内容
「なんで私が?」…突然降って湧いたような授賞の知らせに驚く間もなく、はじまった「ノーベル賞シフト」。「43歳主任」の「変人」ぶりばかりを強調する報道に戸惑い、憤り、そっとしておいてほしいと念じてきた著者が、「理系の人間は、自分を理解してもらう努力が不足している」という自らの主張を実践するために、はじめて、エンジニアとしての人生を語った。ノーベル賞受賞が決まった日の混乱、授賞された発見の背景にあった「生涯最高の失敗」、励ましてくれた人たちのこと、ライバル研究者の公正な態度、企業のエンジニアとしてはたらくことの生きがい、チームワークの大切さ、独創性・創造性の源はなにか、など、はじめて明かされるエピソードと新たなメッセージを込めた、会心の一冊。
対象
すべての人
評価・解説
サラリーマンノーベル化学賞受賞者としても有名になった、田中耕一氏のエッセイです。
受賞騒動に巻き込まれ、「隔離室」に逃げ込んだエピソードや、一夜にして世間から「時の人」に祭り上げられてしまった顛末など、随所に見所はあります。「理系の人は自分を理解してもらう努力をもっとすべき」という課題に真っ向から取り組む氏の誠実な人柄は、その文体からもにじみ出ています。
ノーベル賞パニックの中でも自分を見失わずにすんだのは、「生涯一エンジニア」を貫く、氏の芯の強さがなせるものだと思います。我々が見習う点も多いことでしょう。
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