[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

有機合成の落とし穴

[スポンサーリンク]

[amazonjs asin=”4621080660″ locale=”JP” title=”有機合成の落とし穴 -失敗例から学ぶ成功への近道”]

 内容

有機合成の実験には数多くの失敗や落とし穴が待ち構えていますが、多くの論文・専門書にはその詳細が記載されていません。本書は、膨大な論文の中から、とくに重要となる副反応の反応過程や、反応の適用範囲と限界を分析し、実験計画の立案時や予期しない化合物が生成したときの対処法など、失敗例を教訓とした成功へ導くヒントを満載しています。重要な反応が網羅されているので、新たな研究テーマを模索するとき、あるいは実験がうまくいかずに悩んでいる大学院生の指南書として、さまざまな場面で縁の下の力持ちとなること間違いなしです。

 対象

有機合成に関わる研究を行っている大学院生、研究者

 評価・解説

論文を読んでいてはあまり得られない、副反応とその原因についての一般的な考え方を例示とともに解説しています。例えば、アミドのN-アルキル化、O-アルキル化がどのような場合にそれぞれ進行するか、それをどう説明するか、クロスカップリング反応の傾向やその説明など、実際現場で起こる問題に関しても述べています。

ただし、内容としては比較的高度であるので、実際に有機合成に携わり、最低限大学院程度の基礎書を学んだ大学院生、または研究者に有用だと考えられます。

ワイリーから出版されているSide Reactions in Organic Synthesisの翻訳本。オリジナル本は13,000円近くするのに比べて、日本語版は4800円と1/3近くの価格で入手する事ができます。

内容はオリジナル本を忠実に訳してはいますが、忠実なだけに若干読みにくい感もあります。それでも、内容的は高度で非常に参考になるものばかりです。

同系統の本として、同出版社から出版されているDead Ends and Detours(天然物合成のトライ&エラーを解説している本)もオススメしたい。

 関連書籍

[amazonjs asin=”3527310215″ locale=”JP” title=”Side Reactions in Organic Synthesis: A Guide to Successful Synthesis Design”][amazonjs asin=”3527337210″ locale=”JP” title=”Side Reactions in Organic Synthesis II: Aromatic Substitutions”][amazonjs asin=”3527306447″ locale=”JP” title=”Dead Ends and Detours”][amazonjs asin=”3527329765″ locale=”JP” title=”More Dead Ends and Detours”]
Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. サイエンスライティング超入門
  2. 化学者たちのネームゲーム―名付け親たちの語るドラマ
  3. タンパク質の構造と機能―ゲノム時代のアプローチ
  4. Metal-Organic Frameworks: Applic…
  5. フラックス結晶育成法入門
  6. マンガでわかる かずのすけ式美肌化学のルール
  7. 研究留学術―研究者のためのアメリカ留学ガイド
  8. [書評]分子の薄膜化技術

注目情報

ピックアップ記事

  1. 大鵬薬品、米社から日本での抗癌剤「アブラキサン」の開発・販売権を取得
  2. 基底三重項炭化水素トリアンギュレンの単離に世界で初めて成功
  3. 1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン:1,5,7-Triazabicyclo[4.4.0]dec-5-ene
  4. 印民間で初の17億ドル突破、リライアンスの前3月期純益
  5. 光電流の原子分解能計測に世界で初めて成功!
  6. 内部アルケン、ついに不斉ヒドロアミノ化に屈する
  7. 岡本佳男 Yoshio Okamoto
  8. 第41回ケムステVシンポ「デジタル化社会における化学研究の多様性」を開催します!
  9. 【8月開催】マイクロ波化学のQ&A付きセミナー
  10. フィルム製造プロセスのスキルアップ【終了】

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

次世代の二次元物質 “遷移金属ダイカルコゲナイド”

ムーアの法則の限界と二次元半導体現代の半導体デバイス産業では、作製時の低コスト化や動作速度向上、…

日本化学連合シンポジウム 「海」- 化学はどこに向かうのか –

日本化学連合では、継続性のあるシリーズ型のシンポジウムの開催を企画していくことに…

【スポットライトリサーチ】汎用金属粉を使ってアンモニアが合成できたはなし

Tshozoです。 今回はおなじみ、東京大学大学院 西林研究室からの研究成果紹介(第652回スポ…

第11回 野依フォーラム若手育成塾

野依フォーラム若手育成塾について野依フォーラム若手育成塾では、国際企業に通用するリーダー…

第12回慶應有機化学若手シンポジウム

概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大学理工学部・…

新たな有用活性天然物はどのように見つけてくるのか~新規抗真菌剤mandimycinの発見~

こんにちは!熊葛です.天然物は複雑な構造と有用な活性を有することから多くの化学者を魅了し,創薬に貢献…

創薬懇話会2025 in 大津

日時2025年6月19日(木)~6月20日(金)宿泊型セミナー会場ホテル…

理研の研究者が考える未来のバイオ技術とは?

bergです。昨今、環境問題や資源問題の関心の高まりから人工酵素や微生物を利用した化学合成やバイオテ…

水を含み湿度に応答するラメラ構造ポリマー材料の開発

第651回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院工学研究科(大内研究室)の堀池優貴 さんにお願い…

第57回有機金属若手の会 夏の学校

案内:今年度も、有機金属若手の会夏の学校を2泊3日の合宿形式で開催します。有機金…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー