内容
本書では、”次世代シーケンサーを自分の研究に活用できるのか?”、”具体的にどうしたら研究に導入できるのか?”、”すごいらしいがどこから手をつけたらよいかわからない”という疑問の解決を目的とし、実例を交えながら基礎から応用までをわかりやすく解説しています。
PART I ”次世代シーケンサーの基礎”
- 第 1 章 次世代シーケンサーの原理と概要
- 第 2 章 次世代シーケンサーと未来の予防医療
PART II ”次世代シーケンサーの利用例”
- 第 3 章 感染症研究への次世代シーケンサーの応用
- 第 4 章 次世代シーケンサーによるがん研究
- 第 5 章 環境中の微生物群構造
- 第 6 章 植物ゲノム解析
- 第 7 章 海洋生物のゲノム解読とその広がり
- 第 8 章 1 分子シーケンサーを用いた非モデル生物のde novoゲノム解読
- 第 9 章 微生物ゲノム
- 第 10 章 絶滅危惧種のゲノム解読とその利用
- 第 11 章 ゲノム合成生物学での次世代シーケンス
- 第 12 章 イネなどの作物ゲノム研究および育種技術の向上
PART III の”次世代シーケンサーがもたらす新時代”では、次世代シーケンサーを使っている研究者達に今後の展望を語ってもらっています。
対象者
大学生以上
解説
ケミカルバイオロジーなど境界領域の発展が目覚しい昨今、化学を専門としている研究者でも、共同研究者の研究内容を理解するためには生物学の知識が必要です。
2003 年に終了したヒトゲノムプロジェクトの研究過程において多数のシーケンス法が開発され、プロジェクト終了後も研究は続けられ、シーケンサーの世界は日進月歩の勢いで凄まじい進展を遂げています。現在では、一般の研究者も次世代シーケンサーと呼ばれる最新技術を利用することが出来ますが、新しすぎるがゆえに従来の生物学の教科書には取り上げられておらず、その学習は大変困難です(次世代シーケンサーは、第二世代が 2004 年、第三世代が 2010 年、第四世代が 2012 年に発表されています)。本書は、サンガー法に始まるシーケンス技術の基礎から最新の研究事例を網羅しています。大学生から一線の研究者まで、次世代シーケンサーの基礎を学びたい人にオススメの書籍です。
シーケンサーというと、一般的にはサンガー法を思い浮かべがちですが、最新のシーケンサーはより進化しています。「次世代シーケンサーは高速で正確にゲノム解析をするもの」と認識している人は多いと思いますが、その原理を説明できる人は少ないと思います。本書はまず、次世代シーケンサーをその解析原理により第一から第四世代に分類し、その違いを図を交えながらわかりやすく解説しています(第 1 章)。専門用語に関しては、欄外にて解説されています。
PART II では、次世代シーケンサーが実際の研究でどのように使われているかが紹介されています。医療応用、微生物、植物、動物、海洋生物などの研究が紹介されています。ここでは、自分の興味のある章を読むのが良いと思います。(第 3 章から第 12 章)
PAER III では、トップランナーに次世代シーケンサーにより、各研究者が専門とする研究分野が今後どのようになっていくかを語ってもらっています(11 人、各 1 ページ)。
基礎原理から最新のトピックまでが網羅されており、手頃な価格(定価 4200 円)なので、次世代シーケンサーについて勉強したい方にオススメです。