[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

研究室ですぐに使える 有機合成の定番レシピ

[スポンサーリンク]

[amazonjs asin=”4621081519″ locale=”JP” title=”研究室ですぐに使える 有機合成の定番レシピ”]

 

気ままに有機化学さんでも紹介されていました(記事:有機合成化学者必携!有機合成の定番レシピ)。なかなかの良書だと思いますので、こちらでも紹介したいと思います。

内容はタイトル通り、「研究室ですぐに使える」実験方法、合成法の紹介です。

対象

  • 研究で有機合成を行う人

評価・解説

この書籍はJie Jack Li著、”Modern Organic Synthesis in the Laboratory: A Collection of Standard Experimental Procedures”の邦訳版です。

[amazonjs asin=”0195187997″ locale=”JP” title=”Modern Organic Synthesis in the Laboratory: A Collection of Standard Experimental Procedures”]

前述した通り、内容は「研究室でよく使う」有機合成の実験方法を記したものです。

訳者の上村先生のタッチが軽く、直訳でない読みやすい日本語になっています。さらには原本よりも圧倒的に安いため、おすすめです。

基本的なテクニック、官能基変換反応、酸化反応、還元反応、炭素ー炭素結合形成反応、保護基の章にわかれています。

基本的なテクニックでは、研究室での安全予防や、TLCの展開方法、またジアゾメタンDess-Martin試薬などの調製法、有機リチウム試薬の滴定法が記されています。よく使うけれども、正確な実験方法がすぐにはでてこないような試薬調製法も記されており、一冊にまとまっていれば重宝する内容が満載です。また、各種反応についてはファーストチョイスとして使われる実験法、参考文献などが記載されています。また、論文からは得られない経験知に基づく、反応の危険性やテクニックなども記されています。

全般的には実験化学講座をコンパクトにまとめた印象であり、「有機化学実験の手引き(いわゆる黄色い書籍)」に雰囲気が似ていると思います。こちらはすでに発売から約20年経過しており、内容的に古くなってしまっているところも多いです。その後継として、有機合成を行っている研究者ならば1冊は持っておきたい本なのではないでしょうか。

  関連書籍

[amazonjs asin=”3527338144″ locale=”JP” title=”Reactions and Syntheses: In the Organic Chemistry Laboratory”][amazonjs asin=”4759801804″ locale=”JP” title=”有機化学実験のてびき (3)”]
Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 海の生き物からの贈り物
  2. ヒューマンエラーを防ぐ知恵 増補版: ミスはなくなるか
  3. 改正 研究開発力強化法
  4. 植物たちの静かな戦い
  5. 化学するアタマ―論理的思考力を鍛える本
  6. 誰も教えてくれなかった 実験ノートの書き方 (研究を成功させるた…
  7. モビリティ用電池の化学: リチウムイオン二次電池から燃料電池まで…
  8. 藤沢晃治 「分かりやすい○○」の技術 シリーズ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 1,3-ジエン類のcine置換型ヘテロアリールホウ素化反応
  2. 学振申請書を磨き上げる11のポイント [文章編・前編]
  3. 【ナード研究所】ユニークな合成技術~先端研究を裏支え!~
  4. アミノ酸「ヒスチジン」が脳梗塞に有効――愛媛大が解明
  5. 有機機能性色素におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用とは?
  6. 魅惑の薫り、漂う香り、つんざく臭い
  7. カンプス キノリン合成 Camps Quinoline Synthesis
  8. ウィルゲロット反応 Willgerodt Reaction
  9. 中国へ行ってきました 西安・上海・北京編②
  10. MEDCHEM NEWS 31-3号「ケムステ代表寄稿記事」

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年9月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

注目情報

最新記事

【産総研・触媒化学研究部門】新卒・既卒採用情報

触媒部門では、「個の力」でもある触媒化学を基盤としつつも、異分野に積極的に関わる…

触媒化学を基盤に展開される広範な研究

前回の記事でご紹介したとおり、触媒化学研究部門(触媒部門)では、触媒化学を基盤に…

「産総研・触媒化学研究部門」ってどんな研究所?

触媒化学融合研究センターの後継として、2025年に産総研内に設立された触媒化学研究部門は、「触媒化学…

Cell Press “Chem” 編集者 × 研究者トークセッション ~日本発のハイクオリティな化学研究を世界に~

ケムステでも以前取り上げた、Cell PressのChem。今回はChemの編集…

光励起で芳香族性を獲得する分子の構造ダイナミクスを解明!

第 654 回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 協奏分子システム研究セ…

藤多哲朗 Tetsuro Fujita

藤多 哲朗(ふじた てつろう、1931年1月4日 - 2017年1月1日)は日本の薬学者・天然物化学…

MI conference 2025開催のお知らせ

開催概要昨年エントリー1,400名超!MIに特化したカンファレンスを今年も開催近年、研究開発…

【ユシロ】新卒採用情報(2026卒)

ユシロは、創業以来80年間、“油”で「ものづくり」と「人々の暮らし」を支え続けている化学メーカーです…

Host-Guest相互作用を利用した世界初の自己修復材料”WIZARDシリーズ”

昨今、脱炭素社会への実現に向け、石油原料を主に使用している樹脂に対し、メンテナンス性の軽減や材料の長…

有機合成化学協会誌2025年4月号:リングサイズ発散・プベルル酸・イナミド・第5族遷移金属アルキリデン錯体・強発光性白金錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年4月号がオンラインで公開されています!…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー