概要
美肌化学がどこよりも優しく学べる本。化学者は幻想に惑わされない!!
第1章 かずのすけ先生がやってきた
第2章 肌トラブルの原因は洗いすぎ
第3章 ニキビ肌で悩む全ての人へ
第4章 洗顔後の美肌化学的お手入れ方法
第5章 美白ってどーすればいいの?
第6章 みんな気になる!日焼け対策
第7章 界面活性剤は危ないもの!?
第8章 医薬部外品と化粧品はどう違うの?
第9章 化粧品の成分ってどうみるの?
第10章 自分で選ぼう!洗顔料編
第11章 自分で選ぼう!化粧水編
対象
誰でも。特に化粧品のヘビーユーザーにお勧めしたい。
解説
本書は、化粧品の成分について化学的に効能をわかりやすく解説した漫画である。筆者はかずのすけ氏で、京都教育大学教育学部卒、横浜国立大学後期博士過程に在学している。教育学部卒ということで小中高の教員免許を取得されている一方、有機生物化学を専門としている。現在は界面活性剤を中心にした化学物質の生態リスク評価、及び化粧品や美容リスクに関わる消費者認知の研究に携わっている。コンセプトは生物化学的に化粧品の効能を検証することで、本書以外にも数冊の本が出版され、ブログ等も積極的に更新されている。
本書は、化粧品のユーザーである漫画家とそのマネージャーが化粧品の成分について、正しい使い方を商品に書かれている情報を元にかずのすけ氏から教わり、自分に合った化粧品をドラッグストアで選ぶというストーリーである。化粧品の良し悪しは商品の裏に書かれている成分によって議論していて、例えばミネラルオイルやワセリンは、炭化水素油であり脱脂力が強く皮脂まで取り除いてしまうため肌が乾燥しやすいというように記述されている。もちろん専門書ではないので、化学者を完全に納得できるほど詳しく解説しているわけではないが、ある程度のレベルで成分と肌への影響を化学的なバックグラウンドを化学が専門でなくても理解することができる本だと思う。また本書の重要な点として、化粧品の成分表示のルールを解説していることが挙げられる。パッケージの表面には、効果・効能を強く表現しているが、裏面の成分表は一定のルールのもとに記載しなくてはならないので希望の化粧品を選ぶ判断材料になりうることが強調されている。
化粧品はたくさんの化学品の混合物であり、肌もいろいろな機能を持った一部分であるため、単純に一つの化学物質に対して良いか悪いかと決めることはできない。本書中でもその点については留意していて、炭化水素油は、避けたい成分としてが挙げられているものの、酸化しにくいため皮膚への刺激は少ないと記述されている。一方、クレンジングでおすすめの油脂は、肌上で酸化したり分解して刺激を生んだりニキビの原因になるとしている。
個人的には美容が絡んでくる本からは、胡散臭さを感じてしまいがちだが、少なくとも本書では各成分の簡単な役割と効果を理解することができ、大雑把に化粧品の使い方について指針となるような知識を誰でも得ることができると思う。しかしながら製品一つ一つは微妙に成分とその割合が異なり、また肌質も人によって異なるため、単純に成分表から良し悪しを決めることはできないとも思う。
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