論の余地はないと思われますが、極力平易にかみ砕き、懇切丁寧な説明を心がけようとした著者の方々の熱意が伝わってくる良書でした。
最後に
書籍の読み方は十人十色かと思いますが、専門分野によっては、無理に全項目を通しで理解するよりも、要点だけかいつまんで押さえておき、あとは論文等で不明点に差し掛かった時に辞書的に読むような使い方でもいいのではないかと感じました。
修正
化学同人HPに正誤表があります