内容
一流誌の論文を参考に,英語の構造や語句を丁寧に解説し,日本人に合った英文執筆法を伝授する.論文の構成に沿って進む実践的な内容.生の英文に数多く触れることで,英語のパターンを自然と身につけられる.充実した索引により,自らが英語論文を執筆する際にも繰り返し参照できる.(化学同人紹介サイトより引用)
対象
英語の論文を読み書きする機会がある高校生から研究者
概要
- Part1【論文構成編】科学英語論文の仕組みを学ぶ
表題・タイトル/要旨/緒論/実験/結果と考察/結論(展望を含む)/謝辞/参考文献:Part1では、論文のセクションごとにどのような英語の表現を使って論文が書かれているか解説しています。 - Part2【実例編】科学英語論文の表現を広げる
表題の表現例/要旨の表現例/緒論に使われる表現/実験に使われる表現/結果と考察に使われる表現/図表に使われる表現/結論と展望の内容表現/謝辞に使われる表現:Part2では、表現の幅を広げるために、それぞれの構成で多くの例文を用いて解説しています。 - Part3【文法編】科学英語論文の決まりを学ぶ
句読法/否定表現/単数と複数/冠詞(定型的表現)/代名詞の使い方/不定詞の機能/その他の注意事項:Part3では、論文における記号の使い方や文法など細かいルールを解説しています。
解説
研究活動において英語は身につけなくてはならないスキルの一つです。オーラルコミュニケーションは最も難しく、多くの努力が必要です。しかしプレゼンや会話の場合、伝えたいことが伝わっていれば一瞬の英語の間違いは誰も気にすることはなく、あなたが話した一文一文を覚えている聞き手の人は基本的にはいないはずです(もちろん英語の先生などは別です)。
しかし、あなたが書いた英語の文章は、読み手がじっくり何度も読むことができさらに、論文の場合には世界中を駆け巡り永久に保存されます。そのため、正しい英語を書くことはとても重要だと思います。もちろん、論文執筆の最後にはネイティブによる英語のチェックを行うと思いますが、根本的な文章のエラーには対応が難しいと思います。また、論文ではなく研究室の研究報告書類や学会のアブストラクトは英文の校正まで依頼しないでしょう。このように正しい英語の文章を作ることは重要ですが、ただ漠然と論文を読むだけでは書く勉強にはならないと思います。
この本はそんな英語のライティングスキルを磨くのにちょうどいい参考書だと思います。
本文では、一文一文の英語の例文に対して表現や文法を解説しています。単純に”「日本語」+英語”でググれば該当する英語を知ることができます。しかし動詞の場合、他動詞なのか自動詞なのか、冠詞は何を使うべきなのか、名詞の場合でも可算名詞なのか不可算名詞まで知らないと正しい文章を作ることができません。その点をこの本の例文を通して知ることができます。題名の通り、化学だけでなく他の分野の例文も使われていますが、応用などを論述する場合にはほかの分野に関する英語も知るべきであり、むしろ勉強するには好都合であると思います。索引も充実していて、英語の単語でも日本語の表現からでも検索することができます。
これを使って勉強し、教授を感心させるような英語を書いてみてはいかがでしょうか。
関連リンク
- できる研究者の論文生産術―どうすれば『たくさん』書けるのか: 論文の効率よく書く方法に関する本
- 【書籍】『これから論文を書く若者のために』:良い論文の構成について解説している本