[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

Nanomaterials: An Introduction to Synthesis, Properties and Applications, 2nd Edition

[スポンサーリンク]

[amazonjs asin=”3527333797″ locale=”JP” title=”Nanomaterials: An Introduction to Synthesis, Properties and Applications”]

対象

材料工学に関心がある学部・院生

解説

本書はドイツ語で書かれたものが元になっており英語版もすでに2版目で、ナノ材料(特に無機)を扱った非常にスタンダードな教科書と言える。そのため、学部2-3年生で十分に理解できる内容となっている。さらに文中で図や概念図が非常に多く(全体の4割程度)、また英語が平易で読みやすいので研究室での英語ゼミ用教材としてもピッタリな内容になっている。

内容

詳細な目次はこちらから見ることが出来る。大まかに分けてナノ材料に関する基礎知識(1-7章)とその応用(8-11章)とキャラクタリゼーション(12章)で構成されており、以下にその内容を挙げます。

  • 1-3章では物質がナノスケールになるとその物質を構成する分子の状態がどのように変わり、それによる材料物性の変化ついて丁寧に解説している。
  • 4章ではナノ無機粒子の気相合成を取り上げている。現在、多くの研究室では固相法か液相法で無機材料を合成しているが、工業的にはCVDや火炎法と呼ばれる気相法が大量合成が容易であるという理由から広く採用されている(例、EvonikのTiO2やSiO2)。これまで気相法を扱った経験がない人にとってちょうど良い分量の解説になっている。
  • 5-7章ではナノ材料の形と結晶について取り上げている。特に5章では様々な面白い形のナノ材料をTEM画像と共に紹介しており、7章ではそのような結晶がどのように成長するかを解説している。見た目(形)の面白さとその形状に起因する物性の変化はナノ材料の大きな特徴で初めてナノ材料を学ぶ人にとって興味を引く内容になっている。また6章では簡単に磁性流体を紹介している。
  • ナノ無機粒子の応用:磁性(8章)、光学特性(9章)、電気特性(10章)、機械特性(11章)について。内容は最新の研究結果ではなく、これらの分野の基礎的なコンセプトと代表的な材料について解説している。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4759813691″ locale=”JP” title=”金属および半導体ナノ粒子の科学: 新しいナノ材料の機能性と応用展開 (CSJ Current Review)”] [amazonjs asin=”476495026X” locale=”JP” title=”ナノ粒子:物性の基礎と応用 (シリーズ:未来を創るナノ・サイエンス&テクノロジー)”]

Ohno

投稿者の記事一覧

博士(理学)。ナノ材料に関心があります。

関連記事

  1. 書籍「腐食抑制剤の基礎と応用」
  2. Metal-Organic Frameworks: Applic…
  3. 創薬化学
  4. 有機化学1000本ノック【反応機構編】
  5. PythonとChatGPTを活用するスペクトル解析実践ガイド
  6. 元素周期 萌えて覚える化学の基本
  7. 2009年10月人気化学書籍ランキング
  8. アルカロイドの科学 生物活性を生みだす物質の探索から創薬の実際ま…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 前田 和彦 Kazuhiko Maeda
  2. 銀イオンクロマトグラフィー
  3. ベンゾイン縮合反応 Benzoin Condensation
  4. 有機化学実験基礎講座、絶賛公開中!
  5. マイゼンハイマー転位 Meisenheimer Rearrangement
  6. モータータンパク質に匹敵する性能の人工分子モーターをつくる
  7. 第13回 化学を楽しみ、創薬に挑み続ける ―Derek Lowe博士
  8. 文化勲章・受章化学者一覧
  9. イミダゾリニウムトリフラート塩の合成に有用なビニルスルホニウム塩前駆体
  10. 液晶の薬物キャリアとしての応用~体温付近で相転移する液晶高分子ミセルの設計~

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2016年1月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

【産総研・触媒化学研究部門】新卒・既卒採用情報

触媒部門では、「個の力」でもある触媒化学を基盤としつつも、異分野に積極的に関わる…

触媒化学を基盤に展開される広範な研究

前回の記事でご紹介したとおり、触媒化学研究部門(触媒部門)では、触媒化学を基盤に…

「産総研・触媒化学研究部門」ってどんな研究所?

触媒化学融合研究センターの後継として、2025年に産総研内に設立された触媒化学研究部門は、「触媒化学…

Cell Press “Chem” 編集者 × 研究者トークセッション ~日本発のハイクオリティな化学研究を世界に~

ケムステでも以前取り上げた、Cell PressのChem。今回はChemの編集…

光励起で芳香族性を獲得する分子の構造ダイナミクスを解明!

第 654 回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 協奏分子システム研究セ…

藤多哲朗 Tetsuro Fujita

藤多 哲朗(ふじた てつろう、1931年1月4日 - 2017年1月1日)は日本の薬学者・天然物化学…

MI conference 2025開催のお知らせ

開催概要昨年エントリー1,400名超!MIに特化したカンファレンスを今年も開催近年、研究開発…

【ユシロ】新卒採用情報(2026卒)

ユシロは、創業以来80年間、“油”で「ものづくり」と「人々の暮らし」を支え続けている化学メーカーです…

Host-Guest相互作用を利用した世界初の自己修復材料”WIZARDシリーズ”

昨今、脱炭素社会への実現に向け、石油原料を主に使用している樹脂に対し、メンテナンス性の軽減や材料の長…

有機合成化学協会誌2025年4月号:リングサイズ発散・プベルル酸・イナミド・第5族遷移金属アルキリデン錯体・強発光性白金錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年4月号がオンラインで公開されています!…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー