概要
不確実な時代を生き抜くキャリアを創るには? 各界で活躍する東大OB・OGが、学生生活や就活、起業、転職など人生の節目で何を大切にし、どう選択してきたかを熱く語る。「 仕事のどこに重きを置くのか?」「偶然の活用の仕方」「キャリアに必要な今日的教養とは?」などセンパイたちのキャリアのエッセンスが満載。
★ 執筆陣は「ハーバード大学の物理学者から楽天(株)執行役員CDOへ」「 アメリカの投資銀行マネージャーから経済協力開発機構東京センター長へ」などユニークな経歴を辿る多様なビジネスパーソンです。
★ 東大の連続講義を元にした本書では、授業のライブ感をそのままに、親しみやすい語り口を活かした文体と本文デザインとなっています(引用:東大出版会)
主要目次
はじめに
I 「好き」をとことん追いかける――ビビッときたら突き進もう
とにかく人生を楽しもう,学びは後からついてくる(北川拓也)
研究者への道――飛び込むことで広がる世界(安藤康伸)
目の前のことを全力で取り組め(丸 幸弘)
ひとつひとつの選択と真摯に向き合う(中村優希)
〈コラム〉CAREER WORKSHOP Part 1 未来の仕事を創り出せ!
キャリア学習ゲーム ジョブスタ Create your star job(福山佑樹)
II 社会の基盤をつくる――環境を生かしてやりたいことを実現する
世界を回る国境なきエンジニア(八木田寛之)
日本人が国際機関で働くこと(村上由美子)
価値観と向き合うキャリア設計(神田哲也)
投融資で開発を支援する――開発援助機関という選択(小川 亮)
〈コラム〉CAREER WORKSHOP Part 2 自分を知ろう!(東京大学キャリアサポート室)
III 試行錯誤しながら進む――先のことは誰もわからない
道は,振り返ったらできている(山崎繭加)
悩みのキーワード(金子広明)
仕事はいかに「ワクワク」するかで選ぼう(井﨑武士)
世界観をつくるデザイナー(中村勇吾)
〈コラム〉本授業の背景にあるキャリア理論
キャリアの築き方に正解はない――クランボルツ「計画された偶然性」(標葉靖子)
IV 教養のすすめ――〈役に立つ〉を超えて
人生,大学を出てからの方が長い(小林傳司)
編集後記に代えて
【執筆者一覧】
北川拓也:楽天(株)執行役員CDO(チーフデータオフィサー)
安藤康伸:産業技術総合研究所研究員
丸 幸弘:(株)リバネス 代表取締役CEO
中村優希:東京大学教養学部付属教養教育高度化機構特任助教
八木田寛之:三菱日立パワーシステムズ(株)グループ長代理
小川 亮:国際協力機構民間連携事業部
村上由美子:経済協力研究機構(OECD)東京センター所長
神田哲也:公正取引委員会事務総局審査局審査企画官
山崎繭加:華道家。元ハーバード・ビジネススクール日本リサーチセンター アシスタントディレクター
金子広明:金子広明建築計画事務所
井﨑武士:エヌビディア合同会社エンタープライズ事業部事業部長
中村勇吾:tha ltd. 代表取締役(ウェブデザイナー/インターフェイスデザイナー/映像ディレクター)
小林傳司:大阪大学理事・副学長
対象
- 高校生以上
内容
東大中村栄一先生経由で、本書籍をご紹介いただいたので購入。春に、慶應義塾大学で理工学部の1年生の講義を1回受けもった際、面白いネタがないかなと思いつつ読了。執筆しているのはユニークな経歴の持ち主ばかりである。
良い成績を取る、役に立つ、最短の道を進みたい、一流企業に就職する…
こういうつまらない考え方とは一線を画した人々がこの書籍の「講師」だ。そうはいえど、皆様優秀である。
私も昔からこんな感じのユニークな人間になりたい!と思っていた。留年するぐらい大学が嫌いだったのに、マイノリティである博士を取得するまではユニークでよかった。しかし、至極妥当な大学教授になってしまったので、一線を外した人生がうらやましく思う(書籍の人たちは一線を外しているわけではない)。
ダメ人間と異端児のはざま。これはどこにあるのか。こういう話を聞いていると夢を感じる半面、成績良く妥当な路線を突き進んでいる学生を可愛く思ってしまうのは、職業病かはたまた年のせいなのか。
さて、余談はこれくらいにして、書籍の内容を簡単に紹介しよう。
Chapter Iは「好きをとことん追いかける」という副題で4人の講師が自分の人生を語っている。何か自分の追えるものをみつけた人たちである。そもそも、「好き」を見つけそれを仕事にしようと思えれば、すでに成功と言えるが、そうではない人にはそこが大変。どうやったらみつかるのか?その問いはとても難しい。僕は、北川氏と丸氏の文にある程度共感を受けたのですが、みなさまどうでしょうか。講師の1人の中村さんは化学系ですね。
Chapter II は「社会の基盤をつくる」という副題で、かなり堅めの人生で、仕事を楽しんでいる人の話。ここでも4名の講師がそれぞれの仕事について容易に理解できるように話している。これはもしかしたらなんらかの仕事をはじめて、それがフィットして全身全霊打ち込めばなれるんじゃないかと言う感じであった。現実身がある話が多いので、いろいろと参考になるんではないかと思う。
Chapter IIIは「試行錯誤しながら進む」。一筋縄ではいかない人生を送っているひとの体験談。偶然を活用し自らのキャリアを拓いた4名の講師が語っている。
いずれにしても高校生・大学生でも読みやすい内容で、講演を聞いているように読むことができる。
共通して言えるのは、仕事をこなさなければならないと思ってい人は一人もいないことだ。試験などこなさなければいけないものはまだたくさんあるが、仕事をそのような対象となると、生きていくための手段としてのみになりかねないので注意したほうがよい。
大学一年生から道が決まっている人なんてほんの一握りだ。ここで語っている人は成功したから語れるわけで、それがすべて良いわけではないとは思うが、そんなひねくれた考えを持たずに純粋な気持ちで、それぞれの人生を思い浮かべながら、自分の行きたい道の参考にしてほしいと思う。ぜひ読んでみてください。