[スポンサーリンク]

その他

はじめての研究生活マニュアル

[スポンサーリンク]

[amazonjs asin=”475981597X” locale=”JP” title=”はじめての研究生活マニュアル”]

 

内容

この本は,はじめて卒業研究をする人のためのものです.研究室の一員になると,最初は初めてのことばかりで,頭を悩ますことも多いでしょう.先輩や先生に聞きづらいこともあります.この本では,すぐに実行できる初歩的なコツから,ワンランク上を目指すための心構えまでを紹介しています.イラストやマンガを交え,気軽に読みやすい工夫も満載です.(引用:化学同人HPより)

 

対象

高校生、大学生、研究室に所属した大学4年生の卒業まで

 

解説

本書は大学で研究を行う「研究室」とはなにか?という疑問から、研究室に所属して卒論完成までの流れをマニュアル化したものである。2015年4月発行。無論、私には必要のない書籍であるが、近い将来、自身の研究室を主宰した際に、研究室においておくつもりで購入した。1つの研究室に関する疑問や、やることを1項目として、見開き2ページで42項目紹介している。読んでみるとなんとも驚愕な内容が。「メールは返信しよう」「欠席の連絡をしよう」「研究者は、清く、正しく」など、こんなのは当たり前なんじゃないか…と思わせる項目(全部じゃないですよ)。

 

書籍は見開き2ページで1項目

書籍は見開き2ページで1項目

 

とはいえど、研究室って何?という人にはとってもわかりやすく、漫画も入れながら読み易く記載してある。確かに、ここまで丁寧な書籍はなかった!というのも頷ける。

私事の話となるが、大学1年生の講義の雑談で「研究室の生活」を度々話している(基本的な内容は過去記事:いつも研究室で何をしているの?【一問一答】から)。あまり反応がなく、当然すぎたかな?とはじめた当初は思ったが、講義の最終アンケートで「研究室の生活を知れて良かった」「研究室の話が面白かった」という感想が圧倒的に多く、びっくりさせられた。確かに、既に人生の1/3以上を研究室で過ごしていると、そんな素朴な疑問を当然のことと感じ、わからなくなっていたのかもしれない。そもそも、大学生の時に所属していた研究室には、所属前に度々訪れて、さらに先輩の話などを聞いていてわかっていたつもりでも、入ってみないと結局のところほとんどわからなかった。そのため、大学教員となった時に、そういうことがわかるように、また研究室の一員となったことを再認識するように、実験の方法や係の役割、行事や役立つ知識を散りばめた、「研究室マニュアル」をつくった。毎年更新され、現在でも4月配属のピカピカの大学4年生に一人一人ファイリングして配っている。

そういわけで、研究者を目指す高校生や、近い将来研究者となる理系大学生には確かに実験に関するトピックや、研究成果を発表、論文紹介などの研究室生活を垣間見ることのできる本書籍は願ってもない本なのかもしれないと、思いを新たにさせられた。

 

最後に著者の西澤幹雄教授(立命館大)のあとがきの一文を紹介。

 先生たちは自分たちの過去を忘れているので、要求するレベルと現実のギャップがあるのを見落としているのです。

…仰るとおりですね。

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4062576716″ locale=”JP” title=”理系のための研究生活ガイド―テーマの選び方から留学の手続きまで 第2版 (ブルーバックス)”][amazonjs asin=”4062579200″ locale=”JP” title=”理系のための研究ルールガイド 上手に付き合い、戦略的に使いこなす (ブルーバックス)”]

 

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 2009年9月人気化学書籍ランキング
  2. 2009年1月人気化学書籍ランキング
  3. Density Functional Theory in Qua…
  4. 理工系のAI英作文術
  5. 免疫(第6版): からだを護る不思議なしくみ
  6. 科学探偵 シャーロック・ホームズ -警察やFBIに先駆けて犯罪捜…
  7. 天然有機化合物の全合成:独創的なものづくりの反応と戦略
  8. 有機反応機構の書き方

注目情報

ピックアップ記事

  1. MEDCHEM NEWS 33-4 号「創薬人育成事業の活動報告」
  2. 最も安価なエネルギー源は太陽光発電に
  3. 第四回 分子エレクトロニクスへの展開 – AP de Silva教授
  4. 高分子を”見る” その2
  5. 2020年の人気記事執筆者からのコメント全文を紹介
  6. チアミン (thiamin)
  7. 有機合成化学協会誌2023年9月号:大村天然物・ストロファステロール・免疫調節性分子・ニッケル触媒・カチオン性芳香族化合物
  8. 三共と第一製薬が正式に合併契約締結
  9. シランカップリング剤入門【終了】
  10. 三菱ケミの今期経常益‐1.8%に、石化製品市況弱く

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2015年10月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

新発想の分子モーター ―分子機械の新たなパラダイム―

第646回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機反応論研究室 助教の …

大人気の超純水製造装置を組み立ててみた

化学・生物系の研究室に欠かせない超純水装置。その中でも最も知名度が高いのは、やはりメルクの Mill…

Carl Boschの人生 その11

Tshozoです。間が空きましたが前回の続きです。時系列が前後しますが窒素固定の開発を始めたころ、B…

PythonとChatGPTを活用するスペクトル解析実践ガイド

概要ケモメトリクスと機械学習によるスペクトル解析を、Pythonの使い方と数学の基礎から実践…

一塩基違いの DNA の迅速な単離: 対照実験がどのように Nature への出版につながったか

第645回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院工学系研究科相田研究室の龚浩 (Gong Hao…

アキラル色素分子にキラル光学特性を付与するミセルを開発

第644回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 総合研究院 応用化学系 化学生命科学研究所 吉沢…

有機合成化学協会誌2025年2月号:C–H結合変換反応・脱炭酸・ベンゾジアゼピン系医薬品・ベンザイン・超分子ポリマー

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年2月号がオンライン公開されています。…

草津温泉の強酸性硫黄泉で痺れてきました【化学者が行く温泉巡りの旅】

臭い温泉に入りたい!  というわけで、硫黄系の温泉であり、日本でも最大の自然温泉湧出量を誇る草津温泉…

ディストニックラジカルによる多様なアンモニウム塩の合成法

第643回のスポットライトリサーチは、関西学院大学理工学研究科 村上研究室の木之下 拓海(きのした …

MEDCHEM NEWS 34-1 号「創薬を支える計測・検出技術の最前線」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP