概要
生物活性物質を取り扱う天然物化学は、古くから活発に研究が行われ多くの研究者が携わってきた領 域であり、その努力の結晶は医薬品、香料などわれわれの生活を豊かにするために大いに役立ってきた。このような成果は、生物活性物質の探索や抽出、精製、 構造決定、化学合成など多分野の研究者(主として有機化学者)の尽力によるものである。本書は学部学生への講義をまとめたものであるが、内容にはやや高度 な部分を含んでおり、大学院学生にも十分興味の持てる内容であると考えている。
対象
基本的な用語が理解できる学部2~3回生以上
評価・解説
バイオテクノロジー教科書シリーズの第17巻。植物や微生物の二次代謝産物にやや比重が置かれていますが、体系的にまとめられていてイメージがつかみやすい構成になっています。概要にもあるように学部生にはやや高度な部分もあるかもしれませんが、各項目における歴史や代表的な化合物がコンパクトかつ丁寧に紹介されているため、天然物化学に興味がある人の入門書としても最適だと思います。何より構造式や反応機構がとにかく多く、視覚的にも理解しやすいため読むのに時間はかかりません。繰り返し読みたい、天然物化学に関わる学生・院生必携の一冊です。