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化学書籍レビュー

Small Molecule Medicinal Chemistry -Strategies and Technologies-

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[amazonjs asin=”1118771605″ locale=”JP” title=”Small Molecule Medicinal Chemistry: Strategies and Technologies”]

 

内容

Stressing strategic and technological solutions to medicinal chemistry challenges, this book presents methods and practices for optimizing the chemical aspects of drug discovery. Chapters discuss benefits, challenges, case studies, and industry perspectives for improving drug discovery programs with respect to quality and costs.

• Focuses on small molecules and their critical role in medicinal chemistry, reviewing chemical and economic advantages, challenges, and trends in the field from industry perspectives
• Discusses novel approaches and key topics, like screening collection enhancement, risk sharing, HTS triage, new lead finding approaches, diversity-oriented synthesis, peptidomimetics, natural products, and high throughput medicinal chemistry approaches
• Explains how to reduce design-make-test cycle times by integrating medicinal chemistry, physical chemistry, and ADME profiling techniques
• Includes descriptive case studies, examples, and applications to illustrate new technologies and provide step-by-step explanations to enable them in a laboratory setting
(Wiley社内容紹介より)

対象

  • 低分子化合物の創薬化学を学び、実践する研究者、マネージャー

解説

医薬承認のハードルは年々上がり続け開発成功率は低下する一方、研究開発費は増加を続けている。この潮流下、低分子創薬は大きな戦略転換を求められている。

本書はその時代背景および関連する問題認識を踏まえた上で、低分子創薬研究で採られる先端的戦略・方法論・技術を概説した書籍である。
本書で扱うトピックには以下のようなものがある。いずれも現代の低分子創薬が直面する課題と、その解決を目指した取り組みといえる。

【質の高い化合物ライブラリの創製】
ADMETなど医薬特性に優れた化合物ライブラリ、未踏のケミカルスペースを狙える多様性に優れたライブラリ、天然物骨格の活用、改良ペプチドライブラリなど。

【垂直分業時代の化合物管理】
オープンな化合物ライブラリーの特徴、その管理・共有について。それに付随する権利化・リスクシェアリング・ビジネスモデルについて。

【ケミカルスペース拡張を行う合成化学】
多様性指向型合成、固相コンビナトリアル、多成分連結反応など。

【スクリーニング戦略】
フラグメント創薬、バーチャルスクリーニング、表現型スクリーニングなど。

【リード最適化戦略】
リピンスキーのRule of 5とその限界、ステープルペプチドとペプチドミメティクス、天然物創薬、薬物作用のin vivoイメージング(PET、蛍光分子、MRIなど)など。

「創薬研究戦略の現代的鳥瞰図」を大づかみしたい方には、打って付けの書籍と言えるだろう。2015年11月発刊であるため、情報も最新である。

概説書という事情から、現場研究に即効性のある深く掘り下げた記述はさほど多くない。各々をより深く学びたい方は、別の専門書を当たる必要があるだろう。

出版元がワイリー、執筆陣にはサノフィ、バイエル、ヤンセンファーマなどの製薬研究者、加えて欧米アカデミアの研究者が名を連ねる。そのせいか、ヨーロッパ事情に関する記述が少し多めかも知れない。

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cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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