[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

一流ジャーナルから学ぶ科学英語論文の書き方

[スポンサーリンク]

[amazonjs asin=”4759814345″ locale=”JP” title=”一流ジャーナルから学ぶ科学英語論文の書き方”]

内容

一流誌の論文を参考に,英語の構造や語句を丁寧に解説し,日本人に合った英文執筆法を伝授する.論文の構成に沿って進む実践的な内容.生の英文に数多く触れることで,英語のパターンを自然と身につけられる.充実した索引により,自らが英語論文を執筆する際にも繰り返し参照できる.(化学同人紹介サイトより引用)

対象

英語の論文を読み書きする機会がある高校生から研究者

概要

  • Part1【論文構成編】科学英語論文の仕組みを学ぶ
    表題・タイトル/要旨/緒論/実験/結果と考察/結論(展望を含む)/謝辞/参考文献:Part1では、論文のセクションごとにどのような英語の表現を使って論文が書かれているか解説しています。
  • Part2【実例編】科学英語論文の表現を広げる
    表題の表現例/要旨の表現例/緒論に使われる表現/実験に使われる表現/結果と考察に使われる表現/図表に使われる表現/結論と展望の内容表現/謝辞に使われる表現:Part2では、表現の幅を広げるために、それぞれの構成で多くの例文を用いて解説しています。
  • Part3【文法編】科学英語論文の決まりを学ぶ
    句読法/否定表現/単数と複数/冠詞(定型的表現)/代名詞の使い方/不定詞の機能/その他の注意事項:Part3では、論文における記号の使い方や文法など細かいルールを解説しています。

解説

研究活動において英語は身につけなくてはならないスキルの一つです。オーラルコミュニケーションは最も難しく、多くの努力が必要です。しかしプレゼンや会話の場合、伝えたいことが伝わっていれば一瞬の英語の間違いは誰も気にすることはなく、あなたが話した一文一文を覚えている聞き手の人は基本的にはいないはずです(もちろん英語の先生などは別です)。

しかし、あなたが書いた英語の文章は、読み手がじっくり何度も読むことができさらに、論文の場合には世界中を駆け巡り永久に保存されます。そのため、正しい英語を書くことはとても重要だと思います。もちろん、論文執筆の最後にはネイティブによる英語のチェックを行うと思いますが、根本的な文章のエラーには対応が難しいと思います。また、論文ではなく研究室の研究報告書類や学会のアブストラクトは英文の校正まで依頼しないでしょう。このように正しい英語の文章を作ることは重要ですが、ただ漠然と論文を読むだけでは書く勉強にはならないと思います。

この本はそんな英語のライティングスキルを磨くのにちょうどいい参考書だと思います。

本文では、一文一文の英語の例文に対して表現や文法を解説しています。単純に”「日本語」+英語”でググれば該当する英語を知ることができます。しかし動詞の場合、他動詞なのか自動詞なのか、冠詞は何を使うべきなのか、名詞の場合でも可算名詞なのか不可算名詞まで知らないと正しい文章を作ることができません。その点をこの本の例文を通して知ることができます。題名の通り、化学だけでなく他の分野の例文も使われていますが、応用などを論述する場合にはほかの分野に関する英語も知るべきであり、むしろ勉強するには好都合であると思います。索引も充実していて、英語の単語でも日本語の表現からでも検索することができます。

これを使って勉強し、教授を感心させるような英語を書いてみてはいかがでしょうか。

関連リンク

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. ここまで進んだ次世代医薬品―ちょっと未来の薬の科学
  2. 液クロ虎の巻シリーズ
  3. 化学するアタマ―論理的思考力を鍛える本
  4. 広大すぎる宇宙の謎を解き明かす 14歳からの宇宙物理学
  5. 【書籍】化学探偵Mr.キュリー4
  6. 免疫(第6版): からだを護る不思議なしくみ
  7. 高機能性金属錯体が拓く触媒科学:革新的分子変換反応の創出をめざし…
  8. 二次元物質の科学 :グラフェンなどの分子シートが生み出す新世界

注目情報

ピックアップ記事

  1. タンパク質の定量法―ビシンコニン酸法 Protein Quantification – Bicinconic Acid Assay
  2. 新たなクリックケミストリーを拓く”SuFEx反応”
  3. ギー・ベルトラン Guy Bertrand
  4. スコット・デンマーク Scott E. Denmark
  5. ボールミルを用いた、溶媒を使わないペースト状 Grignard 試薬の合成
  6. 第五回 化学の力で生物システムを制御ー浜地格教授
  7. 水 (water, dihydrogen monoxide)
  8. 親水性ひも状分子を疎水性空間に取り込むナノカプセル
  9. 比色法の化学(後編)
  10. 有機化学を俯瞰する –古代ギリシャ哲学から分子説の誕生まで–【前編】

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2017年4月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

注目情報

最新記事

高用量ビタミンB12がALSに治療効果を発揮する。しかし流通問題も。

2024年11月20日、エーザイ株式会社は、筋萎縮性側索硬化症用剤「ロゼバラミン…

第23回次世代を担う有機化学シンポジウム

「若手研究者が口頭発表する機会や自由闊達にディスカッションする場を増やし、若手の研究活動をエンカレッ…

ペロブスカイト太陽電池開発におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用

持続可能な社会の実現に向けて、太陽電池は太陽光発電における中心的な要素として注目…

有機合成化学協会誌2025年3月号:チェーンウォーキング・カルコゲン結合・有機電解反応・ロタキサン・配位重合

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年3月号がオンラインで公開されています!…

CIPイノベーション共創プログラム「未来の医療を支えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第105春季年会(2025)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「未来の医療…

OIST Science Challenge 2025 に参加しました

2025年3月15日から22日にかけて沖縄科学技術大学院大学 (OIST) にて開催された Scie…

ペーパークラフトで MOFをつくる

第650回のスポットライトリサーチには、化学コミュニケーション賞2024を受賞された、岡山理科大学 …

月岡温泉で硫黄泉の pH の影響について考えてみた 【化学者が行く温泉巡りの旅】

臭い温泉に入りたい! というわけで、硫黄系温泉を巡る旅の後編です。前回の記事では群馬県草津温泉をご紹…

二酸化マンガンの極小ナノサイズ化で次世代電池や触媒の性能を底上げ!

第649回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院環境科学研究科(本間研究室)博士課程後期2年の飯…

日本薬学会第145年会 に参加しよう!

3月27日~29日、福岡国際会議場にて 「日本薬学会第145年会」 が開催されま…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー