昨年3月からついに職業作家となった、化学小説家喜多喜久氏。その代表作である「化学探偵Mr.キュリー」の新作が発売されるようです。前回は長編でしたが、個人的にはかなり研究が近いこともあって、30分ぐらいで読んでしまいました。
新作はどんな内容なのでしょうか?以下の喜多氏本人からの紹介を御覧ください!
化学小説家喜多喜久氏からコメント
「化学者のつぶやき」をご覧の皆様。いつもお世話になっております。喜多喜久です。
前作からおよそ八カ月。あのシリーズの新作が今年も出ることになりましたので、ご厚意に甘えて紹介記事を投稿させていただきました。
新刊のタイトルは、「化学探偵Mr.キュリー7」です。(中央公論新社・2/23刊行)
[amazonjs asin=”4122065291″ locale=”JP” title=”化学探偵Mr.キュリー7 (中公文庫)”]前作「6」はシリーズ初の長編でしたが、今作はシリーズ初の、“サブキャラクターたちを主役に据えた短編集”となっております。
本作のコンセプトについて簡単に説明しますと、最初に「小説BOC」という雑誌に掲載された、キュリーシリーズの番外編「夜の虹」がありました。
これを「7」にも載せることが決まっており、残りはどうしようかと考えていた時に、ふと気づきました。「あ、虹って七色じゃん」と。
その瞬間に七巻のコンセプトが決まりました。つまり、「七人のサブキャラクターによる、七つの色に関する、七つの短編」を書くことになったのでした。
登場する色は虹にちなんだ「赤・橙・黄・緑・水色・青・紫」の七つです。
世の中の色の多くは、化学物質に基づくものです。そして、本作でも七つの色に関わる物質が登場します。そういう意味では、今までと同じかそれ以上に「化学らしい」仕上がりになっていると思います。
主役はサブキャラクターたちですが、もちろん”Mr.キュリー”こと沖野春彦は各話に登場いたします。
それでは、いつもより少し多めですが、簡単にあらすじを紹介いたします。
化学探偵キュリー7あらすじ
・第〇話:夜の虹――1999年のMr.キュリー
1999年、大学三年生だった沖野は、湯浅信希という少年の家庭教師になる。彼には気になる相手がいた。ユカと名乗るその少女は、夜にしか現れないのだという。信希は「まっすぐな虹を見たい」という彼女の夢を叶えようと奔走するが……。
・第一話:みゅーたんと赤色の疑惑
超高校級の女子高生であるみゅーたんには、花隈悟という彼氏がいる。二人はずっとラブラブだったが、最近になって花隈の様子がおかしくなった。デートの誘いに応じようとしないのだ。隠し事をしているのではと心配になったみゅーたんは花隈のアパートを訪ね、赤い口紅の女と親しげに話す彼の姿を目撃してしまう。
・第二話:国島聖也と橙色の謀略
様々な分析をこなす会社に勤める国島は、ある夜に自宅近くで火事を目撃する。その数日後、国島の会社に警察の人間がやってくる。なんでも、火災のあった家は欠陥住宅であり、保険金目当てで故意に火を放った可能性があるという。真相を突き止めるため、国島は現場の灰の分析に取り掛かる。
・第三話:仁川慎司と黄色の邪霊
仁川は博士課程に進学後も、四宮オカルトサークル(通称・SOS)の一員として活動を続けていた。研究室の教授からサークル活動の停止を命じられた仁川は、最後に挨拶をと思いSOSの部室を訪ねる。するとそこで新たな怪奇現象の発生を知る。なんでも、とある廃屋で電話をすると「邪霊の声」が聞こえてくるのだという。
・第四話:猫柳課長と緑色の連鎖
四宮大学庶務課の課長である猫柳は、学内に棲息する猫たちに強い愛情を抱いており、猫を保護するサークルの活動に協力してきた。そんなある日、学内で体調を崩した猫が発見される。獣医師によれば、餌に意図的に毒が混入された恐れがあるという。
義憤に駆られた猫柳は、その犯人探しに乗り出す。
・第五話:美間坂剣也と水色の消失
東京でタレント活動に励んでいた剣也のもとに、CMのオファーが届く。喜ぶ剣也だったが、その商品が水素入りのアルコール飲料であり、酔いにくい効果を前面に押し出していると知り、出演に躊躇を覚える。果たしてその効果は本物なのだろうか? 疑問を解決すべく、剣也は沖野に相談することを決める。
・第六話:氷上一司と青色の忘却
氷上は沖野に研究室への復帰を促しているが、彼がそれに応じる気配はない。そんな時、師匠である村雨から電話が。村雨は氷上に、「沖野のように身の回りの謎を解決してみたら、彼の気持ちが分かるかも」とアドバイスを送る。
氷上はそのアドバイスに疑問を抱いていたが、知り合いの研究室で青い物質に関するトラブルが発生。悩んだ末、氷上はその調査に協力することに。
・第七話:紫色の手紙――2003年のMr.キュリー
無事に志望校である東理大学に合格した信希のもとに、ユカから手紙が届く。だが、その手紙にはメッセージはなく、ただ芳香環が無数に描かれていただけだった。
手紙に込められた意味が理解できない信希は、かつての家庭教師である沖野に相談を持ち込む。
あらすじは以上になります。
発行部数50万部突破!
ちなみに、こちらの「キュリー7」で、シリーズ累計発行部数は50万部を突破しました。また、作家・喜多喜久としての全著作の累計発行部数は100万部を超えました。
これもすべて、いつも応援してくださる読者の皆様のおかげです。この場を借りて御礼申し上げます。
なお、2/26にはコミカライズ版の「化学探偵Mr.キュリー」も刊行予定です。こちらは一巻の第一話と第二話が収録されています。マンガ好きの方はこちらもぜひよろしくお願いいたします。
[amazonjs asin=”B079PT7WL7″ locale=”JP” title=”化学探偵Mr.キュリー (角川コミックス・エース)”]さて、「6」「7」と番外編的な巻が続きましたが、次の「8」は今までのような一話完結の短編集にするつもりでいます。
まだまだキュリーシリーズは続きます。今後ともご愛顧のほどよろしくお願いいたします!
関連リンク
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- 化学探偵Mr.キュリー|特設ページ|中央公論新社